井端弘和氏が久々登場!侍ジャパン、プロ・アマ野球の今を語る「帰ってきた!井端・西尾のドラフト対談 番外編」

Timely!編集部

【写真:スポーツナビ】

 井端さんの侍ジャパン監督就任のため、昨年9月に公開した「仮想ドラフト」企画を最後にYouTube「スポーツナビ 野球チャンネル」への出演をお休みしている井端さん(代走・赤星さんが活躍中!)が、番組パートナーの西尾さんとの共著『日本球界の現在地、そして未来』を引っさげて久々に登場! 侍ジャパントップチームに4人の大学生を招集した理由や、巨人コーチ時代の話から中日の二遊間事情についてまで、本書で語られている内容を中心に、たっぷりお話していただきました。

大学生をトップチームに招集した理由

3月の欧州代表との強化試合に先発して好投した関西大の金丸夢斗投手 【写真は共同】

西尾 侍ジャパン監督に就任されてまだ1年経っていませんが、監督と呼ばれることにはもう慣れましたか?

井端 いや、慣れてないですよ。昨年秋と今年の春しかユニフォームを着ていないですから。でもユニフォームを着ている方が楽ですね。着ていない方が肩身が狭いというか・・・・・・。中学、高校、大学、社会人、プロ野球まで観に行くんですけど、目立たないように、目立たないようにと、自分なりにも気を遣うところがあるので、今まで通りに観に行くというところではちょっと苦労しています。

西尾 本のほうでも触れていますが、監督就任の打診があったのが去年の9月。そのときは率直にどう思われましたか?

井端 驚きましたよ。昨年までジャパンの方ではU−12の監督をやらせてもらって、最初に監督をやったときの子達が中3になるので「次はU−15の監督がいいですね」という話をしていたくらいでしたから。

西尾 決断も早かったというお話でしたね。

井端 時間がないから早く決める、決めないというレベルの話ではないと思いましたから。でも「考える」ということは(自分の中では)可能性があるのかなと率直に思ったんです。絶対に嫌だったらそういう気持ちが出てきたと思いますし、絶対にやりたければ即答していたと思いますし。「うーん」って考えたということは自分の本心では五分五分くらいの感じなのかなと。お話をいただいたのが金曜だったと思うんですけど「月曜には返事をします」と待ってもらって。そこから2、3日で決めました。

西尾 コーチの人選も時間がなくて大変だったんじゃないですか?

井端 大変でしたけど、(侍ジャパンでの)サードコーチャーの経験者もファーストコーチャーの経験者もいますし、バッティングコーチ、守備コーチと両方経験している亀井義行コーチ、梵英心コーチもいたのでそこはササッと決まりました。金子誠コーチに至っては、自分もある程度のところまで考える方ですけど、彼は「更に考える」ということを稲葉篤紀監督時代に一緒にコーチをやっているときから気付いていたので、監督を受けた瞬間に最初に連絡をしました。なんとなく「これでいいか」で終わらせてくれないのが金子コーチですから、こういうコーチが絶対に一人はいないといけないと考えていたので、金子コーチが受けてくれてホッとしました。

西尾 去年の『アジアプロ野球チャンピオンシップ 2023』の時は(招集できる選手が)若手という縛りがあったなかで、そのなかでも実績のない選手やルーキーの選手も選んでいましたけど、どういったことを考えて選んだんですか?

井端 解説者として観ていましたし、アマチュア時代から見ていた選手もいましたので自分を信じて選んだのと、コーチ陣も推薦してくれたのもありました。だから選手選考に関してはそこまで難しくなかったというか、今まで(の代表選考)よりはすんなりいったと思います。自分が経験しているなかではですけど。稲葉さんの時は会議以外でもオンラインでも話し合ったり、次点の選手まで決めたりしていたので、その時の方が大変でしたね。

西尾 実際に采配をされてみて、タイブレークもありましたし、決勝戦はかなり緊迫した展開でしたけど、いかがでしたか?

井端 タイブレークは社会人野球でコーチをしていましたから(ベンチの中の)誰よりも見てきましたし、(その経験が)かなり活かされた部分はありますね。だから色んな想定、シミュレーションは最初からできていました。裏の攻撃で点差が1点ならばバント、2点差なら打つというのは決めていました。その辺の迷いはなかったです。

西尾 代打バントも古賀悠斗選手(西武)に事前に伝えていたという話でしたね。

井端 資料を見て、石橋康太選手(中日)と古賀選手がかなりのバント成功率だったので、起用するならどちらかと決めていました。古賀選手はシーズン中に確か15/17成功していたんですけど石橋選手は7回くらいだったんですね。(バントを試みた)数が多い方が経験があっていいかなということで古賀選手一択にしました。だから古賀選手にはキャンプ初日から試合当日までずっと言い続けていました。

西尾 今年3月の欧州代表との強化試合では大学生4人(金丸夢斗/関西大、中村優斗/愛工大、宗山塁/明治大、西川史礁/青学大)を呼んだことが話題になりましたけど、いつくらいから大学生を呼ぼうと思ったのですか?

井端 昨年大学ジャパンや高校ジャパンで臨時コーチをさせてもらって、そういった子達にもチャンスを与えたいということをトップの監督になったときには思っていて、『アジアプロ野球チャンピオンシップ 2023』が終わったときには行動に移していました。大学生でも大学ジャパンを飛び越えてトップチームに入れる、入りたいという気持ちでやってもらえたら嬉しいですね。

西尾 宗山選手だけ怪我で出られなかったですけど、実際に大学生3人のプレーを観ていかがでしたか?

井端 自分の時代に侍ジャパンへの招集があったら、ほぼ震えていたと思います。でも彼等は自分に自信があって、プロの世界で(やりたい)という思いで大学を過ごしてきた選手たちだと思うので、その緊張感をあまり見せなかったですね。自分の持っているものをそのまま素直に出せばいいという感じで来てくれて、こちらも安心して見ていられました。

西尾 実際、西川選手も打って結果を出しましたし、2戦目は最初に金丸投手、中村投手の2人が投げて完全試合の一部を担いました。

井端 2試合目は本当は宗山選手もスタメンで使う予定で、4人とも使うことを決めていました。1戦目に使うとなんとなく(2戦目に)終わった感が出てしまうと思ったので。だから1戦目はベンチで見ながら緊張感を味わったというところでは、今までにない経験ができたと思いますし、それを上手く利用して2戦目に良いパフォーマンを出してくれたかなと思います。それが一つまた自信になってくれたらいいなと思いますけどね。

西尾 プロのレベルも上がってきていますけど、大学生も高校生もレベルが上がってきていると感じますか?

井端 上がっていると思いますね。ドラフト上位の選手は直ぐに活躍する選手が毎年出ていますし、直ぐに侍ジャパンのトップチームに入る選手も毎年いますので、その辺のレベルはかなり上がっていると感じています。

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