“天才打者”秋山翔吾が選ぶ「凄い投手トップ5」 困惑した左腕、圧倒された右腕、現役NPB投手とは?

三和直樹

プロ初打席で対戦したダルビッシュ有

2020年にMLB舞台でダルビッシュ有と対戦した秋山だが、プロ初打席の記憶が脳裏に焼き付いている 【写真は共同】

 3人目に挙げた投手も、岩隈と同じく日米で実績を残した、そして今も活躍を続ける右腕、ダルビッシュ有(現パドレス)だった。

 昨年までにNPBで通算93勝、MLBで通算110勝を挙げ、侍ジャパンの一員として五輪、WBCでも活躍した稀代の右腕、ダルビッシュ。彼も岩隈と同じく秋山がルーキーイヤーだった2011年がNPB最終年で、秋山との日本での対戦は1シーズンのみ(MLBで対戦経験あり)だが、岩隈とはまた“異なる理由”で強く記憶に刻まれているという。

 それは2011年4月12日のシーズン開幕戦だった。札幌ドームでの日本ハム戦で、大卒ルーキーの西武・秋山は「9番・ライト」でスタメン出場を果たした。その3回表、1死2塁で迎えたプロ初打席だった。

「初球デッドボールだったんですよ。僕、たぶんプロ野球界で(プロ初打席初球デッドボール)いないんじゃないかと思っていて…」

 覚えているのは“痛さ”よりも、避けられなかったことの“驚き”だったという。

「カットボールが引っかかったらしいんですけど、145キロのボールが曲がって僕の足に当たるっていうのが衝撃すぎて…。『145キロのボールって曲がるんだ!』みたいな。『避けられないんだ』って…。もうこの1球ですね。あの軌道は、リリースから自分の足に当たるまで覚えています」

39歳左腕と25歳右腕、2人のNPB投手

 4人目は「たぶん一番対戦した中継ぎピッチャー」として、39歳のリリーフ左腕・宮西尚生(日本ハム)の名前を挙げた。

「ワンポイントで来られると、もうこのスライダーは接点ないなっていう感じです。じゃあ真っ直ぐを狙えばって言うんですけど、なかなか真っ直ぐを投げてくれない。スライダーを肩口から狙ったらいいのか、真ん中から曲がったところを逆方向にポンって打ったらいいのか、ちょっとイメージが付かない」

 MLBでの2年間を経て広島に加入した秋山は、NPB復帰2年目の2023年の交流戦で久々に宮西と対戦した。そこで「もう早いとこ決めようと思って初球を打った」ところ、ショートの横を抜けるセンター前ヒットとなった。

「(マウンド上の宮西と)目が合って、笑いましたね。もうお互いわかってる。それぐらい対戦が多いですし、この投手を打たなきゃと思わせてくれたピッチャーですね」

 最後の5人目も現役投手を挙げた。そして、絶賛する。

「大勢(巨人)ですね。たぶん今、現役で一番メジャーの可能性が近いピッチャーかなって思う。日本でも(ボールを)動かすピッチャーって増えてきていますけど、アメリカと違うのはスピード。5キロ、10キロ違う。その面で大勢投手は、投げ方が変則でどこに動くか分からない。それが160キロ近い」

 大勢とは2023年に2打席対戦して1打数無安打1犠打1三振、そして2024年は3打席対戦して3打数無安打3三振。現在、4打数4三振に抑え込まれている。

「(ボールの)軌道を捕まえづらいのに、速い。普通は軌道を捕まえづらかったらスピードが落ちるはずなんですけど落ちない。スライダーとかフォークの変化球もいいですし、不規則気味。真っ直ぐの強さがあって“動く”という感じですね」

 もちろん、秋山がこのまま“やられっ放し”で終わるつもりはない。2025年シーズンも「秋山vs.宮西」の対戦実現を期待しながら、秋山が大勢から初ヒットを放つ瞬間を待ちたいところ。「凄い投手」と認めるからこそ、その投手からヒットを打ちたくなるもの。ファンにも是非、注目してもらいたい。

<次回「秋山翔吾が選ぶ!凄い打者トップ5」につづく>

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著者プロフィール

1979年1月1日生まれ。大阪府出身。学生時代からサッカー&近鉄ファン一筋。大学卒業後、スポーツ紙記者として、野球、サッカーを中心に、ラグビー、マラソンなど様々な競技を取材。野球専門誌『Baseball Times』の編集兼ライターを経て、現在はフリーランスとして、プロ野球、高校野球、サッカーなど幅広く執筆している。

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