バイス「7月に処分を解除できる感触」 第3回タスクフォース会議 報告記者会見

スポーツナビ

川淵チェアマン(右)、バイス・コーチェアマン(左)ともに制裁解除へ向けた非常に前向きな発言を行った 【スポーツナビ】

 日本バスケットボール協会(JBA)の改革を行う「JAPAN 2024 TASKFORCE(タスクフォース)」の第3回会合が25日に都内で行われ、「ホームタウンが決定していること」「ユースチームを有すること」などの新リーグ参加要件を定めた。

 その後、同会議に参加した川淵三郎チェアマンやFIBA(国際バスケットボール連盟)のインゴ・バイス氏らが記者会見を実施。会見に出席した川淵チェアマンは「プロリーグを統一することで、バスケットボール界の子どもたちも含めた夢が大きく膨らむ」と、新リーグ発足に向けた手応えを話した。またバイス氏は会見の冒頭で「現状を見ると、7月に資格停止処分を解除できるだろうという良い感触を受けている」と発言。五輪予選出場に向け、非常に明るい状況であることが明らかとなった。

 以下は、会見の全文。

川淵「今まではあまりに夢が小さかった」

登壇者:
[JAPAN 2024 TASKFORCE]
川淵三郎(チェアマン/公益財団法人 日本サッカー協会 キャプテン・名誉顧問)
インゴ・バイス(コーチェアマン/国際バスケットボール連盟 セントラルボードメンバー)
境田正樹(メンバー/四谷番町法律事務所 弁護士)


川淵 日頃からバスケットボール界のことを報道していただいて、本当にありがとうございます。少しでも記事が大きくなればという思いでやっております。本日(新リーグ)参加の要件が決まりました。こういった条件を受けて、各チームがこれからさらにどのような努力をしていくか、私も非常に期待しています。初めに5千人のアリーナと言った時点で、相当な数のチームから反発を受けましたけれど、聞いているところによると、今10以上の行政サイドがアリーナの増設、新設に向けて動いてくださっています。こういうことをきっかけに、バスケットボール界が夢を持てればいいなと本当に思います。今まではあまりに夢が小さかった。しかし今回プロリーグを統一することで、バスケットボール界の子どもたちも含めた夢が大きく膨らむことを心から願っています。

バイス 私も皆さんとお会いできて光栄だ。われわれFIBAとしては、これまでのタスクフォースの活動に大変満足している。川淵さん、境田先生をはじめ、すべての関係者の皆さんに、バスケットボールの問題を解決するために休みなくご尽力していただいている。今回われわれは新リーグの立ち上げ、ガバナンスを含めたJBAの組織改革を行っている。日本のバスケットボール界が前向きに発展していくために活動している。現状を見ると、われわれはFIBAの7月に行われるセントラルボードで、資格停止処分を解除できるだろうという良い感触を受けている。

 残念ながら皆様にお伝えしなければならないこともある。U−19女子日本代表が参加する予定だったモスクワの世界大会は、セントラルボードとして2週間前に集まり、苦渋の選択ではあるけれど、日本がまだ資格停止処分中であるということで、大会への出場を禁止することになった。資格停止処分が解除されていない以上、ここで出場させてしまうと、皆さんが間違った見解を持ち、誤解するのではないかという危惧もある。従ってあえて厳しい判断をした。

 しかし7月以降に行われる大会については、U−19女子日本代表の停止処分とは関係なく、今後とも準備をしてもらいたいと伝えている。もし7月に資格停止処分が解除された際は、日本がすぐスタートラインに立てるということだ。その準備はお願いしたい。

 われわれとしてもFIBAアジアと相談した結果、日本に関しては今後行われる世界大会の出場申請を例外的に7月20日以降にできるよう、期間を延長している。

 私自身も3月31日に開催されるFIBAアジアのセントラルボードに参加する。日本の現状について発表し、大変ポジティブだと私から説明する。川淵さんの尽力もあり、日本のバスケットボールが良い方向に進んでいると私の方から報告する。

 先ほども申し上げたけれど、サッカー業界の人がバスケのために尽力している日本と同じことがドイツでも起これば、スポーツ界の大きな力になるのではないかというのが、私の個人的な希望だ。

川淵「ホームアリーナがあるからこそ多くのファンが集う」

――チームの代表者から質問に挙がった県内の複数都市、複数アリーナで開催するやり方について、個別に柔軟に対応する可能性はないのか?

川淵 ホームアリーナを何箇所も持っていいかというのは、それが例外的な措置でないと、試合の8割をホームアリーナにすると決めた意味が無くなります。長い目で見れば、ホームアリーナがあるからこそ多くのファンがそこに集う、チームを応援するということにつながる。今は現状からの比較、現状から見て先のことを考えている。われわれは将来あるべきバスケットボール界の発展を前提に物を考えている。最後の段階では実行委員会、各チームの代表者が集まった委員会が、新リーグ発足とともにできるでしょうから、そういった中で検討していけばいいのだと思います。ただ基本的には試合の8割はそこでプレーする、ホームアリーナが絶対必要だということについて、変わりはありません

――10以上の行政サイドがアリーナ建設に向けて動いているという話があった。岩手や神奈川の話はすでに出ているが、その他の都市について内訳は?

川淵 行政サイドが表に出さないでくれということはあります。なので今すべてを言うことはできませんが、市長が「こういうアリーナを作るから、ぜひうちのチームを入れてほしい」ということで来られるという予定も聞いています。その段階でオープンになっていくと思っています。今はあえて申し上げないということです。

 それから一つ言い忘れましたが、マーケティング面でどういう協賛企業が出てくるか、まるでイメージが湧かないんです。現状だと各チームは相当な苦労をしている一方、多いところでは2億円の協賛金をもらっているチームもあります。リーグとして果たしてどれだけの価値があるかということを早く知りたいし、これくらいの配分ができるよという目安も立てられればいいなと思っている。電通さんをエージェントに決定して、積極的に動いていただくように本日お願いをしました。各チームが持っているスポンサーその他を詳細に電通さんへ知らせることで、電通さん自身がどういう方向で、協賛企業を探していくかということにもつながっていくわけです。いつその辺の概要が出て来るかは分かりませんけれど、少なくとも7月か8月の段階で、ある程度の数字が明らかになればいいなと私自身は思っております。

――最低年俸の件について。最初の段階では1千万円と言っていたのが、300万円に変わった理由は? また300万円という額は2部でも一緒なのか?

川淵 最低年俸の設定には非常に難しい問題があります。例えば15人のうち何人が最低年俸で、最高はどういう分布をするかと考えていくと非常に難しくなるんです。そういった中で、常識的に考えて月25万円ならば生活するには困らないかというくらいの基準で、一応300万円ということを言ったまでです。今まではサラリーキャップというものがあって、それ以上給料は払えないということを決めていました。そういうものを取り払って、とりあえず最低を決めようということで300万円にしました。

 1千万円というのはNBLのサラリーキャップが1億5千万円と言っていたわけで、その金額を15人で割ると、ちょうど1千万円。少なくともNBLレベルの年俸を払えるようなチームでないと、魅力あるクラブにならないという意味で1千万円と言いました。初めにインパクトを与えるということで、下げるということで選手は喜びませんが、チーム関係者はほっと胸をなでおろしたということもあるんじゃないでしょうか。

 最低年俸は(2部でも)変えてはまずいと思っています。新人選手に対する最高額も、すべて共通でやりたいと思っています。

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