今の日本人選手は、史上最強世代なのか―― 凱旋した大谷、今永の思い、そしてイチロー独自の感覚とは?
日本人選手が示すポテンシャルの高さ
また、メジャーリーグに来たら、せいぜい先発3番手ではないか、と見られていた今永の活躍は、日本人投手の裾野の広さを知らしめ、さらに幅広く日本プロ野球、高校生のスカウティングの必要性をメジャーの各球団に意識させることになった。アスレチックスが、東京・桐朋高校の18歳、森井翔太郎とマイナー契約を結んだことが、それを象徴する。
さらに、まだ開幕ローテーションを勝ち取ったわけではない門別啓人(阪神)が、カブス打線を五回パーフェクトに抑えたことは、どうメジャーの関係者の目に映ったか。
大谷は、「今までもたくさん素晴らしい選手がメジャーリーグでプレーしていたと思いますし、必ずしも今がそうかというのは分からない」と話したが、確かに、さらに遡れば、多くの日本人選手がメジャーで活躍できた時代もあったかもしれない。もはやそのことは証明しようがないが、最強世代を考えるなら、WBCはその一つの目安になりうる。
個人的には、イチロー、松坂大輔、ダルビッシュらがいた2009年のチームか、大谷、山本、ダルビッシュ、村上宗隆らが揃った2023年のチームか、ということになるのだが、いずれにしても、メジャーリーグでも対等に戦える時代がやってきた。
もっとも、イチローさん(マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)に言わせればこうなる。米野球殿堂入りを決めた日、こんな話をした。
「今、日本人選手たちの活躍、あるんですけれど。感覚的にはまだまだ少ないんですよね。今年で僕が初めて来てから25年目となるんですけど、『25年後にこんなに少ないの』という感触です。だって、南米系の選手、どのチームだっているじゃないですか、何人もいます。なんだったらアメリカ人よりも多いチーム、感覚的にね、実際の数は見ていないですけど、そこまで到底及んでいないですよね。あまりにも進み方が遅いというのが僕の感触です。各チームに一人、二人、最低いるぐらいになっているんじゃないかと期待していました。でもまったくそこまで届いていないです。これが僕の感想です」
まだまだ余地があるというのは、それはそれで、日本人選手のポテンシャルの高さを示しているとも言えそうだ。