柳沢敦、小笠原満男、中田浩二、それぞれの育成年代での記憶「常に考えていたからこそ、自分の成長につながった」【第2回】

鹿島アントラーズ
チーム・協会

【©KASHIMA ANTLERS】

常に考えていたからこそ、自分の成長につながった

鹿島アントラーズは9月3日より、アカデミー専用グラウンドを新設するためのふるさと納税型クラウドファンディングプロジェクト「アントラーズの未来をみんなで」を開始した。プロジェクトを企画立ち上げから進めてきたのが、柳沢敦ユース監督、小笠原満男テクニカルアドバイザー、中田浩二クラブリレーションズオフィサーの3人。日本代表そして海外経験を持つ彼らは、育成年代において何を大切にしてきたのか。また未来のアントラーズの主力となる選手を育成していくために必要なこととは。今もクラブに関わるレジェンド3人がその思いを語る。

―――育成年代において大切なことは何か。それぞれの経験から聞かせてください。

小笠原 今自分が感じているところとしては、プロを目指す集団ではあるけれど、まだプロではないということです。どこまでやってあげて、どこかの時点では自立して自分でやらせることと、こっちもサポートしなければいけないことがある。これはよくミーティングでも話し合うことなんですが、そのバランスがすごく難しくて。個人的には環境が整っていくと、整っていくがゆえに、何か失ってしまうものもあるのではないかと思っています。昔であれば、みんなでグラウンド整備をしたり、石ころを拾ったり、ゴールを運ぶのは当たり前にやっていたこと。やはり人としても育っていかなければいけない。アントラーズでは当たり前にやってもらっていたことが、例えばじゃあ今度は大学に進学したときに「あれ、こいつ一人じゃ何もできない選手だな」という評価になるのはもったいない。どこまでやってあげて、どこまで自分でやらせるかというのは、すごく難しいなあというのはすごく感じています。やはり人としてもしっかりしていないといけない。高校3年では大学のセレクションもあったり、そこでうまくいけば面接もある。その過程で、全部が全部をやってあげると、あとで選手自身が困るのではないかと思ったりもしています。2019年にアカデミー専用の寮もできて、これからグラウンドも新たにできるなかで、最近は人としてのアプローチも改めて大事にしていかなくてはいけないかなと感じているところです。人によっても違うかもしれないですからね。

柳沢 逆に僕なんかは高校時代も寮生活ではなかったので、そのへんは自由だったよ。今ユースがやっているような普段のこと、例えばボール出しとか用具のところはマネージャーがいたからね。

中田 いいねえ。

柳沢 僕はマネージャーさんがやってくれるという環境で育っているので、ある意味、今のユースとは違いました。マネージャーがいないなかであれば、どうするかを考えなければいけない。ただ、当然サッカーに関しては、よりプロを意識する年代でもあると思うんです。そこで今までは何となく楽しくやってきたものが、まさに本当の意味でプロのサッカー選手になれるかどうか、というところに移行していくタイミング。よりサッカーを勉強するようになってきた時期だし、あとはフィジカル的な部分を鍛えるという年代でもあったと思うので、結構、高校年代はフィジカルのところの比重が大きかったなと思いますね。結構走り込んだり、筋トレしたりというのは、よくやっていました。
たまたま僕の高校時代のコーチがウルグアイ人だったんです。ウルグアイでもプロのコーチをやっていた方で、それでもユース年代でフィジカルトレーニングは重要視されていました。海外でもちゃんとやっているんだなというのを感じたのと、それに加えてサッカーを学んだという感じでしたね。中学生まではすごく楽しんでやっていたような感覚でした。(中田を指差して)ちょっとこちらの高校はたぶん特殊だと思うので……。

中田 そうそう、ちょっと特殊すぎる(笑)。

小笠原 当時のこと、言えないでしょ?(笑)

中田 今とは時代が違うから。ん〜……、一言も言えないなあ(笑)。

3人 (笑)。

何かを感じようとする人は聞こうとする

―――柳沢ユース監督のなかで、育成年代に大事だと思うことは何でしょうか?

柳沢 僕は高校のときに海外遠征へ行くことができました。監督がウルグアイ人の方だったので、高校のときにウルグアイまで計2回行きましたね。エコノミークラスで36時間かけ、ウルグアイでの有名どころであるナシオナルとかペニャロールとかと試合をやらせてもらいました。プロのトップの練習も見させてもらうことができて、それがすごく刺激になった。やっぱり実物のプロを見る環境というのがなかったなか、しかも海外でというのが一つの刺激になりました。あとはフィジカル的な部分の重要性というのを感じましたね。自ら体感できたのは大きかった。もう一つはウルグアイ人で通訳もいなかったので、やっぱりニュアンスで何を言いたいのかを汲み取るというか、聞き取るんです……。

小笠原 え、通訳いないんだ。

柳沢 そう、全部スペイン語。そうなると、何を言いたいかを聞こうとするんですよ。聞く耳を持つ。そこから自分で考えて行動しなければいけない。だから、僕の根本のところでなんでもかんでも伝えればいいわけではない、というのは思うところとしてあるんです。何かを感じようとする人ってやっぱり聞こうとするし、だからこそ伝えている側にもこういうことをやりたいんだというのが感じられるものなので、そういうのも大事だなというのは思いますね。

中田 考えるって本当に大事なことですよね。だから環境が整っていくと、指導者もどこまで与えるかというところのバランスが大事になるし、教えるときも全部を教えてしまうと成長がない。でも、やっぱりある程度のヒントを与えながら考えさせて成長を促していく。そう考えると、僕の高校時代の指示は「行け」「蹴れ」「走れ」しかなかった。じゃあその後どうするの? あとは自分でやれっていう(笑)。だから、どうプレーするかというのは考えながらやっていたかな。考えない選手は当然落ちていくし、そういうところで考えていたからこそ、自分の成長につながった部分というのはあると思う。育成年代ではそこがすごく大事だと思うし、それが生活のところでも与えすぎるとやっぱりわがままな人間になるだろうね。でも、そういうところもやりながら、一人の社会人ではないけれど、人として成長につなげていく。結局は社会人になるわけだし、その選手が海外に移籍となったとしても、いろいろなことを一人でやらなければいけない。アントラーズの環境にいれば恵まれているけれど、その外に出たときにちゃんとできる人間でいないと、今度は違う環境で活躍できない。そういうところですよね。一人の人間としてもちゃんとできなくてはいけない。海外に行けば勉強というところで語学というところにぶつかる。そこも多少できていないといけないし、サッカーだけしていればいいという状況ではないと思うからね。

―――考える過程も大事になってくるのですね。

中田 指導する上で、そのへんが一番難しいんでしょう? 多分、2人なんかはチームを勝たせるのは簡単なんですよね。答えを合わせて、選手たちに伝えればいい。

小笠原 いや、簡単じゃねえな(苦笑)。

中田 (笑)。多分、答えを言えばそれなりに動いてくれて結果につながる。でも、やっぱりそこに育成とか成長とかを求めると、我慢して、許容して、というのが必要になってくる。ミスも許容しながら、その先を考えないといけないんだろうね。

小笠原 一人の人間としてちゃんとしていないといけないというのは大事ですよね。フラメンゴを視察したときにアカデミーのスタッフが言っていたのが、アカデミーの選手がヨーロッパへ移籍したとき、人として困らないよう学校に行かせて教育を受ける機会を作ったり、時間を守ることを徹底して、規律や挨拶についてすごく重視しているという話をしていた。日本だと当たり前に求められることだけれど、ブラジルでもそうだった。自分も監督の家に下宿していたけれど、本当に練習後にボールの数を数えたり、家では皿も洗ったし、掃除洗濯も自分でやっていた。それをやってよかったなって今は思う。ただまあ、いろいろな環境でいろいろな成長の仕方があるので、どれが正解というのはないと思うんですけどね。

中田 下宿でいったら僕が一番ひどいかもしれない。高校1年のときは洗濯からマッサージからボール磨き、部室掃除となんでもやった。だから、ボールを出してくれるどころか、全部磨けていないと、1週間サッカーできなかったですからね。

柳沢 いろいろな環境があるね(笑)。(つづく)

アカデミーフィールド建設イメージ クラブハウス近隣でアカデミー専用グラウンド1面の整備に着手している。完成は2021年12月末を予定 特長: ・FIFA、JFAの製品認証取得した最高品質の人工芝、JFA基準以上の耐久性、業界最高レベル ・熱中症対策に効果のある、温度上昇軽減機能 ・将来Jリーグで活躍する事を見据え、天然芝に近いしなやかさ ・透水性が高く、雨の後もすぐにコンディション回復が早い 【©KASHIMA ANTLERS】

【©KASHIMA ANTLERS】

■企画名
クラウドファンディングプロジェクト「アントラーズの未来をみんなで」
■特設ページURL
クラブ特設サイト:https://www.antlers.co.jp/lp/crowdfunding_2021
申込サイト:https://readyfor.jp/projects/antlers_GCF2021
■実行者
鹿島アントラーズ×鹿嶋市
■目標金額
3億円 ※9月24日現在、22%達成中
■公開期間
2021年9月3日(金)〜10月31日(日)23:00
■形式
寄付型 / ALL-IN形式 
※目標金額の達成の有無に関わらず、集まった寄付金を受け取ることができる形式。
■詳細
READYFOR株式会社(所在地:東京都千代田区、代表取締役CEO:米良はるか)が運営する日本初のクラウドファンディングサービス「READYFOR」を活用したふるさと納税型クラウドファンディングとなります。「READYFOR ふるさと納税」の仕組みを使い、プロジェクトへの寄付は税制優遇の対象となります。本プロジェクトは鹿嶋市ふるさと納税のため、ふるさと納税の制度上、鹿嶋市民の皆様が寄付をする際は提供できる御礼(リターン)に制限がございますので、あらかじめご了承ください。
■御礼(リターン)の一例
内容:アカデミー vs OBスペシャルマッチ観戦(3万円〜5万円コース)
詳細:アントラーズの伝統をつくりあげてきたOBたちが、将来、アントラーズの選手としてプレーすることを夢みるアカデミーの選手たちと対戦
開催日:2021年12月26日(日)予定
出場予定OB:本田泰人、名良橋晃、本山雅志、柳沢敦、小笠原満男、中田浩二ほか
※出場予定OBは随時発表予定

お申込方法 ※お申込は下記、関連リンクから!

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著者プロフィール

鹿島アントラーズ

1991年10月、地元5自治体43企業の出資を経て、茨城県鹿島町(現鹿嶋市)に鹿島アントラーズFCが誕生。鹿角を意味する「アントラーズ」というクラブ名は、地域を代表する鹿島神宮の神鹿にちなみ、茨城県の“いばら”をイメージしている。本拠地は茨城県立カシマサッカースタジアム。2000年に国内主要タイトル3冠、2007~2009年にJ1リーグ史上初の3連覇、2018年にAFCアジアチャンピオンズリーグ初優勝を果たすなど、これまでにJリーグクラブ最多となる主要タイトル20冠を獲得している。

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