24年最終戦の爆発を呼んだ町野修斗の強烈な自信 “有言実行の男”が後半戦のブレイクを予感させる
一貫して持ち続けてきた自信
ホームのフランクフルト戦で2ゴールを挙げるなど、開幕5試合で4ゴールの活躍。その後、徐々に出番を減らしたが、1部でも通用するという自信は揺るがなかった 【Photo by Cathrin Mueller/Getty Images】
そしてこうなると、大抵はどんな質問にもネガティブな答えが返ってきがちだ。これまで取材してきた中でも、落ち込んでいる時はどうしてもネガティブな言葉が口をついてしまう選手がいた。選手も人間だから、難しい時期を乗り越える過程ではポジティブな発言ができないことだってある。
それでも、ここで町野の”強さ”を感じられたのは、それ以上悲観的にはならなかったからだ。続けてネガティブな言葉を漏らさなかったのは、今季、一貫して”自分の力を疑っていない”という自信を持ち続けていたからに他ならない。
第4節のボーフム戦後、「初めてブンデスリーガで戦ってみて、自分に足りないところはあるか?」と聞く機会があった。一段レベルの上がった舞台で、どんなことを感じているのか知りたかったからだ。町野は少しばかり考えた上で、「今のところは順調にきているかなと。まずはイージーミスをなくすところですかね」と語り、そこまで差を感じていないと明かしていた。
ちょっとした改善点が出てくるかと思えば、”イージーミスをなくすこと”程度。その言葉からも問題なくやれるという自信が伝わってきた。
その後、なかなか出場機会を得られない時期が続いた中でも、スタンスは変わらなかった。どの試合で話を聞いても「チャンスがあれば結果を残せる」と言い続けてきた。
最後の1試合に全てを賭けたい
いよいよ1月11日からブンデスリーガが再開する。あの苦しかった時期に逆戻りしないためにも、町野には目に見える結果が必要だ 【Photo by Mathias Renner / City-Press GmbH Bildagentur via Getty Images】
「最初の方は調子も良かったけど、上位のチームとやってダメで代えられた感じだった。そういう上の相手にも通用する力がないとシーズンを通しては難しいかなと思いますけど、まずはクリスマス休暇前の試合で1点、2点取って、(トータルで)5点以上を取って前半戦を終えたい。ボールを持ったら“できる”という感覚は持っている。そこまでどうたどり着くかが難しいけど、やるしかない。こういう苦しい時に点を取ることができれば、チームの中心となってまたやれると思っている。最後の1試合に全てを賭けたいと思います」
そうして強い覚悟を持って挑んだのが、アウクスブルク戦だった。自分がスタートからピッチに立てば、これだけやれる。スターティングラインナップに名を連ね、今までのモヤモヤを打ち消すようなダイナミックなプレーをピッチで示した。ゴールを決めた後、アシストをした後、いつも以上に喜ぶ町野の姿に、いかに難しい時期を過ごしてきたかが映し出されていた。
もちろん、これでシーズンが終わったわけではない。1月11日から再開するリーグ後半戦で、町野はさらなる結果を残す必要がある。アウクスブルク戦の活躍によって、次の試合(第16節/アウェーのフライブルク戦)でもスタメンで起用される可能性が高そうだが、またここで指揮官を満足させられなければ再びベンチに座る日々が待っている。
あの苦しい時期には戻りたくないという思いは、当然強く持っているだろう。だからこそ、町野は普段と変わらず、前を向いて、自信を持って目の前の試合に集中している。シーズン前に「今年は日本代表を目指したい」と強調し、第一の目標として「7ゴール・7アシスト以上」を掲げた。現在は6ゴール、2アシスト。後半戦、目標を大幅に上方修正するようなパフォーマンスが見られるはずだ。
(企画・編集/YOJI-GEN)