吉沢恋のメイク率の高さを荒畑潤一が絶賛 スケボー女子ストリートは日本勢が金・銀

田中凌平

スケートボード女子ストリートは、14歳の吉沢(左)が金、15歳の赤間が銀で見事にワンツーを飾った 【写真は共同】

 7月28日(日本時間29日)に行われたパリ五輪・スケートボード女子ストリート決勝に、吉沢恋(ACT SB STORE)、赤間凜音(東北高校)、中山楓奈(ムラサキスポーツ)の日本勢がそろって出場。吉沢が金メダル、赤間が銀メダルを獲得し、中山は7位だった。世界ランク1位の吉沢と同2位の赤間がプレッシャーを跳ね除けて日本人ワンツーを成し遂げた。

 予選では吉沢、赤間、中山が1位から3位を占め、決勝のランも日本勢が牽引する流れに。ベストトリックでは赤間がいきなり92.62の高得点を叩き出し、そのまま1位でフィニッシュかと思われたが、吉沢が4本目のトリックで96.49の今大会最高得点を記録して逆転優勝を果たした。

 前回の東京五輪から採点方法が変わった今大会。選手の滑りに影響はあったのだろうか。18歳で全日本チャンピオン(AJSA)を獲得し、日本スケートボードシーンを牽引してきたパイオニアの荒畑潤一さんに試合を振り返ってもらいつつ、1本1本の滑りに込められた想いについて解説してもらった。

レベルが格段に上がったスケボー女子

7位だったものの、金メダルを目指して果敢に大技に挑んだ中山。スケーターとして誇らしい滑りを見せた 【Photo by Julian Finney/Getty Images】

 吉沢選手が1位、赤間選手が2位と日本勢にとって素晴らしい結果になりました。私は36年間スケートボードをしていますが、日本の選手のみならず、世界の女子のレベルが格段に上がっていると感じます。例えるならば、“数年前の男子レベル”には達していますね。だからこそ、すべてのランとトリックで攻めないとメダルを獲ることは困難です。さらに、世界選手権と違ってオリンピックは4年に1度なので、“オリンピックのメダリスト”になることがどれだけ難しいのかを改めて感じさせられました。

 特に東京五輪で銅メダルを獲得した中山選手は、今回獲るなら前回以上の金か銀という気持ちだったでしょう。決勝のトリックでは残念ながらすべてミスとなりましたが、最後まで高難易度のトリックに挑戦し続けた姿は本当にスケーターとしてかっこいいと感じました。

 また、パリ五輪は前回の東京五輪から採点方法が変わっています。東京五輪ではランとトリックの中から高得点の4つを合計していたため、ランが採点に入らない可能性もありました。一方、パリ五輪ではランの高得点と、トリックの高得点2つの計3つを合計した得点を競うため、ランの得点が必ず採用されます。そのため、ランでは確実に70点以上を狙いたいところです。実際に今回のメダリストは全員ランをしっかり決めた選手でした。

 日本人の3選手は、予選では見事にランをすべてメイク(トリック成功)。決勝の吉沢選手は2本ともランをしっかり決めてきましたし、赤間選手と中山選手は1本目をミスしたものの、2本目でメイクしました。ランを落としてしまうとその後のトリックのモチベーションにも関わるので、焦らずにしっかりと決めてくるところが彼女たちの凄さです。

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著者プロフィール

東京都出身。フリーライター。ラグジュアリーブランドでの5年間の接客経験と英語力を活かし、数多くの著名人や海外アスリートに取材を行う。野球とゴルフを中心にスポーツ領域を幅広く対応。明治大学在学中にはプロゴルフトーナメントの運営に携わり、海外の有名選手もサポートしてきた。野球では国内のみならず、MLBの注目選手を観るために現地へ赴くことも。大学の短期留学中に教授からの指示を守らず、ヤンキー・スタジアムにイチローを観に行って怒られたのはいい思い出。

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