元賞金女王・上田桃子が熱弁!日本開催のPGAツアー大会「ZOZOチャンピオンシップ」の魅力とは?

北村収

昨年の第5回大会で優勝したコリン・モリカワ。今年は誰がチャンピオントロフィーを掲げるのか? 【Photo by Yoshimasa Nakano/Getty Images】

 「ZOZO CHAMPIONSHIP」(ZOZOチャンピオンシップ)が、今年も千葉県のアコーディア・ゴルフ 習志野カントリークラブで10 月24日から27日まで開催される。日本で開催される唯一の米国男子(PGA)ツアートーナメントの魅力について、米国女子ツアー2勝、日本女子ツアー元賞金女王の上田桃子プロに聞いた。日頃からPGAツアーの選手のスイングや練習方法を研究し、ZOZOチャンピオンシップを現地で観戦しているという上田プロが熱弁した大会の魅力とは!?

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PGAの選手はプレー以外の動作もプロフェッショナル

――PGAツアーの魅力は何でしょうか?

 私が素晴らしいと思うのは、技術の高さはもちろんのこと、選手たちの“たたずまい”、ファンサービス、さらにプロフェッショナルな意識の高さです。日本の選手と比べても、PGAツアーの選手たちは非常にプロ意識が高いと感じます。パワーや技術だけでなく、それ以外の面でもプロフェッショナルな選手が多いと感じています。

――具体的にどんなところが魅力的ですか?

 PGAツアーの選手たちはアドレスに入るまでの一連の流れがとても計画的で、その時間の使い方が非常に上手だと感じます。日本人選手は、一人で素振りしてアドレスに入ることが多いですが、PGAツアーの選手たちは、キャディと話している時はマネジメントを考える時間、素振りが始まったら自分が打つショットに集中する時間、ショットを打ち終わって歩いている時は次のショットのことを考えたりリラックスする時間と、シーンごとに目的を持って行動しているように感じます。こうした時間の使い方が日本人選手よりも上手で、ギュッと凝縮されているように感じますし、一つ一つの行動が“たたずまい”として現れています。

――PGAツアーの選手の“たたずまい”や動作はアマチュアの参考にもなりますか?

 アマチュアゴルファーの方にもぜひ見ていただきたいです。アマチュアの方は、打つ瞬間まで色々と考え過ぎてしまうことが多いのですが、PGAツアーの選手たちが行っている打つことだけに集中する方法などを参考にしていただきたいですね。例えば多くのPGAツアーの選手は、50センチぐらい先のところにスパット(目印)を見つけて、そのスパットとターゲットを目線でつないで、アドレスから打つまでの時間を使うことによって集中力を高めています。アマチュアの方もこういった視点の使い方を学ぶことで、より良いプレーができるようになると思います。また、素振りの仕方もPGAツアーの選手は、一生懸命というよりは、インパクトゾーンだけに集中して、必要以上の力を使わずに効率的にスイングを行っていることが多いです。こうした点を真似することで、少しずつゴルフが上達していくと思います。

――選手が集中しているとギャラリーが静かになることも魅力の一つですか?

 これはPGAツアーに限らず、選手が集中していると、その雰囲気がギャラリーにも伝わって静かになるんです。選手の姿勢が観客に緊張感を与えているからだと思います。PGAツアーの選手たちはトレーニングで鍛えている人たちばかりなので、歩き方一つをとっても非常にきちんとしています。リラックスしていても、どこかに緊張感が常にあるように見えますし、その姿勢が見ている人を引き込む雰囲気を自然に作り出しています。

――ZOZOチャンピオンシップを現地で観戦されたとのことですが、どんな魅力がありますか?

 海外の選手は非常に個性豊かで、スイングも一人一人異なります。フェーダーもいればドローヒッターもいるので、自分の好きな選手を探す楽しみがあります。それが、私にとってZOZOチャンピオンシップを現地で観戦する一番の魅力です。また、アメリカと比べてコースがタイトで、長い距離を刻む選手もいれば、グリーンを直接狙う選手もいます。さらに、バンカーが各ホールで効いていて、バンカーに入れた時の難しさや、グリーンの傾斜の強さなど、攻略が難しいポイントも多いです。普段のアメリカのコースとは違う環境で、さまざまなテクニックを駆使して挑む世界のトップ選手たちの姿を見るのはとても興味深いですね。

過去大会で最も印象に残っているシーン

2021年の大会を制した松山英樹 【Photo by Atsushi Tomura/Getty Images】

――この魅力的なPGAツアーが日本で開催されることについてはどう思いますか?

 日本のゴルフファンには、日本独特の応援スタイルがあると感じています。良い試合は選手だけでなく、ギャラリーやゴルフ場の雰囲気など、すべてが一体となって作られるものです。PGAツアーの選手たちも、日本のファンは非常に温かく、応援が素晴らしいと感じているようです。そんな環境でプレーできることを楽しみにしています。日本のゴルフファンはゴルフが好きで、詳しい人が多いので、最高の大会になっていると思います。

――過去のZOZOチャンピオンシップで最も印象に残っているシーンを教えてください。

 やはり、松山英樹選手が優勝した時(2021年)の18番ホールでのセカンドショットですね。テレビで見ていましたが、あのシーンはとても印象深いです。日本中の期待を背負い、彼自身も母国で開催されるPGAツアーということで、特別な思いがあったと思います。その気迫がすごく伝わってきました。

――その松山選手といえば、パリ五輪でメダリストになりました。

 メダルを狙って取るのは本当に難しいことだと思います。私自身、それがどれだけ難しいかを実感しています。心技体が整っていないと狙って取るのは難しいですし、コーチやキャディとの関係なども含めて全てが揃って初めて可能になることだと思います。技術だけではなく、メンタル面も重要で、全てが他の選手よりも一段上にあるからこそ、結果を出せたのだと思います。準備の仕方が本当に良かったのだと思います。

――日本開催のZOZOチャンピオンシップの優勝者は、松山選手以外にもタイガー・ウッズ、キーガン・ブラッドリー、コリン・モリカワと全てメジャーチャンピオンです。本当に強い人が勝ってきた理由はなぜだと思いますか?

 習志野CCは、PGAツアーの他のコースよりもタイトです。距離は長くないですが、点で打っていかなければならないホールが多く、非常に整備されていて一見簡単そうに見えるけれども、罠があったり、ただ飛ばすだけでは勝てないコースである一方で曲がらない選手が上位に行けるというわけでもありません。様々な適応力が求められるコースだからこそ、最終的にはメジャーを勝てるような実力者が勝つべくして勝っているのだと思います。

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著者プロフィール

1968年東京都生まれ。法律関係の出版社を経て、1996年にゴルフ雑誌アルバ(ALBA)編集部に配属。2000年アルバ編集チーフに就任。2003年ゴルフダイジェスト・オンラインに入社し、同年メディア部門のゼネラルマネージャーに。在職中に日本ゴルフトーナメント振興協会のメディア委員を務める。2011年4月に独立し、同年6月に(株)ナインバリューズを起業。紙、Web、ソーシャルメディアなどのさまざまな媒体で、ゴルフ編集者兼ゴルフwebディレクターとしての仕事に従事している。

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