坂本の4連覇なるか、男子は新時代の王者が決まる 五輪プレシーズンの全日本選手権展望

沢田聡子

GPファイナルで勝負強さをみせた千葉(左)、試合前の体調不良を乗り越えた坂本(右) 【写真:ロイター/アフロ】

若手の成長が著しい女子

 2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪のプレシーズンである今季も折り返し地点にさしかかり、全日本選手権(大阪、東和薬品ラクタブドーム)が19日に開幕する(競技は20日から)。来年3月にアメリカ・ボストンで行われる世界選手権には、ミラノ五輪の国・地域別出場枠がかかる。世界選手権代表最終選考会でもある全日本に、日本中のスケーターがピークを合わせて臨む。

 世界選手権をはじめとする来年の主要国際大会の代表については、今季の国際競技会派遣選手選考基準に基づき、グランプリ(以下GP)ファイナル終了時点で選考対象となる選手が13日に日本スケート連盟から発表された。世界選手権代表については、現時点で名前が挙がっている選手に加え、全日本選手権で表彰台に上がった選手が選考対象となる。男女シングルについては、全日本選手権優勝者は世界選手権代表に決まる。

 女子シングルでは、坂本花織が4連覇をかけて臨む。今季の坂本は、フリーのジャンプ構成で新しい挑戦をしている。GPシリーズの初戦・スケートカナダでは、優勝したもののフリーで2回転倒。しかし2戦目のNHK杯(11月)ではショート・フリーとも演技をまとめ、連勝でファイナルに進出した。今月上旬に行われたGPファイナルでは、大会前に患った副鼻腔炎の影響もあってか本調子ではなかったが、それでも3位に入り底力をみせている。

 GPファイナルの女子シングルには、坂本、樋口新葉(ファイナル4位)、吉田陽菜(同5位)、千葉百音(同2位)、松生理乃(同6位)が出場した。史上最多となる5人のうち、2位の千葉と坂本がメダルを獲得している。また、ジュニアGPファイナルでは3連覇を果たした島田麻央、2位の和田薫子、3位の中井亜美ら日本勢が表彰台を独占。GPファイナルに出場した8名は、全日本選手権で顔をそろえる。

 GPファイナルの記者会見で、坂本は「今回の結果を見ると、間違いなく壮絶な戦いが繰り広げられるんだろうな、というのはあって」と率直に語った。

「ジュニアの子達も全日本に出るので、もう本当に誰が勝つか分からないし、ショートもフリーもミスが許されない状況になってしまう」(坂本)

 現在、今季の世界最高得点(ショート・フリー合計)は坂本がNHK杯でマークした231.88だが、それまでの世界最高は島田がジュニアGPポーランド大会(9月)で出した224.68だった。ポーランド大会のフリーで、島田はトリプルアクセルと4回転トウループを着氷。4回転トウループは4分の1回転不足と判定されたものの、2つの大技を成功させる高い目標に取り組み続けている。

 16歳の島田は、年齢制限のためミラノ五輪や今季世界選手権には出場できない。島田は、ジュニアGPファイナルの記者会見で全日本について問われた際「全日本という舞台は、挑戦者として挑む」と発言している。

「まずはショートにトリプルアクセルを入れることができるので、そこは絶対に挑戦したいと思っています。フリーもジュニアのプログラムと同様に、トリプルアクセルと4回転トウループは挑戦し続けたいと思っているので、そこをしっかり決め切ることが目標です」(島田)

 ほかにも、GPスケートアメリカ2位の渡辺倫果、GPフランス杯3位の住吉りをん、一昨季GPファイナル女王の三原舞依など、精鋭ぞろいの日本女子が熾(し)烈な戦いを繰り広げる。

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著者プロフィール

1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。主に採点競技(アーティスティックスイミング等)やアイスホッケーを取材して雑誌やウェブに寄稿、現在に至る。

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