柳沢敦 アントラーズOBの今「考えさせることで導く、未来を築くための挑戦」【未来へのキセキ-EPISODE 17】

鹿島アントラーズ
チーム・協会

【©KASHIMA ANTLERS】

 今年からアントラーズユースで監督をつとめる柳沢敦は、アントラーズの未来と向き合っている。

「だいたい15時半から16時スタートの練習が多いですね。新型コロナウイルス感染症拡大から、これまでクラブハウスに集まっていたアカデミースタッフも分散勤務になりました。今はユースのスタッフは主にアカデミーハウスで業務をしています」

 アカデミーハウスとは、主にアントラーズユースの選手たちが寝食をともにする寮施設のこと。今年からアカデミーが目標に掲げる“アントラーズの主力を育てる”というテーマのもと、日々未来のクラブを背負う選手育成に向けて子どもたちと向き合う日々だ。

「基本的には11時にスタッフミーティングをして、その日のトレーニングの流れについて話しています。あとはチーム状況や個々のケガの具合。練習で意識しているのは『流れ』ですね。練習が始まってから終わるまでの流れをしっかり決めること。なるべく間を空けず、練習を止めない。無駄な時間を省いて構築していくようにしています」

 これまで鹿島アントラーズでタイトルを獲ってきた多くの選手たちは、“日常の練習”がその要因の一つにあると語る。まずは目の前の一日一日に対してどれだけフットボールに時間を費やせるか。日々の練習に対してどのように取り組むかを大切にし、それはユースでも同様に継承されている。

「アップでも基本練習でも、とにかくどんな練習に対しても100%でやることを求めています。質については、常に集中したトレーニングができる状態でやらないといけないというのは口酸っぱく言います。たとえばミスはミスでも一生懸命やっているミスと、集中していないときのミスでは全然違うものです。そういったところは厳しく見るように意識しています」

 もう一つ、意識しているのは“選手に考えさせる”ということだ。

「トレーニングのなかで何を求めているのか。選手たちが練習の狙いや意図について考えながらやるような指導を心がけています。うまく引き出せるときと引き出せないときがありますが、やはりポゼッションの練習をしていても、攻撃するための方法があるかないか、その意図を持っているかいないかで、ただボールをつなぐだけの練習になってしまう。そうなると自分たちが求めているサッカーとは違ってきてしまいます。そこはうまく伝えながらですね」

【©KASHIMA ANTLERS】

 アントラーズユースでは、現役時代にトップで活躍した小笠原満男テクニカルアドバイザー、當間建文コーチに加え、岡本秀雄コーチ、市川友也GKコーチ、またフィジカルコーチとして伊藤亮輔、トレーナーの稲葉篤が柳沢監督を支えている。

「中盤には満男がいて、DFラインは當間。さらに市川GKコーチ、伊藤フィジカルコーチもいる。岡本コーチはアマチュアからプロも経験していて、相当な努力をしてきた人なので、まさに高校生に響く経験があって話を聞いてもらうには適任です。いろいろな経験があるコーチたちがバランスよく配置されていると思うので、ある意味でそれぞれに任せられる。自分一人でというよりはみんなで分担しながらやっています」

 ユーススタッフ一丸となって、チームの結果と選手たちの成長を目指して取り組む日々だ。

「プロの若い選手たちも一気に成長することがありますが、やはり普段の姿勢と一つの経験がきっかけになると感じます。試合に出ること、試合でいいプレーをすることが、グッと成長するために必要なことです。一つの試合でグッと伸びて練習から変わってくる選手もいますし、今の1年生なんかもなかなかAチームに絡めない状況が多かったけれど、ここにきてグッと伸びてくる選手も出てきました。そういった選手たちが試合にからんでくれば、チーム内の競争力がもっと高まっておもしろくなっていくのかなと思います」

 とはいえ柳沢にとって、監督という立場は今回が初めてのこと。1997年にアントラーズへ高卒で加入するとJリーグ新人王に。Jリーグベストイレブンにも3度選ばれた。2014年に現役引退すると、翌2015年からアントラーズのトップチームコーチに就任。2019年からはユースコーチとなり、今年からユース監督に就任したばかり。支えるスタッフとともに、これまでの経験も踏まえて考えを巡らせ試行錯誤する日々だ。

「とにかく監督は初めてやらせてもらうことなので、すべてがわからないことだらけからスタートしました。半年が経ちましたけど、いろんな人に助けてもらいながら、ユースの活動の流れをつかみながら、やっと形として作ることができてきました。やっていくなかでの難しさも感じつつ、ただ選手がうまくなっていく、成長していく喜びも感じながらできています。あとは勝つことと育てることのバランスの難しさ。両方が大事だと思いますが、そこがすごく難しいなと思いますね」

 育成において勝つことと育成の両立は、アカデミー年代でよく議論されるテーマでもある。

「先日、トップチームのコーチである奥野さんと話していて、言い方は悪いけれど、どんな形でも勝つのはすごいことだよねとなりました。そして、勝つことが何より一番選手の成長につながると思うんです。試合に出て成功体験を繰り返す。ただ、勝つための手法や過程が育てるところにつながっていくと思うので、そのバランスが指導者として大事になるのではないかと思います」

 初めてのことではありながら、現役時代にはアントラーズのキャプテンを任され、さらには日本代表ではW杯に2度出場し、イタリア・セリエAでのプレーも経験。そして、クラブでは11個のタイトルを獲得した。肌感覚として、チームを勝たせる選手の基準を持ち合わせている。

 “アントラーズの主力を育てる”。

 選手たちに押し付けるわけではなく、あくまで自主性を重んじる。柳沢なりのチームづくりは形作られ始めている。未来への戦いは、まだスタートしたばかりだ。

【©KASHIMA ANTLERS】

ふるさと納税型クラウドファンディング開催中!御礼(リターン)として12/26(日)にスペシャルマッチ開催!

【©KASHIMA ANTLERS】

内容:アカデミー vs OBスペシャルマッチ観戦(3万円〜5万円コース)
詳細:アントラーズの伝統をつくりあげてきたOBたちが、将来、アントラーズの選手としてプレーすることを夢みるアカデミーの選手たちと対戦
※チケットの一般販売や動画配信の予定はありません。寄附者限定で観戦できるスペシャルマッチとなります。

開催日:2021年12月26日(日)予定

13:00〜13:30 U13アカデミートレセンvsOB
13:40〜14:10 U14アカデミートレセンvsOB
14:20〜14:50 U15アカデミートレセンvsOB
15:00〜15:30 U16 ユースvsOB
15:40〜16:10 U17 ユースvsOB

出場予定現役選手:土居聖真、町田浩樹、上田綺世、沖悠哉、染野唯月、山田大樹、舩橋佑
出場予定OB:本田泰人、名良橋晃、本山雅志、野沢拓也、青木剛、新井場徹、内田篤人、曽ケ端準、柳沢敦、小笠原満男、中田浩二ほか

※出場予定OBは随時発表予定
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著者プロフィール

鹿島アントラーズ

1991年10月、地元5自治体43企業の出資を経て、茨城県鹿島町(現鹿嶋市)に鹿島アントラーズFCが誕生。鹿角を意味する「アントラーズ」というクラブ名は、地域を代表する鹿島神宮の神鹿にちなみ、茨城県の“いばら”をイメージしている。本拠地は茨城県立カシマサッカースタジアム。2000年に国内主要タイトル3冠、2007~2009年にJ1リーグ史上初の3連覇、2018年にAFCアジアチャンピオンズリーグ初優勝を果たすなど、これまでにJリーグクラブ最多となる主要タイトル20冠を獲得している。

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