井端弘和氏が久々登場!侍ジャパン、プロ・アマ野球の今を語る「帰ってきた!井端・西尾のドラフト対談 番外編」

Timely!編集部

アンダー世代指導の楽しさと難しさ

井端監督は過去にはU-12代表監督を務め現在はU-15代表監督も兼務する 【写真は共同】

西尾 2022年から2年間U−12の代表監督をされて、その経験がかなり今も活きているという話が本の中にもありますけど、やっぱりU−12の監督経験は大きかったですか?

井端 大きいですね。トップチームも短期間でチームを作らないといけないですけど、U−12のときは1日練習をしたら現地に行って直ぐに試合でしたから。1日でチームを作らないといけないという難しさがありました。次の大会からは3日間もらえるようになりましたけど。だから良いピッチャーを選んでも長いイニングを投げられるのか、1イニングしか投げられないのか分かりませんでした。それをある程度把握できるようになりましたし、複数ポジションができる子はどこのポジションが適しているのか見ることも3日間あれば何とかなりました。

西尾 1回目の時は井端さん自身もイライラしたことが多かったという話も本にありましたね。

井端 なんとかしないといけないというのが自分の中で強すぎて。寝坊して遅刻してきたり、忘れ物をしてきたり、いろいろと問題は起きたんですけど、その都度注意をしてしまっていました。そこを反省して、日本でやっている期間は、例えばリトルリーグから来ている子はランナーのリードがないのでベンチからのサインもないということですから、サインを見ない子もいる。だからサインを見る練習から始めたり、いろいろと言わないといけないことは山ほどあって、口酸っぱく言いました。でも2回目は大会が行われる現地に行ったらもう本当に何も言いませんでした。現地ではやっぱり寝坊する子もいたんですけど、そこは注意するのではなく「じゃあ明日から一時間早く寝るか?」と言うくらいにして、だから子ども達も非常に伸び伸びとやってくれましたし、自分も気持ちが上下しなくなって良い精神状態で大会に臨むことができました。そういうところは子ども達に教えられたなと思っています。

西尾 当たり前ですけどプロと比べればできないことの方が多いですもんね、小学生ですから。

井端 野球にミスはつきものですから(できなかったことを怒るのではなく)、エラーは全然いいし、三振も何も言わず、打ったときだけビックリするくらい褒めてあげました。

西尾 「井端塾」という小中学生向けの野球塾もされていますけど、やろうと思ったきっかけは?

井端 自分も小学校からプロまで野球をやって、やっていないのは社会人野球だけだったんです。だから社会人野球がどういうものなのか知りたかったので、巨人のコーチを辞めてから直ぐに社会人のコーチをやらせてもらいました。塾を始めたのは、野球を下から上まで一通り全部経験できたので、じゃあ今度は遡(さかのぼ)ろうと思ったんです。自分がプロで学んだことを子ども達に還元して、一から子ども達に野球を教えようと思って。子どもに教えるのは根気がいりますし、教える引き出しは山ほどないとどれが当てはまるか分かりません。でもそういう部分も楽しくやっています。

西尾 子ども達はいろんなことをやりたがるなかで、井端塾でやっているゴロ捕球だったりバッティングだったり、練習メニューは結構シンプルですよね。

井端 僕もいろんなことをやりましたけど、やって遠回りしたなとしか思っていないです。これさえやっておけば、ここさえやっておけば(というポイントを抑えておけば)あとは何とでもなると思います。

西尾 トップチームと並行してU−15の監督も兼任されていますけど、今年はコロンビアで『WBSC U-15ワールドカップ』という大会があるんですよね。

井端 そうですね。U−12の監督をやっていた子たちの何人かもエントリーしてきていますので、この3年間でどれくらい成長したのか見るのが今は一番楽しみですね。

西尾 これから選手選考になると思いますが、選考するときのポイントやこういう子を選びたいという基準はありますか?

井端 みんな上手いので大体ポジションがピッチャーとショートに偏るんです。セカンドで応募してくる子が一人もいないんです。だからセレクションの時にショートで応募してきた子には全員セカンドでもノックを受けてもらおうかなと考えています。

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