SVリーグ開幕を選手はどう見たのか サントリー主将が味わった「今までにない感覚」
敗戦も「プレーできた喜び」
開幕前の記者会見に主将として臨んだ藤中謙也(左) 【写真は共同】
「コートに立った瞬間、ここでプレーできた喜び、今までにない感覚がありました。代表戦じゃないですけど、こういう雰囲気の中でできていることは僕のキャリアの中でも貴重なことだったので。負けはしましたけど、試合中は楽しみながらプレーできました」
中学、高校時代から世代を代表する選手として活躍し、日本代表登録選手に名も連ねて来た。だがアウトサイドヒッターの層は厚く、日本代表選手として五輪予選や世界選手権といった主要大会に出場した経験はない。
長年バレーボール選手として日本のトップで走り続けてきた藤中にとって、多くの観客と地上波で生中継され、「これほどの数が集まるのは見たことがなかった」というほど多くの取材陣が集まる中で試合をして、主将としてコメントする機会は初めて。2024/25シーズンのわずか1試合とはいえ、紛れもなく特別な1試合であったのは確かで、そこには勝ち負けを超えた楽しさがあった。
新たな変化の始まり
熱狂も、観客の数も派手な演出も、日本代表戦には及ばない。海外での試合と比較して自然発生的に起こる声やブーイングもない会場を「物足りない」と感じる人もいたはずだ。だが、その場に立った選手はどうか。
またこんな舞台に立ちたい、と願い、自分だけでなくもっと多くのバレーボール選手が同じように。入場前からスタンドを見渡せば多くの観客がいて、きらびやかなコートで披露するプレーに注目が集まる。その快感と喜びを味わってほしい、と願ったはずだ。
もちろん一度きりでなく、この先もずっと、そんな環境が少しずつでもつくられていく未来を描き、己のプレーを磨く。日本代表としてプレーする機会がなくとも、日本でも十分強くなれる、と証明するために。
これまでにない期待を持って迎えたSVリーグ開幕戦。ファイナルが行われる5月まで、どれほどの経験が積み重なり、新たな変化へとつながっていくのか。
覚悟を持って臨む藤中主将のシーズンも、SVリーグも、まだまだここから。始まったばかりだ。