2月28日プレ旗揚げ戦で見えた課題とは!?=異色の新格闘イベント「巌流島」を考察
格闘ゲームが現実化したワクワク感
大会はディファ有明で開催され、会場に足を踏み入れると高さ60センチ、直径8メートルという土俵を思わせる円形競技場が広がり、そこへ色とりどりの道着をまとったトーナメント出場8選手が揃った様はなかなかに壮観。カポエイラ、セネガル相撲、相撲、アメフト、プロレス、散打、キックボクシング、コンバット・サンボと出自の異なる選手がズラリと並び、さながら格闘ゲームが現実化したかのワクワク感があった。
初代タイガーも似たような競技を実戦
土俵に似た闘技場を用い、押し出しありの戦いということで、思い浮かんだのは初代タイガーマスク・佐山サトルが2010年から11年にかけ開催した大会「武道 掣圏」。円形ではなく八角形のリング、押し出しだけでなく3秒間の制圧(=抑え込み)による決着もありと巌流島とは異なる部分もあったが共通点も少なくなく、やはり「武道 掣圏」でも相撲のように短期決着が続出していた。世界でいち早く総合格闘技・修斗を創始した佐山だが、10年先を行くとも言われるその理論はこうした戦いも予見していたのだろうか。
K−1出身の渡辺が“らしさ”発揮
そんな中、大会で最も光ったのはスーパーファイトで少林拳のグゥオ・チェンと対戦した渡辺一久。ボクシングからK−1に転向後、暴走が過ぎ空回りとなってしまい存分に力を発揮してきたとは言い難い渡辺だが、この日は絶対的な打撃の自信からノーガードでチェンへ向かい、まず四つで組むと相撲のように横へ振って場外へ出し1ポイント。
その後も飛行機投げでチェンを場外へ投げ飛ばし(しかし同体でノーポイント)、空振りを呼びバックへ回ってのパウンドラッシュ、プロレスのフロントネックチャンスリーを思わせる投げでポイントを奪取と、意外性ある豪快なファイトで客席を沸かせ、最後は場外ポイント3回による累積で一本勝ち。K−1転向以降、最も“らしさ”を発揮して勝利した。
ブレイクのタイミングなどに改善点
毛色の変わったゲーム性の高い格闘技――
「巌流島」はそんな風に肩の力をやや抜いて向き合えば楽しめるし、スポーツバラエティーあるいは格闘技バラエティーとしてとらえるのがいいのかもしれない。今後回数を重ねてルールが整備され、戦い方・勝ち方が分かってくると、各競技の個性が失われ、ダイナミズムが失われていく可能性はある。どのように変容し生き残っていくことはできるのか、今後の大会で巌流島が試される。
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