さすがの大谷翔平でも緊張した第1打席…今永昇太との対決の裏側 開幕戦快勝も王者ドジャースが抱える不安要素

丹羽政善

ベッツに続き、フリーマンも離脱…

勝ち越しを決めた5回、ベンチで喜ぶドジャースナイン。主力を欠き、今後どう戦っていくか注目される 【写真は共同】

 それにしても、あの大谷でさえ緊張した試合前の雰囲気は、独特だった。オールスターゲームでもあの空気感は味わえない。フィールドは、多くのメディア、関係者でごった返し、関係者の中には、撮影用のカメラ機材を手にしていたケン・グリフィーJr.、1月にイチロー(マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)と野球殿堂入りを果たしたCC・サバシアらもいた。大谷は、キャッチボールのときにフィールドに出てきただけだが、それでも異様な空気に飲み込まれそうになった。

 試合前には選手紹介などのセレモニーも行われ、通常なら選手は、自分のルーティンに徹することで、脳を試合モードに切り替えるが、それができない状況だったのだ。

 大谷自身、「東京ドームで(試合を)やったことはありますけど、ほぼほぼホームサイドでしかやったことがないので、ビジターサイドがどういう風になっているかはちょっと分からなかった」と勝手が違ったことを認めた。よって試合前、こう意識したそう。

「おそらくゲーム中はケージもないし、準備が難しいのではないかと思っていて、そこに対してしっかり対応していくというのがまず今日は課題だと思っていた」

 課題はクリアできたのか?

「3打席目以降でいい仕事ができたと」

 さて、相手のミスに乗じて、打線もつながり、開幕戦を勝利で飾ったが、一方で不安も。

 体調を崩して、ムーキー・ベッツが帰国。試合直前、脇腹の張りでフレディ・フリーマンの欠場も決まった。いきなり、2番、3番打者が消えた。

「やっぱり長いフライトのあとでタイトなスケジュールをこなしていくというのは、その上で健康を保ってプレーしていくのは難しさもある」と大谷。

 ベッツに関しては、さほど欠場が長引かない見込みだが、フリーマンの脇腹は厄介。程度にもよるが、1カ月以上、かかるケースもある。大谷自身、2023年9月にそれを経験している。

「本人は、もちろん、プレーしたかったと思う」とおもんぱかった大谷は、こう続けた。「ただ、ベンチにもいてくれてチームの士気は高かった」。

 今後、影響がどう出るのか? 勝利の裏で、米国本土での開幕戦を見据えたとき、この懸念はすぐには解消されないかもしれない。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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