SVリーグ開幕を選手はどう見たのか サントリー主将が味わった「今までにない感覚」
SVリーグ開幕戦で大阪ブルテオンと対戦したサントリーサンバーズ大阪(手前) 【写真は共同】
大阪ブルテオンとサントリーサンバーズ大阪の試合が地上波で生放送され、注目度はこれまでの開幕と比にならない。サントリーの主将として臨んだ藤中謙也は、開幕前日の会見で「これまでと違う楽しみがある」と胸を躍らせていた。
「明らかな変化を感じているので、どうなるんだろう、というワクワク感ですよね。前回は、そこまで大きな変化を感じられなかったので」
これまでにない期待感
はずだった。
そのオープニングマッチを飾ったのが、当時のサントリーサンバーズとJTサンダーズ(現・広島サンダーズ)。大田区総合体育館で開催されたナイトゲームは、プロジェクションマッピングによる演出など、新たな方向へと舵を切るスタートとなり、それ相応の注目は集めた。だが実際はどうか。藤中はその時もサントリーの主将を務めていたが、“変化”という面で言えば、今とは比較にならないと語る。
「僕もその年、プロになったんですけど当時はまだプロ選手も少なかった。チームも事業化という面ではそこまで積極的ではなかった。でも今はプロ選手や移籍も増えて、(選手の)意識も変わった。運営側も稼ぐことに対して力を入れているのが今まで以上に伝わってくるし、リーグ全体も大同生命という冠スポンサーがついて下さって、各チームもスポンサー獲得のために努力している。これまでにない期待を感じています」
外国籍選手増加の影響は
だが一方で、外国籍選手の出場機会が増えれば日本人選手が出場機会を失うことは明白だ。これまではオポジットのみ外国籍選手を獲得していたチームも、得点力向上や組織として頂点を狙うためのピースを埋めるべくアウトサイドヒッターの加入も多い。サントリーに関して言えば、シリフカだけでなく昨シーズンまでイタリアでプレーした日本代表の高橋藍も加わった。
守備力に長け、本数自体は多くなくとも巧みな攻撃で着実に点を獲る。大崩れすることもなく、常に計算できる働きをする藤中は相手にとって実に嫌な選手なのだが、その藤中でも出場機会が限られるほど、戦力が充実している。
同様に外国籍選手や日本代表でも活躍する選手たちの移籍を見据え、今シーズンは海外でプレーすることを決めた選手や、チームを移籍した選手も少なくない。藤中にも当然、選択肢がなかったわけではない。だがその中で、“あえて”自分はサントリーを選んだ。藤中はそう言う。
「単純に海外へ行けばいいか、といえばそうではなくて、このチームだからこそ経験できるもの、得られるものがある。世界トップレベルの選手たちと一緒にプレーできるのも財産になると思ったし、個人的に見れば厳しいシーズンになるかもしれないですけど、だからこそ自分の成長にもつながる。僕は自分が決めて、覚悟を持って残ったつもりだし、そのうえでキャプテンを任されたと思っているので。どんな結果になったとしても、責任を持ってやりたいです」
迎えた開幕戦、藤中の出番がやってきた。