【週刊グランドスラム285】都市対抗での白星から飛躍を目指す北海道ガスの右腕・村上大芽
プロを相手にしても、強気のマウンドさばきを見せた村上大芽(北海道ガス)。 【写真=宮野敦子】
北海道ガスで主戦を任されている右腕は、立命館大から2022年に入社した。北海道ガスが創部して5年目の春だ。1年目こそなかなか登板機会をつかみ取れなかったが、2年目に経験を積み、昨年は都市対抗一回戦で先発した。優勝候補と目されるNTT東日本を相手に、6回途中まで1失点の好投で勝利投手に。150キロに迫る真っ直ぐに、多彩な変化球を織り交ぜる。これまでは丁寧にコースを突く投球を重視してきたが、AWBでは新しい発見があったという。社会人選抜に帯同した、杉浦正則アドバイザーからの助言を明かしてくれた。
「コントロールも大事だけど、打者をどう抑えるのかストーリーを描いたほうがいいと、アドバイスをいただきました。一球一球、単体で勝負をしているから苦しくなる。抑えるためのビジョンを描くんだ、と。北海道ガスのブルペンでは、みんなコーナーにきっちり投げることを意識しています。それができなければ、試合で投げられないと思っているから。でも、大切なのはそれだけじゃない。1球前のボールを生かしながら、次のボールを投げる。『ストーリーを描く』という考えが新鮮でした。配球も変わってくると思います」
配球に対する考え方が、点から線へと変わっていく。相手が好打者であればなおさら、1球、いや2球でも見せ球として使い、最後に打ち取れれば勝ちだ。AWBでは中継ぎで2試合投げたあと、12月5日のNPB WHITE戦で先発することになった。「先発で投げたかったんです。ようやくチャンスが来ました。長いイニングで色々と試したい」と、目を輝かせる。
杉浦正則アドバイザーの助言で視野を広げる
村上(右)は、ENEOSの有馬 諒(左)ら他チームの捕手ともコミュニケーションを深めた。 【写真=宮野敦子】
「2勝、3勝と積み重ねられないのが、まだ創部間もないチーム状況を表していると思います。他チームに比べ、連戦を勝ち抜くだけのチームとしての体力、個の力が足りない。全国で勝ち上がるチームにするためにも、AWBで経験したことを持ち帰って伝えたい。自分自身も、吸収したことを体現できるようになれば、いい影響を与えられるはず」
この冬に撒いた成長の種が、春に芽を出し、スクスクと大きく育つことを願う。
【取材・文=古江美奈子】
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