欧州中堅&下部リーグでプレーする日本人選手の前半戦通信簿【前編】北欧で躍動する18歳が“非5大リーグ”のMVP

河治良幸

森下龍矢(MF)/レギア・ワルシャワ(ポーランド)

インサイドハーフに加えてウイングでの起用にも応え、チームになくてはならない存在となっている 【Photo by Grzegorz Wajda/SOPA Images/LightRocket via Getty Images】

前半戦の通信簿:S
 冬の移籍市場で名古屋グランパスから期限付き移籍で加入した昨シーズンは、ウイングバックで起用されたが、期待されたゴールに直結する仕事がなかなかできずに苦しんだ。しかし、今シーズンは4-3-3のインサイドハーフにコンバートされたことで、覚醒的な活躍を見せており、欧州カンファレンスリーグを含む全公式戦で7得点・8アシストを記録。今冬に完全移籍を勝ち取ったばかりだが、すぐにステップアップ移籍してもおかしくない。

斉藤光毅(MF)/QPR(イングランド2部)

前半戦の通信簿:B
 ベルギー、オランダと着実にステップアップして、イングランド2部のチャンピオンシップでも確かな存在感を見せている。途中出場も多いとはいえ、心身ともにタフなリーグでコンスタントに起用されてゴールにも絡んでいるのは評価できる。しかし、ここまで得点がないのは寂しい。3アシストは光るが、もっと目に見える結果を残さないと、2列目に猛者がひしめくA代表は見えてこない。

坂元達裕(MF)/コベントリー(イングランド2部)

4-2-3-1の右サイドアタッカーとして、チームにとって不可欠なピースに。ここまで22試合出場で3得点・3アシストを記録 【Photo by Crystal Pix/MB Media/Getty Images】

前半戦の通信簿:A
 ベルギーで結果を残し、新天地での活躍が期待された昨シーズンは、骨盤の負傷で終盤戦をまるまる棒に振ってしまった。しかし、プレシーズンに約5カ月ぶりの戦線復帰を果たすと、しっかりと右サイドの主戦に定着して、得意のドリブルで相手ディフェンスを翻弄。元日(現地時間)に行われたカーディフ・シティ戦でもチームに勝ち点をもたらす同点ゴールを記録した。日本代表の右サイドは競争が厳しいが、このまま怪我なくプレーして結果を残せば復帰は既定路線だ。

瀬古樹(MF)/ストーク(イングランド2部)

前半戦の通信簿:B
 夏に川崎フロンターレを退団してイングランド挑戦を決断したが、移籍の手続きが難航して、期限最終日になんとか登録が完了するというスリリングな経験も。しかし、チーム合流後は途中で監督交代を経験しながらも、中盤の主力として奮闘している。年末に解任されたナルシス・ペラハ前監督の下では、4-2-3-1のボランチとして攻守の要になっていたが、今シーズン3人目の指揮官となるマーク・ロビンズ新監督が就任した後半戦は、もっと前に出て決定機に関与し得点やアシストにもこだわりたい。

平河悠(FW)/ブリストル・シティ(イングランド2部)

故障で出遅れたが、第4節から全試合出場。23試合中スタメンは13試合と不動のレギュラーとは言えないが、欧州1年目から上々のシーズンを送る 【Photo by Ryan Hiscott/Getty Images】

前半戦の通信簿:A
 4-2-3-1の2列目右サイドが主戦場ながら、左サイドでも同様の働きができるのが強みだ。チャンピオンシップの舞台では、前所属のFC町田ゼルビアで見せていたようなハードワークと確かなディフェンスをベースに、攻撃面でも違いを作り出している。途中出場もあるが、それでも勝負どころの投入が多く、リアム・マニング監督の信頼を着実につかんでいる様子だ。あとは決定力を高めてチャンスをゴールに結びつけ、さらに価値を上げたい。

岩田智輝(MF)/バーミンガム(イングランド3部)

デビューから2戦連続ゴールと好スタートを切り、瞬く間に主軸に。1年でのチャンピオンシップ返り咲きを目指し、順調に歩を進めるチームを引っ張る 【Photo by Eddie Keogh/Getty Images】

前半戦の通信簿:A
 スコットランドの名門セルティックでは、怪我もあって主力に定着しきれなかったが、新天地バーミンガムではボランチとして攻守をコントロールするだけでなく、積極的な飛び出しからゴールも奪っている。特にミドルシュートの決定力は現地でも高く評価されているようだ。3部リーグながら、イングランドで価値が高い「ボックス・トゥ・ボックス」の万能MFとして飛躍の足がかりをつかみつつある。

橋本拳人(MF)/エイバル(スペイン2部)

※1月にFC東京への移籍が決定

前半戦の通信簿:D
 2022年の再渡欧からスペイン2部のウエスカで実績を積み上げて、同じカテゴリーのエイバルで欧州挑戦の続行を決断。ただ、前半戦を通してスタメン出場は1試合のみで(出場7試合)、最後までベンチを温める試合が続くなど、苦しい時期を過ごした。ファンの間ではJリーグ復帰を望む声も上がっていたが、1月9日に古巣のFC東京に完全移籍すると公式のアナウンスがあった。

(企画・編集/YOJI-GEN)

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著者プロフィール

セガ『WCCF』の開発に携わり、手がけた選手カード は1万枚を超える。創刊にも関わったサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』で現在は日本代表を担当。チーム戦術やプレー分析を得意と しており、その対象は海外サッカーから日本の育成年代まで幅広い。「タグマ!」にてWEBマガジン『サッカーの羅針盤』を展開中。

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