今の日本人選手は、史上最強世代なのか―― 凱旋した大谷、今永の思い、そしてイチロー独自の感覚とは?
すると、「一人か?」と阪神ファンに声をかけられ、うなずいたところ、応援用のサンダースティックを渡された。
「これを振っておけ」
言われた通り、周りに合わせてサンダースティックを振り、叩いていると、「ノリがいいなぁ」と褒められ、「一緒に、応援しよう」と仲間入りを認められた。
その試合が終わって、マリナーズのクラブハウス前に現れたウィルヘルムセンはもはや、サンダースティックを両手に六甲おろしのメロディを口ずさむほど。「選手だとバレなかったの?」と聞くと、首を振った。
「まったく。最後まで、ただのファンだと思われていたみたいだ」
※リンク先は外部サイトの場合があります
日米スターがそろい客席は立錐の余地なし
一方、15日の阪神対カブスの観客数は、41978人。他の試合でも完売が続く。
ドジャース戦は予想できたことだが、カブスにも今永昇太、鈴木誠也というオールスタークラスがいる。さらにイアン・ハップ、カイル・タッカー、ダンスビー・スワンソンら、日本のファンにも馴染みのある選手も所属している。今回の開幕戦は、カブスが軸だったとしても、興行として十分に成立したのではないか。
ドジャースにしても、大谷翔平に注目が集まりがちだが、2021年から3シーズン連続で沢村賞を受賞(金田正一に次いで史上二人目)した山本由伸、惜しくも2試合連続の完全試合を逃した佐々木朗希もいる。
もちろん、フレディ・フリーマン、テオスカー・ヘルナンデスもいて、今回の開幕シリーズが、盛り上がらない理由が見つからない。
加えて、巨人、阪神にも、将来のMLB候補選手がゴロゴロ。巨人なら岡本和真、戸郷翔征、大勢。阪神には才木浩人、森下翔太らがいて、大谷を筆頭に、ここまで名前を挙げた選手らは、来年のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)に選抜される可能性が高く、連覇も期待される。完売続きも当然で、だからこそ先日、こんな質問が大谷、今永らに飛んだ。
――今の日本人選手は、最強世代ですか?
大谷は、「今までもたくさん素晴らしい選手がメジャーリーグでプレーしていたと思いますし、必ずしも今がそうかというのはわからない」とした上で、こう続けた。
「今回5人プレーしているので、たまたま多くのメジャーリーガーが所属しているチーム(同士)がプレーできて嬉しく思います」
決してたまたまとは思えないが、今永は、日本にいる選手も含めて、最強世代であることを実感しているような口ぶりだった。
「(カブスの)スタッフ、選手から、今日本でプレーしている選手の中で、この投手知ってる? この選手すごいよな。この選手いつアメリカに来るんだ?っていう質問をたくさん受ける。米国の選手も日本の野球の素晴らしさに関して情報を持っている」
そうしたやりとりはすなわち、日本野球のレベルの高さを物語る。