"はちみつまい&にっしーの夫婦観戦日記" 推しの移籍から広がるBリーグの楽しみ方【B MY HERO!】

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【B.LEAGUE】

退団発表〜感じた違和感が現実のものに〜

「…勝たせてあげられなかった。申し訳ない。来シーズンはさらにレベルアップした姿を見せたい」

 2020-2021シーズン、BリーグアワードでシーズンMVP受賞後のインタビューで金丸晃輔選手が放った言葉に胸が締め付けられたのを今でも覚えている。シーズンで感じた漢字1文字を"謝"と色紙に書いた金丸選手。MVP受賞の当日は、携わってくれた人たちへの感謝の言葉で溢れていた。しかし最後に放った、たった数秒の言葉が私の胸に引っかかっていた。

 2021年6月25日、「この度、8年間在籍したシーホースを退団することになりました」。三河の公式Twitterで、金丸選手の退団のお知らせを知った。あの時に感じた違和感が現実のものとなった。

感情の赴くままに

「え…移籍ーーーー!!! ほんとに?ほんと?」
「移籍先は島根…何でだろう? 想像できない」
「きっと何か理由や目標があるんだよね?」
「近くで見れなくなる…寂しい。寂しいーーーーーー」
「でも応援したい気持ちは変わらない。新しい場所での活躍も見てみたい」
「とにかく勝ちたい、優勝したい。最高の感動体験と金丸選手の笑顔を見たい」

 そんな気持ちが湧き上がってきた。

 毎年目標を決めて達成し、熱い闘志を心に秘めて前進する金丸選手をずっと見てきた。

 三河で、数々の記録と記憶に残るプレーを、私たちにプレゼントしてくれた。「勝たせてあげられなかった」ことに悔いが残っているとしたら、私も勝ちにこだわりたい。金丸選手が決めた決断なら、応援したいと思えた。時間が経つにつれて、移籍の寂しさから新しい場所での活躍が楽しみになってきた。

新しい楽しみとファンの繋がり

 三河以外のチームのファンクラブの会員になるのは初めてだった。会員の特典も違い、インスタグラムやTikTokを使ったSNS上でのファンサービスも、チームが違えば新鮮。金丸選手が消防士の格好をして写っている旗が、島根の道に立てられていて、山下泰弘選手と酵素風呂に入る日常の癒し動画もアップされていた。島根の地域と選手たちの距離が近いように感じた。アルバルク東京から安藤誓哉選手の移籍も決まり、A東京と三河と島根スサノオマジックのファンと、新たな繋がりができて純粋にうれしかった。

開幕初戦の千葉戦での1勝

金丸が島根に移籍することで、他のチームのファンとの交流も生まれた 【(C)B.LEAGUE】

 ポール・ヘナレHCが率いる島根のバズソーというプレースタイルは、分かりやすくて気に入っていた。

「僕らのスタイルは『バズソー』と言って、チェーンソーみたいにオフェンスからディフェンスと回り続けるようなスタイルです。これからも僕がバズソーのモーターになれるようにやっていきたいと思っています」

 安藤選手がインタビューで話していた通り、開幕初戦の千葉ジェッツ戦でそれを体現してくれた。オフェンスとディフェンスの切り替えが早く、点数を入れられても落ち込んでいる暇はなかった。すぐに安藤選手がボールを相手コートに運んで、シュートやアシストを決める。そこにリード・トラビス選手の豪快なゴール下のプレイと、金丸選手の3ポイントが決まることで、さらにチームに勢いをつけていた。富樫勇樹選手の作り出すスピードの速い千葉Jのオフェンスにも負けないくらい、オフェンシブなバスケで、見ていて興奮した。100対94で千葉に勝利。もしかして1年で本当に強くなるかもしれない。自分が元々の島根ファンだったら、この一勝はほんとに歴史的な夢のような体験だと感じた。

「いつもの島根で非日常の体験を」

 島根のポスターにもなっているこの言葉。私が三河に初めて観戦に行った時に会場で感じたワクワクした気持ちを思い出した。Bリーグの掲げるエンターテイメント性の革新に対して、島根がチャレンジしていく姿にも引き込まれていった。結局、ホームゲームに一度も足を運ぶことはできなかったけれど、自宅観戦でも、バスケの楽しさと夢を十分に感じることができた。

ついにやってきた! 島根対三河戦!

 三河と島根が戦う前に、Tシャツの左をシーホース、右をスサノオマジックにしてくれないかな…。箱推しのチームと推しがいるチームを選べない私は、Tシャツを作れないかと本気で考えていた。

 2021年12月29日島根対三河戦。初めての推し選手と推しチームとの対戦は、自宅で夫(にっしー)と観戦。

まい「試合見たらどんな気持ちになるのかなぁ」
にっしー「おれは三河しか応援しないけどね。まいちゃん島根ブースターだもんね(笑)」
まい「三河ブースターだよ! でも島根も応援してる!」

 そんな初めての感情を持ちながら、観戦が始まった。

まい「ぎゃーーーわぁーーーー」
にっしー「もっと静かに見て(笑)」
まい「えーーーむりだよぉ」
にっしー「金丸はあんまりチームにフィットしてないのかな」
まい「ちがうよ!! 自分で頑張って点数とらなくてもいいの! バズソーだもん!」
にっしー「単純に移籍した選手のチームを応援するって気にはならないんだよねぇ」

 なんというか…感情的な私に冷静な夫。試合になるとお互い好きなことを言いあって、最後まで話が平行線(笑)。

 最初は、どちらが決めてもうれしかった。点差が離れずに、最後まで接戦になってほしいと思った。バズソースタイルで勢いのある島根は、ペリン・ビュフォード選手のオフェンス力、ニック・ケイ選手のしぶといプレイも加わり、チーム力が増していた。21点差で島根が優勢だった。

 第3クォーター残り7秒、西田選手とダバンテ・ガードナー選手の連携プレイで10点差にまで三河が追いついた。

「行けーーー! ガードナーーーー!!!」

 運命の第4クォーターのファーストプレイ、島根は金丸選手に打たせるセットを使った。オフボールでペイントを経由してウイングに回り込み、ビュフォード選手からのアシストパス、キャッチアンドシュートで3ポイントに成功した。

「うぅぅーーー!! 丸様をノーマークにしたらいかん!! 入れられるやん!」

 私は完全に三河を応援していた。島根と戦うことで、三河の青援はやめられないこと、若い選手を育ててその過程も楽しめるチームだと改めて実感した。

 そして、大事な場面で確実にシュートを決める金丸選手に初めて脅威を感じた。敵になることで、金丸選手の本当の強さを知った。

 推しチームと推しのいるチームの対戦で、バスケ観戦の楽しさが倍増した。

2022-2023シーズン開幕!

今シーズンは三遠でプレーすることになった金丸 【(C)B.LEAGUE】

 カイル・オクイン選手とブランドン・ジャワト選手の加入で、得点力がさらに上がる三河。中村太地選手が復帰して、成長曲線上昇中の西田優大選手や角野亮伍選手がどんな活躍をしてくれるかが楽しみだ。鈴木貴美一HCの元で、若手の選手がどんどん成長して、オフェンシブな三河らしいバスケが見たい。三河の青援はやめられない!

 一方の金丸選手は島根を1年で退団し、三遠ネオフェニックスに移籍することとなった。その三遠は、ヤンテ・メイテン選手とアイゼイア・ヒックス選手の得点力、カイル・コリンズワース選手のアシストやリバウンド力に期待。ガード陣の激しいDFとスピード、金丸選手の3ポイントが武器になって、エナジーがみなぎる予想できないプレイにワクワクする!

 選手の力を引き出して、チームで弱みをカバーする、隙のない戦術と采配をする大野篤史HCの存在も、本当に恐るべし。

 そして、やっぱり金丸選手が活躍してほしい。ボールを要求する姿をもう一度見たい。気持ちよくシュートを決める姿がもう一度見たい。

 勝利を重ねて、最高の笑顔が見てみたい。

 推しの移籍を通して感じたこと。

 それは、Bリーグの楽しみ方は無限大にあるということ。私はまた今シーズンも、バスケの沼にはまっていく。

こころ赴くままに、「ココロ、たぎる」体験を求めて。

構成/バスケットボールキング編集部

はちみつまい(B MY HERO!特派員)

【(C)はちみつまい】

比江島慎選手がきっかけで、シーホース三河のブースターとなる。2018年の対オーストラリア戦の勝利で、大好きなバスケを盛り上げたいと思いBラボ会員として活動。SNSで推しの金丸晃輔選手の魅力を発信する。現在は、夫(にっしー)と共に、夫婦でバスケを楽しむ日々。
"No basketball no life."

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著者プロフィール

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