「緑」の復活 16年ぶりJ1で躍動する東京Vをデータから探る

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守備では「苦労人のファイター」に、攻撃では「覚醒のストライカー」に注目

今季のヴェルディで10ゴールを挙げている木村勇大(2024年10月29日現在) 【写真:松尾/アフロスポーツ】

 選手個人の特筆すべき数字にも触れたい。先ほど東京Vは低い位置でブロックを作ってディフェンスに臨むチームであることを説明したが、かといって「引きっぱなしになる」チームではなく、アタッカーの木村勇大と染野唯月はハイプレス数がリーグトップ10にランクインしている。また、低い位置で構えられるのは最終ラインの強さがあってこそで、綱島悠斗はタックル数が90分平均3.36回でリーグ3位、千田海人はクリア数が90分平均7.1回でリーグ1位を記録している。プロ8年目にして初のJ1挑戦となった千田だが、ここまで22試合でスタメン出場。3バックとなってからは最終ラインの中央として、攻撃をはね返し続けている。

 一方、攻撃面に目を向けてみると、チームでタクトを振るうのはやはり森田晃樹。シュート関与パス(3プレー以内にシュートに至ったオープンプレーでのパス)はチーム1位の76本を記録しており、主将でもある背番号7からチャンスが生まれるシーンが多い。個人技という点では山見大登と山田楓喜が特徴的で、前者はドリブルからのシュート数が90分平均1.3回でリーグ3位、後者は左足の精度を生かしたプレースキックで今季はFKでのゴールを3点決めている。

 守備面で取り上げた木村は攻撃でも最前線のターゲットマンとして奮闘。裏抜けラン数270回はチーム1位、被ファウル数87はリーグ1位、アタッキングサードの被ファウル数23とPK獲得数2はリーグ2位の数字を記録している。今季、京都サンガF.C.から期限付きでやってきたストライカーは、体を張り続けることで決定機を呼び込み、自身初の二桁得点を達成。プロとしての2年間はやや苦しい内容だったが、東京の地でさらなる積み上げに期待がかかる。

 3試合を残し、東京VはAFCチャンピオンズリーグエリート出場圏内の3位までは勝点6差。天皇杯の結果次第ではアジアへの参加枠が回ってくる4位にも勝点3差に迫っており、現状の調子を顧みれば十分射程圏内だ。熱き指揮官の下、闘う「緑のハート」を宿した古豪はこれからどこまで羽ばたくのだろうか。

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日本で唯一のスポーツデータ専門会社。 野球、サッカー、ラグビー等の試合データ分析・配信、ソフト開発などを手掛ける。

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