吉沢恋のメイク率の高さを荒畑潤一が絶賛 スケボー女子ストリートは日本勢が金・銀
大舞台での吉沢のメイクの安定感が勝負の決め手に
吉沢の安定感は圧巻だった。ラン、ベストトリック双方におけるメイク率の高さが光った 【写真は共同】
この技は吉沢選手の秘密兵器のようなもので、2年ほど前から練習していたようです。「これを成功させたら金メダルを獲れる」という自信はあったと思います。東京五輪で金メダルを獲った西矢椛(サンリオ)選手が以前に小さいレールで決めていましたが、今回のパリのコースのような大きなレールで成功させたことが高い評価を得ましたね。
吉沢選手は、そうした大技に加えてラン、ベストトリックにおけるメイク率の高さという安定感も光りました。ランは2本ともフルメイクで、ベストトリックを含めて7本中5本をメイクするなど、自分の持つトリックを大舞台でも物怖じせずに発揮できた結果の金メダルだと思います。
赤間選手は戦略が良かったです。決勝のトリックでは一発目から高難易度の「フロントサイド270リップスライド」を成功させ、いきなり92.62の高得点を叩き出しました。ここ数年間しっかり練習してきたトリックが決まって安心したと思います。気持ちと身体は連動してくるので、1本目が決まったおかげで2本目以降は気持ち的に楽になったでしょう。
中山選手は決して調子が悪かったとは思いません。決勝のトリックはもし決まれば会場全体が湧くような大技でしたし、もし3本目で決まっていれば金メダルも狙えました。確実にメダルを狙うのではなく、徹底的にベストに挑戦するスケーターらしさが感じられる滑りでしたね。
今後も“強い”日本のスケボー女子に期待
実際に吉沢選手はこの1年ほどで急激に成長して、パワフルな滑りを見せるようになりました。吉沢選手は競技後に「スケートボードは選手生命が短く、平均年齢も低いのを自分が覆していきたい」と言っていましたが、次の世代と切磋琢磨しつつ頑張ってほしいですね。強い日本がさらに進化を楽しみにしています。
日本勢の活躍は私のようなスケートボード愛好家にとって嬉しいことですが、選手にケガなく楽しんでもらうことが一番の願いですね。今回出場した3選手の競技以外の滑りももっと見たいですし、スケーターとしてとことん楽しんでもらいたいと思っています。競技の枠に留まらないカルチャーがあるのがスケートボードの魅力です。私自身も多くの経験をして今までスケートボード人生を続けているので、共に日本のスケートボードシーンの進化を楽しみたいですね。
荒畑潤一(あらはた・じゅんいち)
【株式会社SFIDA】