井口資仁&五十嵐亮太が振り返る2024年パ・リーグ 圧倒優勝、躍進の2位、歴史的貧打…称賛した選手とは? 

三和直樹

20回目のリーグ優勝を決めたソフトバンク 【写真は共同】

 スポーツナビの公式YouTubeチャンネルでライブ配信された『袴田彩会の野球を語らナイト★2024総決算SP』で、フリーアナウンサーの袴田彩会さんをMCに、広島の現役選手の秋山翔吾外野手に加えて、元ロッテ監督の井口資仁氏、ヤクルト・ソフトバンクOBの五十嵐亮太氏が出演した。

 そこで語られた2024年のパ・リーグの振り返りトークを、井口氏と五十嵐氏の意見を中心に振り返りたい。

五十嵐氏が語るソフトバンク“圧倒優勝”の理由は?

 2024年のパ・リーグで最も強かったチームは、誰が、どのような角度から考えようにも、ソフトバンクだった。

 巨大戦力を有して毎年、優勝候補筆頭に挙げられながら、2021年から4位、2位、3位でリーグ優勝を逃してきたソフトバンクだったが、小久保裕紀新監督を迎えた2024年は、開幕6試合目で首位に立つと、そのまま一度もその座を許すことなくトップを走り続け、最終的に貯金42、2位に13.5ゲーム差を付けて20回目の優勝を決めた。

 この結果に、井口氏は率直に「すごい」とした上で「やっぱり戦力を見ると、打線も投手陣もズバ抜けていた。今年は山川(穂高)選手が入って、近藤(健介)選手、怪我はありましたけど柳田(悠岐)選手と、この3人が並んだことが大きかった。やっぱり層が厚かった」と振り返る。

 ただ、ソフトバンクOBでも五十嵐氏は、単純に「層が厚かった」という評価に釘を刺す。これまでも戦力的には断トツと言われながら勝てなかった過去があるからだ。だからこそ、指揮官の采配に賛辞を送る。

「層が厚いって毎年言われていたにも関わらず(3年間)優勝できなかった。もちろん山川選手の加入は大きいですけど、勝てたのは小久保監督の力が大きいと思います。それまで一軍のヘッドコーチや二軍監督をやって来た中で、選手の起用法、選手たちの性格も含めて、いい起用をしたからこそ、これだけ圧倒的に勝てた」

 さらに五十嵐氏は、MLBへのコーチ留学を経て、2024年にチームに復帰し、一軍投手コーチ(チーフ)兼ヘッドコーディネーターを務めた倉野信次コーチの手腕を褒め称える。

「投手陣にとっては倉野さんの存在が大きい。倉野コーチが戻ってきて、ピッチャーのストライク率が高くなった。ピッチャーってストライクを率を高くするのは簡単なんですけど、高くすると打たれる確率が高くなる。その葛藤の中で“打たれたくない”から際どいところに投げちゃうんですけど、その精神的なところのコントロールをうまくできたことが、ピッチャー陣の好結果につながったと思う」

 チーム成績を投打別に見ても、得点数、打率、本塁打数、先発防御率、救援防御率、失策数と、ソフトバンクはほぼすべての項目でリーグトップを誇った。五十嵐氏も「これはもう笑えちゃうね」と脱帽するしかない“圧倒的な強さ”だった。

2位躍進の日本ハムへの賛辞

 そのソフトバンクに必死に追い縋(すが)ったのが、新庄剛志監督3シーズン目となった日本ハムだった。「やっぱりこの2年間、ある程度リスクを背負いながら若手選手を育てた結果がこれですよ」と五十嵐氏。2年連続最下位から2位躍進を遂げ、6年ぶりのCS進出を果たすとともに、多くの選手の成長を感じた収穫の多いシーズンとなった。

 その戦いぶりを、井口氏は「今年はある程度、新庄監督が描いていた各ポジションのピースがしっかり埋まってきた」と分析する。そして2012年以来12年ぶりのチーム防御率2点台(2.94)となった投手陣の頑張り、そして過去2年間は460点台だったチーム得点数が一気にリーグ2位の532得点へとアップした野手陣への相乗効果を指摘する。

「投手陣が、まずはしっかりと頑張ってくれた。やっぱり若い野手を育てるには、投手がしっかりしなくちゃいけない。逆に若い投手が投げるときには野手陣が援護してあげる。そういう効果があると、やっぱりチームってどんどん上がっていく」

 その中で注目を集めた一人が、夏場以降に本塁打を量産した清宮幸太郎だ。高卒7年目の今季、故障で出遅れた中でシーズン89試合に出場し、規定打席不足も打率.300をマークし、15本塁打、51打点の成績を残した。11月には侍ジャパンの一員としてプレミア12にも参戦した清宮に対して、五十嵐氏は「来年が大事」と訴える。

「清宮は来年ですよ、来年が大事。ファンも待っていますし、来年も活躍したら頼もしいと。その後も活躍できるし、(成績が)安定してくると思う」

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著者プロフィール

1979年1月1日生まれ。大阪府出身。学生時代からサッカー&近鉄ファン一筋。大学卒業後、スポーツ紙記者として、野球、サッカーを中心に、ラグビー、マラソンなど様々な競技を取材。野球専門誌『Baseball Times』の編集兼ライターを経て、現在はフリーランスとして、プロ野球、高校野球、サッカーなど幅広く執筆している。

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