「Frontale International Cup U-11」で子どもたちの成長を。そして日本とベトナムの架け橋に
【©BECAMEX TOKYU】
上達するために必要な刺激と国際経験
ゴールを奪うために攻撃をしかけるフロンターレベトナムスクール生 【©BECAMEX TOKYU】
当初は日本4チーム、ベトナム4チームが参加することを想定していたが、新型コロナウイルスの影響で日本から海外遠征は難しさもあって参加できたのは1チームのみ。そのため、スタッフはASEANの地域でタイやマレーシアから呼ぶプランにシフトチェンジをして、国際大会という名に合うコンベンションとなった。そこで感じたのはフロンターレの知名度の高さだったという。
「本当にフロンターレはネームバリューがあります。タイやマレーシアではJリーグが有名ですし、フロンターレはACLにも常連で出場しています。それにカタールワールドカップをキッカケにフロンターレの選手が活躍したことも大きいのかなと。アカデミーで育った選手が日本代表として活躍してるということを、特にベトナム人の子どもたちは理解してくれるようになりました。あと、ベトナムだとプレミアリーグが放映されているので三笘選手が大人気 (笑)。そういった知名度が、この大会につながったのかなと思います」(西さん)
刺激を受けて生まれた一体感
試合前に円陣を組むフロンターレベトナムスクールの選手たち 【©BECAMEX TOKYU】
「スクール生の住んでいる地域柄から富裕層の方々が多いということもあり、 サッカーを初めてやる子が多いため、私たちは週に1回・2回の練習を行っています。それに比べてタイやマレーシアの子どもたちは週に3回・4回の練習をしているので、技術的な部分では難しさもありました。ただ、大差でも負けた試合もありましたが得点をすることができましたし、大事にしていたゴールを決めることを達成できてよかったと思います。これを機に子どもたちはモチベーションが上がっているので開催できてよかったなと感じています」(吉田さん)
日本のお祭りでも、よく目にするボールすくい 【©BECAMEX TOKYU】
「今大会に選手とコーチの150名が参加し、近隣の方が遊びに来てくれたこともあり合計で約500名の方が足を運んでくれました。イベントの内容はインターナショナルスクールの子どもたちのコンサートや、日本チームから各チームへのお土産贈呈式。さらにはボールすくい、輪投げ、キックターゲットなどなど日本ならではのお祭り感覚も体験してくれたと思います」(西さん)
少年サッカーの大会にイベントを実施するとなれば運営費もかかるが、支援をしてくれたスポンサー企業6社が「日本のためになるんだ」「ベトナムを盛り上げよう」と賛同をしてくれたことも大きかった。それもフロンターレがサッカーを通して日本とベトナムの架け橋になろうと活動を続けてきたからこそだろう。
子どもたちを育てていく──
参加した選手たちの記念撮影。サッカーに国境はない 【©BECAMEX TOKYU】
「私たちが2021年12月からスクールを立上げてから、まだ2年も経っていませんし、スクール生の人数も160名程度。私たちはもっとフロンターレを知ってもらい、スクール生を増やしていかないといけません。そのなかで国際経験を積んで、試合で活躍できるような選手を育てていきたいです。私たちはベトナムで幸せな生活を送らせてもらっているので、恩返しをしたいですし、これからもベトナムの方々と一緒に楽しめるイベントを定期的に開催できたらなと思います」(西さん)
「フロンターレは日本のクラブであり、日本のスタイル、文化をベトナムの子たちに伝えてくことを継続的にやっていきたいです。例えば、片付けや礼儀作法、挨拶。そういったことをスクール生の人数が増えていくなかで体験していってほしい。7月には日本遠征も検討しているので、日本で学んだことをベトナムに持ち帰って生かしてもらえればなと思っています」(吉田さん)
この大会やスクール活動、日本の文化を学ぶことで成長していく──。そして、フロンターレが2018年から4回実施している「ベトナム日本国際ユースカップU-13」に今大会に参加したスクール生が卒業して、2年後に違うチームで日本から参加するフロンターレアカデミーと対戦することになれば胸が熱くなる。その光景を思い描きながら、これからもフロンターレベトナムスクールはサッカーの楽しさを伝えていく。
(文・高澤真輝)
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