ロッテ佐々木千隼 紆余曲折を経て5年目のリスタート!井口監督も絶賛

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【笑顔の佐々木千隼】

 プロ5年目を迎えた佐々木千隼投手が新シーズンに向けて順調な仕上がりをみせている。2月18日に沖縄本島で行われたイーグルスとの練習試合(金武)では2回を無失点。首脳陣に猛アピールすると2月23日の宮崎でのバファローズ戦(SOKKEN)も1回を無失点に抑えた。マウンドの表情からは充実感と強い決意を感じる。

 「今の想いは上で活躍したい。一軍のマウンドで投げたい。ただ、それだけですね」
 
 ベンチに戻ってきた佐々木千は汗をぬぐいながら力強く2021年の決意を口にした。昨年は春季キャンプで右肩を痛め大きく出遅れた。過去4年間でプロ通算6勝。思い描いていた栄光の道ではなく茨の道が続いた。

 「日常生活でも痛いし、もう終わったと思いました」

 当時の悲壮感を佐々木千は振り返った。18年は右ひじを手術し一軍登板ナシ。翌19年には6試合に先発するなど手術から復帰し2勝で防御率2・53。感触を掴んで迎えた20年だったがスタートでいきなり躓く形となってしまった。ショックを引きずったままの一年。残った数字は5試合に登板をして未勝利。防御率は8・31だった。

 ただ悲観することばかりの一年ではなかった。大きな収穫があった。怪我をしたことで肩のトレーニング方法やケアをしっかり見つめ直し、肩の状態は徐々に回復。現在は万全の状態にある。

 「痛めた事で学んだ。色々な人と出会い、話を聞き、自分の身体を見つめて知る事が出来たと思う」。

 キャンプでは出発前も宿舎で入念にストレッチやケアを行い、戻ってからも夜、寝る前まで繰り返す。今までにはないほどしっかりと手入れを行い備えることで肩のコンディションは確実に良くなった。本人も「痛みはもうないし、効果は出ている」と笑顔が戻った。
 
 5球団競合の末、大きな注目を集めてマリーンズ入りした。キャンプでは連日、マスコミの注目の的となった。当時の事を佐々木千は次のように振り返る。

 「ドラフト1位だから、もっと頑張らないといけない。これでは駄目だと、自分で自分をただ苦しめていた。結局、どんどんマイナスになっていた。メディアも沢山いて、気負っていた。今思うとなんであんなに追い込んで悩んでいたのかなあと思う。もっと気楽にやればよかった」

 そして現在、マリーンズで同じように注目を一身に浴びる後輩の佐々木朗希投手については「朗希は凄い。持っているものもすごいし、あれだけ注目されても物怖じしていない。ボクとは格が違います。一緒なのは名字だけです」と笑う。

 気持ちの変化があり、色々な事を学び成長した。ただ一つ変わらない事がある。好きな歌だ。苦しい時に原点に戻れる曲。高校時代からのお気に入り。馬場俊英さんの「スタートライン〜新しい風」である。なかなか芽が出ずに苦しんだ学生時代。相次ぐ怪我に見舞われ苦しかったプロ入り後。何もうまくいかず、嘆きたくなる時、この曲がいつも励まし背中を押してくれた。

 「もうダメさ これ以上は前に進めない そんな日が誰にだってある。だけど 雨でも晴れても何でもいつでもその気になりゃ 何度でもやり直せる 何度でも」。

 この唄を聞き終わると不思議と勇気が湧いた。ずっと聞いた。何度も聞いた。この曲の存在は特別だ。

 「プロ入りする前も今もボクは聞いています。移動のバスの中とかで聞いて励ましてもらっている。いい歌ですよね」(佐々木千)。
 
 2021年、新しいスタートラインで背番号「11」が存在感を見せている。井口資仁監督は「ストレートに威力がある。非常に楽しみな。今年、期待をしている」と口にする。本人も「ストレートはよくなっている。スピード以上に打者に速く感じる球を投げていきたい。もっと良くなると思っている」と前を向く。キレのある直球にシンカー、スライダー、フォークを駆使する投球術は頼もしい限り。なにより苦しんだからこそ掴んだメンタル面の成長がある。もがき苦しみながらも自分を信じ続け、ようやく光明を見出した男がマリーンズ先発投手陣の一角に食い込もうとしている。

文 千葉ロッテマリーンズ広報室 梶原 紀章
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