坪井慶介が指名するサッカー男子メダル獲得のキーマン「彼がいるかぎり日本の守備が崩れることは──」
マリとの第2戦からスタメンを6人入れ替えて臨んだイスラエル戦。主力に休養を与えられただけでなく、途中出場のエース細谷に待望の大会初ゴールも生まれた 【Photo by Koji Watanabe/Getty Images】
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印象深いパラグアイ戦の藤田の縦パス
キャプテンとして、アンカーとして存在感が際立つ藤田。坪井氏が特に印象に残っているのが、停滞感を打ち破り、攻撃にリズムを生んだパラグアイ戦の縦パスだ 【Photo by Juan Manuel Serrano Arce/Getty Images】
ただ、オーバーエイジに関しては、呼ばなかったのか、呼べなかったのか、いろんな事情があったとは思いますが、結果的に良い方向に転びましたね。経験豊富なオーバーエイジを加えるメリットも確かにありますが、ずっと一緒に戦ってきたメンバーだけでこの大舞台に臨んだことで、逆に強い一体感がチームに芽生えた印象です。
大きかったのは、やはりパラグアイ戦の勝利(5-0)でしょう。相手に退場者が出たとはいえ、南米予選を1位通過した強豪国に快勝して、一気に勢いづいた。こうしたビッグトーナメントにおける初戦の重要性を、あらためて感じましたね。
なかでも印象に残っているのが、キャプテン藤田(譲瑠チマ)選手のプレーです。幸先よく先制し、パラグアイに退場者が出た後、なかなか追加点を奪えませんでしたが、63分に三戸(舜介)選手の2点目が生まれる直前に、藤田選手が推進力をもたらすような攻撃的な縦パスを2本ぐらい打ち込んでいるんですね。あれで日本の攻撃のリズムがかなり変わった。今朝のイスラエル戦でも、途中出場から決勝点の起点になっていましたが、アンカーの位置にどっしりと構える藤田選手の存在は、実に頼もしいですね。
言うまでもなく、守護神・小久保(玲央ブライアン)選手の存在感も際立っています。マリとの第2戦でも好セーブを連発しましたが、イスラエル戦でも後半にチームの集中力が切れ、攻め込まれた時間帯に2つのビッグセーブを披露して、気持ちを引き締めました。彼なくして3戦連続無失点はありえなかったでしょう。
センターバックコンビは3試合とも組み合わせが違いましたが、誰が出てもチームとしてどういう守備をするのかという意思統一ができていて、常にコンパクトな状態を保ち続けていました。そこは、さすがセンターバック出身の大岩(剛)さんだなと。
センターバックに限らず、大岩監督はバックアップメンバーも活用しながら、誰が、どこで、どんな状況で出てもチームのレベルを落とさないマネジメントをしっかりとされている。初戦では先発した平河(悠)選手が負傷で途中退場しましたが、代わって入った佐藤(恵允)選手が良い働きをしましたし、それは荒木(遼太郎)選手や藤尾(翔太)選手などにも言えることです。
いずれにしても、1次リーグを突破できた最大の要因は、小久保選手を中心としたディフェンス力だと思います。ブロックを作って守る時と、前から連動してプレッシャーをかけてハメに行く時の使い分けができていて、戦術的にしっかりと整理されている印象がありますね。
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