「緑」の復活 16年ぶりJ1で躍動する東京Vをデータから探る

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 昨季、J1昇格プレーオフの末に16年ぶりのJ1復帰を果たした東京ヴェルディ。2022年途中から指揮を執る城福浩監督の下臨んだ今季、チームは残留どころかアジアの舞台へ参戦する可能性を残すほどの好成績を収めている。その飛躍の秘密はどこにあるのだろうか。

「20番目」の逆襲 J1昇格プレーオフ組としてはかなりの好成績

【画像提供:データスタジアム】

 今季の東京Vはここまで35試合を消化し、14勝12分け9敗の勝点54で6位に位置している。J1昇格プレーオフを経てJ1に上がってきたチームの成績を振り返ると、好成績を収めたと言えるのは2017年のセレッソ大阪だけで、その他の結果は芳しくない。今季の東京Vも前評判は決して高くなかったが、ここまで勝点を積み上げ続けて復帰初年度の残留を決め、さらなる上位進出をうかがえる場所に立っている。

昇格1年目ながら残留を決めて上位進出も狙えるヴェルディを率いている城福監督 【Photo by Etsuo Hara/Getty Images】

 今季の成績を紐解くと、開幕10試合はドローゲームが多く、安定しない戦いぶりだった。そして、第15節のFC町田ゼルビア戦で0-5の大敗を喫すると、指揮官はJ2時代から作り上げてきた4バックから3バックへ転換。そこからチームは上昇気流に乗り、2003年以来となるJ1での4連勝などを達成する。

 第15節までと第16節以降のデータを比較すると、良化したのは「失点」と「先制試合の勝率」。1試合平均得点が変わらない中で、失点は1.5から1.1に減少。先制率も高くなり、先制試合の勝率は第15節までが28.6%に対して第16節以降は90.0%まで上昇した。シーズン序盤は開幕3試合連続でPKを与えるなど、守りに入った際の対応で綻びを見せていたが、システム変更による安定性の獲得とともに選手個人がリーグの強度にも慣れ、得たリードを離さず白星を積んできたことがわかるだろう。

「意図的な守備」こそ城福ヴェルディの神髄

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 では、東京Vはどういったチームか。基本的にはボールを持たないチームであり、ボール保持率はJ1で4番目に低い数字となっている。だが、他の類似チームと比較して大きく異なるのは、「ボールを持てば後方からしっかりつないで崩す力」を持っているという点だ。ロングパス比率は低く、自陣からポゼッション攻撃(自陣でボール保持20秒以上の攻撃)を行ってシュートに持ち込めた比率はリーグでトップの数字を誇る。要するに、「ポゼッションで攻める力を有しているが、守備を主とする方が勝利に近づくと踏んで『意図的に』ボールを持たないでいる」のが“城福ヴェルディ”のベースだと解釈できるだろう。また、1つのチャンスで得点につなげられるセットプレーを武器とするのも強みの1つで、直接含むセットプレーからの得点は26(総得点46の56.5%)。リーグでもトップの数字だ。

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 その絶対的な自信を持つ東京Vの守備はどういうスタンスを取り、何が秀でているのか。根底にあるのは選手個人のハードワークで、1試合平均走行距離は115.7kmで3位、タックル数は17.9回で2位を記録している。その上で組織として特徴が現れているのは、ミドルブロックとローブロックを組む回数がリーグ1位であるにもかかわらず、その際の最終ラインはリーグ2位の高さであるということ。

 さらに、最終ラインと最前線のライン間がコンパクトな守備ブロックが特徴的で、これらのブロック時の被シュート率はリーグでも上位の成績を残している。また、ブロック時に限らず、シュートを打った相手選手に対して最も寄せているフィールドプレーヤーとの距離は平均で2.3mと2番目に近い距離となっている。目の小さな守備網だからこそのスタッツではないだろうか。

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日本で唯一のスポーツデータ専門会社。 野球、サッカー、ラグビー等の試合データ分析・配信、ソフト開発などを手掛ける。

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