解説者を悩ませるほど今季のB1は混戦!「ココロ、たぎる。」1カ月を振り返ります!!【B MY HERO!】

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【B.LEAGUE】

開幕から熱戦続きのB1。身が持ちません!

 B MY HERO!特派員の朴航生です。

「ココロ、たぎる。」

 今シーズンの開幕前に採用されたBリーグのパーパスですが、開幕からこの1カ月、ココロたぎりすぎて身が持ちません。

 私は今シーズンも島根スサノオマジックの解説を主に務めさせていただいておりますが、そんな気持ちで日々次節の準備をしている次第でございます。

 共感いただけるファンの皆様も多いのではないでしょうか?

 後追いで見るにも時間が足りないと睡眠を削り、眠たい目をこすりながら各チームの激闘を応援する日々はまだまだx100続きますから、エナジードリンクの飲みすぎにはご注意ください。

 開幕から早1カ月が経ち、Bリーグは「FIBAワールドカップ2023」各地区予選Window5、そして天皇杯3次ラウンドに合わせて最初のブレークへと入りました。

 7シーズン目となるBリーグ。

 コロナ禍を一致団結し、乗り越えていく中で、とうとうやってきた成績が振るわなければ降格が待っているシーズンです。この1カ月を振り返ると、4つのトピックスをあげられるのではないでしょうか。

・昨季王者ブレックスが開幕から不振
・チーム大野率いる新生ネオフェニックスの完成度
・昇格組ファイティングイーグルスの飛ぶ鳥を落とすほどの勢い
・FE名古屋の勢いにも勝る西の4強(広島、名古屋D、琉球、島根)

 たった1カ月ながら語りたいことは山ほどありますが、ここは私、朴が解説を務めさせていただいている島根スサノオマジックを中心に開幕からここまでを振り返ります。

島根は開幕戦に敗れるもディフェンスから立て直し

三遠から移籍の津山が開幕から島根にフィット 【(C)B.LEAGUE】

 昨シーズン初のチャンピオンシップ(以下CS)進出を果たし、2季連続CS出場、リーグ制覇を目指す島根のスタートはファン、関係者、そして私を含め全ての人をある意味で裏切るものでした。

 開幕はアウェイ新潟での2連戦。

「おそらくここは(新潟アルビレックスBBに)島根が2連勝でいくだろう」

 そう予想し、あとは何点差で勝つかだな…なんてWINNERのサイトを前にニヤニヤしていた人も少なくないのではないでしょうか。

 しかしフタを開けてみれば、プレシーズンを予定通り消化できなかった島根の調整不足に、新潟の若き日本人エース杉本天昇の爆発や、新加入外国籍選手の質の高いディフェンスで初戦を落としてしまうという、まさかの幕開けとなってしまいました。

 島根の安藤誓哉は、今シーズンを迎えるにあたって再三のように「難しいシーズンになる」と語っていました。そう言っていたことを思い出させるような、そして何シーズンも辛酸をなめ続けたことを忘れてはいけないと、ファンに感じさせるような戒めだったのかもしれない…。

 新潟にすれば、昨季のCSベスト4の島根から開幕戦で勝利をもぎ取り、「今年は違う」、「降格はしないぞ」と周りに感じさせる内容になったのではないでしょうか。

 島根は新潟2戦目にディフェンスを立て直し、「CS優勝を目指すうえで必要なのはディフェンス」と、ヘナレヘッドコーチ(以下HC)がそう言うように、オフェンスの不調が続く中でも続く横浜ビー・コルセアーズ、秋田ノーザンハピネッツからしっかりと勝ちを取り続けました。サンロッカーズ渋谷に延長戦で一つ星は落としたものの、オフェンスも徐々に本来の形が出てきた1カ月だったと言えるでしょう。

 補強に関しても三遠ネオフェニックスから移籍してきた津山尚大はハンドラー、ディフェンダーとして安藤、ペリン・ビュフォードの負担を減らすだけではなく、持ち前のショット力を遺憾なく発揮しキャリアハイの2ケタ得点、3Pシュート成功率40パーセント超えを記録中と素晴らしいスタート。茨城ロボッツから移籍の谷口大智も開幕から故障で欠場が続いたウィリアムス ニカの穴をしっかりと埋めつつも、徐々に島根の“バズソースタイル”へのフィットも進んでいるように見えます。彼らの活躍を引き出すのは既存のメンバーなのはもちろんですが、オフシーズンを含め開幕までに2人がしっかりと調整してきた証拠だと言えるでしょう。

予測できなかった三遠の中地区首位

大野HCが就任した三遠は中地区1位と注目の存在に 【(C)B.LEAGUE】

 各チーム、1つでも順位を上げるため、昨シーズンよりも良くなるため補強をしているわけですが、チームへのフィットはそう簡単なことではありません。

 そういう意味でも新生ネオフェニックスの開幕1カ月には驚きを隠せません。千葉ジェッツから大野篤史HCを含めたコーチ陣を獲得し、CS初出場の原動力で昨季の移籍市場の目玉でもあった金丸晃輔を島根から獲得。昨季からの継続はフィリピンの至宝サーディ・ラベナを含め、ベテランの山内盛久、太田敦也の3名だけというBリーグ史上稀にみる大幅なテコ入れを図りました。

 プレシーズンでは思うようにチームビルディングが進んでいないような印象でしたが、いざ開幕してみると強豪の川崎ブレイブサンダースを相手に2連敗のスタートとしながらも連日大接戦を繰り広げ、バイウィーク前には3連勝とし中地区の首位に立っています。もちろんカーディングのことを言えばキリがないのですが、わずか数週間前とは全く違うチームと言っていいほどチームビルディングは進んでいるうえに、それぞれの選手の良さが際立っているのに驚いています。

 この時点で三遠が中地区の首位に立っている予想は申し訳ないのですができませんでした。なぜなら渋谷、川崎、シーホース三河と過去何シーズンもCSを戦ってきたような強豪がいるからです。もちろん彼らが今のままの順位で大人しくしているわけではないと思いますが、今シーズンのCS出場が一筋縄では行かないことを感じるさせる結果だと見ています。

熱戦続きで目まぐるしかった各地区の1カ月

千葉Jは新しいスタイルながらも上位をキープ(写真は新加入のロー) 【(C)B.LEAGUE】

 さて、東地区を振り返りたいと思うのですが、一体全体何から触れればいいのかわからないから困っています。そこで、ここは前述した三遠の大野HCが離れた千葉Jの状態から。選手は大きく変わらずとも、HCとスタッフを一新したことは少なからず影響があるように見えます。影響はあるもののどちらかといえばこちらも非常にポジティブな印象です。

 千葉Jは日本のアニメが大好きだという若きウイングの外国籍ヴィック・ローを獲得し、スモールラインナップ中心でよりスピーディな展開と攻撃的なディフェンスを仕掛けていくスタイルへと変貌しました。開幕からスタートダッシュにも成功し、東地区の首位に立っています。

 一方で昨季の王者に一体何があったのか? 心配をしている人も多いのではないでしょうか。ブレックスファンはもちろんでしょうし、他チームのファン・ブースター、関係者も、今の状態には未だ首をかしげている人が多いと思います。もちろん私もその一人です。

 今季の宇都宮は富山グラウジーズからオールスターの常連、ジュリアン・マブンガを獲得。持ち前のハーフコートバスケットをより盤石なものにし、ポゼッションゲームを突き詰めていくのだろうと予想していました。しかし、戦術よりも何かが足りないように感じる1カ月だったと言えます。

 改めて言うまでもありませんが、他チームと比べてもブレックスのメンバーは長く一緒にプレーしている選手が多く、昨シーズンのCSで見せた結束力はとてつもないものです。それゆえ、その反動が大きかったのかもしれません。燃え尽き症候群という言葉がありますが、それに近い状況なのかも。それでも開幕すれば、切り替えて新しいシーズンに臨むと思っていました。このバイウィークが明ける頃なのか、シーズン中盤になるかは今はわかりませんが、ブレックスがこのまま沈むわけがありません。眠れる獅子が目覚めるとき、東地区の順位表は目まぐるしく変化するだろうと予想します。

 最後に西地区に話を戻します。FE名古屋の開幕5連勝に驚いているうちに琉球、名古屋D、広島、そして島根が勝率で並ぶうえに、上位の直接対決の結果も入ってきて順位争いが混沌としました。名古屋Dが琉球と痛み分け、その琉球に第5節で勝った広島は元・琉球のドウェイン・エバンスが連日大活躍。あまりにも目まぐるしくてちょっと頭の整理が追いつきません。まだ上位チームとは試合のない島根が3チームに続いている状況ですが、今後も西地区の上位争いは激しさを増していくことでしょう。

 各地区上位2チームが無条件でCS出場権を手にする今シーズン。オールスターが茨城の水戸で開催される1月には、群雄割拠の3地区の順位表はどうなっているのでしょうか。

 これは誰にも予想ができないかもしれません。

 だからこそ全ての瞬間で「ココロ、たぎる」それが、Bリーグ。

 降格を避けるため、チャンピオンを目指すため、目の前の一戦一戦に全てを賭ける激闘を心から応援したい!

 今シーズンも、一バスケットボールファンとして、そして島根を通して、ココロ、たぎらせたいと思います。

朴航生(B MY HERO!特派員)

【(C)朴航生】

岡山学芸館高校を卒業後、アメリカ留学を経て、SHIZUOKA GYMRATSの一員としてABAへ参戦。帰国後bjリーグトライアウトの門を叩き、現B1の島根スサノオマジックへ入団、2シーズン在籍した。その後、Bリーグ開幕に伴いご縁を頂き、現在はバスケットボールコメンテーターとして島根のホームゲームを中心に奮闘中。ホーム、アウェーを同様に解説する姿勢、わかりやすい戦術解説に多くのファンを持つ。

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著者プロフィール

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