積極補強が光った浦和と柏…東京3チームも戦力アップ J1リーグ全20クラブの補強診断【前編】
日本代表として現在5試合出場3得点の成績を残す西村拓真(中央)。横浜FM時代にはACLにも出場しており、ACL初参戦の町田にとって心強い 【池田タツ】
FC町田ゼルビア
昨シーズン:3位
監督:黒田剛(3年目)
昨季、日本代表に選出された望月ヘンリー海輝が担う右サイドバックには、FC東京から対人のスペシャリストであるDF中村帆高を補強。さらに、3バックが予想される最終ラインには黒田監督の青森山田高時代の教え子であるDF菊池流帆(←神戸)と、札幌の守備リーダーだったDF岡村大八を獲得。あらゆるポジションの底上げに余念がない。
昨夏チームに加わりながら、フィットする時間が足りなかった相馬勇紀や白崎凌兵といった実力者たちも、今季はしっかりフィットするはず。今季はクラブ史上初めてACLに参戦するため、過密日程や遠征の疲労などが懸念されるが、それを克服できるだけのチーム力と経験者を備えているように感じられる。
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川崎フロンターレ
昨シーズン:8位
監督:長谷部茂利(新任)
サイドを主戦場とする伊藤には、相手サイドバックとの1対1を制して違いを生み出す役割が期待されている。とはいえ、柏アカデミーからドイツに渡ったため、Jリーグでプレーするのは初めてのこと。約9年間過ごしたドイツ、ベルギーと日本ではスタイルが異なるため、フィットするのに時間がかかる可能性がある。
むしろ飛躍が期待されるのは、アカデミー出身で、福島での武者修行から帰還するMF大関友翔だろう。J3で32試合8得点をマークした司令塔が、山本悠樹や河原創らとのポジション争いに割って入ってくれば、チーム内の競争力が高まるのは間違いない。いずれにせよ、長谷部新監督の懐刀や愛弟子といった存在を獲得しなかったのは、強化部が現有戦力に自信を持っているからかもしれない。
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横浜F・マリノス
昨シーズン:9位
監督:スティーブ・ホーランド(新任)
とりわけエドゥアルド、畠中に加えて上島拓巳(→福岡)も移籍したセンターバックは補強が急務のポジションで、1月21日にコロンビア出身のジェイソン・キニョーネス(←アギラス・ドラダス)と、オーストラリア代表のトーマス・デン(←新潟)の獲得が発表された。ホーランド新監督は3バックの導入を模索しているようで、既存の渡邊泰基を含め、最終ラインの連係や出来がチームの浮沈のカギを握りそうだ。
新風を吹かせることが期待されるのは、アカデミー育ちのMF松田詠太郎。大宮、新潟で試合経験を積み、5年ぶりの復帰となるアタッカーが、ブラジル人選手で形成される前線に食い込むようなら、攻撃陣の活性化が進むに違いない。
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横浜FC
昨シーズン:J2・2位
監督:四方田修平(4年目)
代わって前線に鈴木武蔵(←札幌)、中盤に駒井善成(←札幌)、最終ラインに伊藤槙人(←磐田)らを獲得し、穴の修繕のメドは立てた。ただし、いずれも昨季、所属チームがJ2に降格している点は見逃せない。残留を目標に掲げるチームにとって不安が残り、放出と補強の収支はマイナスのように感じられる。
とはいえ、前回昇格した22年は15人の選手がチームを去り、新加入選手が20人という大幅入れ替えだったが、今回は前述した4人の主力以外は残留させることに成功。昨季のJ2最少失点の守備力をベースに、チームを率いて4年目を迎える四方田体制の継続性のメリットを発揮できれば、初のJ1残留が見えてくる(降格のなかった20年シーズンを除く)。
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湘南ベルマーレ
昨シーズン:15位
監督:山口智(5年目)
また、9シーズンプレーし、キャプテンも務めた守備のスペシャリスト・岡本拓也(→パース・グローリー)、通算8年半在籍したMF山田直輝(→岐阜)と、ふたりのベテランもチームを去った。山田は契約満了だが、岡本は1月16日の移籍発表のため、クラブとしては誤算の面もあるだろう。右ウイングバックには鹿島からスピードスターの藤井智也を迎え入れたが、岡本とはタイプが大きく異なる。ピッチ内外での貢献が光った岡本流出の穴も小さくない。
ソン・ボムグン(→全北現代)が抜けたGKの選手層も含め、不安要素は尽きないが、一方で、FW鈴木章斗やFW福田翔生、MF平岡大陽ら若き攻撃陣とFWルキアンが残留した攻撃陣は人材が豊富だ。残留争いに巻き込まれないよう、攻撃陣の爆発に期待したい。
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