“天才打者“秋山翔吾が語る「凄い打者トップ5」 自らの生きる道を定めたライバルと先輩とは?
「共通しているのはレフト前へのボールの運び方」
中村晃(写真)や銀次の卓越したレフト前への打撃技術が秋山の「生きる道の指標になった」と語る 【写真は共同】
「中村晃選手と銀次さんに関していうとほぼ理由が一緒です。ホームランが打てなくても3割を確実に打つバッター。そうならなきゃいけないなっていう中で、そのイメージを持たせてくれたバッターです」
先述した柳田のパワーを前に自らの「生きる道」を模索した秋山が、対戦相手として目の当たりにした2人のバッティングが“ヒント”になった。
「タイプチェンジして(中村)晃君はホームランを2ケタ打った記憶もありますけど、当時は1番打者で徹底して出塁して、銀次さんもとにかくレフト前にボールを打つ、落とすみたいな打ち方だった。この2人に共通しているのはレフト前へのボールの運び方、落とし方。お手本っていうか、いい指標というか、こういう選手になることで僕が生き残れる、僕の生きる道かなって思って見ていましたね」
守備時に「スタートが遅れる」と苦労させられた男
長くセンターの守備位置を守った秋山。外野位置から見つめた対戦相手のバッティングも自身の成長への糧にした 【写真は共同】
「内川さんは右バッター で、ライト前、逆方向に打つっていうところは参考にしづらかったんですけど、打率を残す人って、あそこに打つよなっていう、お手本みたいな考え方と打ち方をしていた」
NPBの右打者史上最高打率記録保持者であり、セ・パ両リーグでの首位打者獲得に7年連続打率3割達成などの足跡とともに、通算2186安打をマークした内川の常人離れしたバッティングは、対戦相手として外野を守っていた際に身に染みて感じていたようだ。
「センターで守っていて、どこにボールが飛んでくるかが分かりづらかった。インコースでレフトに飛ぶと思うようなタイミングで(バットを)振っているのに、右中間に飛んで行ったりとか、外のボールで泳いでいて、もう逆方向にヘッドが向いてるのに(ヘッドが)返ってセンターの前とか。(センター守備時の)重心のかけ方がすごく難しくて、スタートが遅れる。これはもう技術以外ない」
柳田、栗山、中村晃、銀次、内川。今回、秋山が挙げた「凄い打者トップ5」に異論を唱えるものは少ないだろう。誰もが「凄い」と思うバッターばかりだからだ。しかし、多くの凡人たちと秋山が異なるところは、彼らの能力、技術を、秋山が自らのバッティングに投影したことだろう。「凄い」で立ち止まることなく、そこで見たもの、感じたものを、自分自身へブラッシュアップしてきたと言える。
さて、秋山にとっての「6人目」は現れるだろうか。もし現れたのならば、それは秋山にとってさらなる進化を遂げるチャンスになる。飽くなき探究心の持ち主。現在36歳ではあるが、この男ならば、まだまだ成長する気がしてならない。