PGAツアー、来年以降も日本でのトーナメント開催を明言 日本メディアに発表したビジョンとは?

北村収

日本で開催されるPGAツアーのZOZOチャンピオンシップには、毎年多くのギャラリーが集まる 【Photo by Lintao Zhang/Getty Images】

 9月上旬、「PGAツアーメディアセミナー」が開催され、テレビ、新聞、雑誌、ウェブなど多くのメディア関係者が集まり、筆者も出席した。

 日本では最近あまり開催されなくなったが、世界のスポーツ界ではスポーツ団体、またはチームによるメディア向けイベントは頻繁に開催されており、スポーツナビでも、ラ・リーガ(スペインサッカーリーグ)などから招待を受けて出席している。
 PGAツアーは2019年より「ZOZOチャンピオンシップ」を千葉県のアコーディア・ゴルフ 習志野カントリークラブで開催しているが、メディア関係者に向けた日本での今回のようなイベントは初めての試みである。

投資グループとの提携でさらなる発展へ

 セミナーは、PGAツアーのアジア太平洋社長クリス・リー氏が現状を説明する形で始まった。今年の初めにすでに発表されているが、投資グループのストラテジックスポーツグループ(以下「SSG」)との提携により、PGAツアーエンタープライズを設立。今後のビジネス拡大に向けた基盤が整った。MLB(メジャーリーグベースボール)やNFL(ナショナルフットボールリーグ)などのオーナーの集団であるSSGの関係者からノウハウや経験を得る機会も得ている。

 さらにスポーツリーグとして世界でも初めての試みだそうだが、「プレーヤーエクイティプログラム」という選手が株主になる仕組みをつくった。これにより選手との結びつきが強化された。

 なお、多くのPGAツアーファンが気になっている昨年6月に電撃発表されたLIVゴルフを支援するサウジアラビア政府系のファンドPIF(パブリック・インベストメント・ファンド)との統合合意の進捗については説明はなかった。

PGAツアーのアジア太平洋社長クリス・リー氏(左) 【写真:北村収】

PGAツアースタジオを設立し、コンテンツ制作を強化

 PGAツアーは、フロリダ州の本社隣に「PGAツアースタジオ」を設立。これにより、ファンに向けた革新的なコンテンツの制作を強化していく。今後、日本をはじめとした各国でローカライズされたコンテンツが増える見込みだ。また、米国で実施したインフルエンサーを活用したイベントなどを紹介し、このような面白いコンテンツを日本やアジア、さらには世界中で展開していく計画も明かされた。

 さらに、DPワールドツアー(欧州ツアー)とのパートナーシップ強化や、世界中のツアーとの連携についても説明があった。

コンテンツのさらなる強化を説明 【写真:北村収】

PGAツアーが日本での試合開催継続を明言

 今回のセミナーでは、日本でのビジネスについても説明があり、PGAツアーのコミットメントとして以下の4点が挙げられた。

1.毎年日本でPGAツアーの試合を開催すること
2.DPワールドツアーとJGTO(日本ゴルフツアー機構)共催の試合を継続すること
3.次世代ゴルファー育成プログラムの導入
4.日本のファン向けのカスタマイズされたコンテンツの提供


 2019年に初開催された「ZOZOチャンピオンシップ」は、今年で6年目を迎える。この大会は6年契約でスタートしており、来年以降の開催について多くのファンが注目しているが、PGAツアーが日本での試合継続をコミットメントしたことは、ファンにとって大きな安心材料となるだろう。

今年メジャー2勝のザンダー・シャウフェレがオンラインで登場

 この日本のメディア関係者向けセミナーのために、今年の全米プロと全英オープンを制したザンダー・シャウフェレがオンラインで出席した。「日本が大好きでアメリカ以外で最も訪れているのが日本」というシャウフェレは、今年のZOZOチャンピオンシップ出場がすでに発表されている。

 記者からの質問も行われた。日本と日本以外のメディアからの質問に違いがあるかとの質問には、「米国などの記者からはゴルフの質問だけだが、日本の記者からは日本とも縁が深いので自分の生い立ちや自分自身のことを聞いてくれますね」とやや嬉しそうに語った。

オンラインで出席したシャウフェレ 【写真:北村収】

懇親ラウンドにも新たな試み

 このようなイベントでは、通常懇親ラウンドが行われるが、PGAツアーはここにも新たな試みを導入した。9月下旬に開催されるプレジデンツカップになぞらえて、2対2のスクランブル(ベストボール)方式や、フォーボール方式、シングルでのマッチプレーを組み込んだチーム対抗戦として行われたのだ。

 筆者を含む多くの参加者にとっては初の経験だったが、「こんなに面白いとは!」という声が多く上がった。普段のラウンドとは一味違う、刺激的な時間となった。

 懇親ラウンドまで新しい試みを取り入れるPGAツアーは、「我々は常に革新し続け、ファンや関係者を楽しませる」というメッセージを日本のメディアに強く発信していたように感じられた。
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著者プロフィール

1968年東京都生まれ。法律関係の出版社を経て、1996年にゴルフ雑誌アルバ(ALBA)編集部に配属。2000年アルバ編集チーフに就任。2003年ゴルフダイジェスト・オンラインに入社し、同年メディア部門のゼネラルマネージャーに。在職中に日本ゴルフトーナメント振興協会のメディア委員を務める。2011年4月に独立し、同年6月に(株)ナインバリューズを起業。紙、Web、ソーシャルメディアなどのさまざまな媒体で、ゴルフ編集者兼ゴルフwebディレクターとしての仕事に従事している。

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