パリ五輪前最後の“コクリツ”で熱狂を生み出せるか FC東京をけん引する4人の五輪世代
FC東京でプロ生活をスタートさせた松木玖生 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】
なぜFC東京には若手のスターが溢れるのか?
なぜFC東京には若手のスターが溢れるのか。ひとつには、クラブが自前で有するアカデミーの充実がある。普及組織として東京各地に複数のスクールを展開しているが、そこに通うスクール生、あるいは街クラブで上位に入るタレントが、東京の西と東にあるU-15(西がむさし、東が深川)へと加入する。そしてこのふたつのU-15からU-18に昇格する者が出て、そこからさらに絞り込まれた才能がトップチームへと昇格してプロになる。もちろん、他県の選手もU-15やU-18にそれぞれ中学1年生、高校1年生で加入するために、層は厚い。U-23代表候補で言えば小学校時代はスクールのアドバンスクラスに通い、U-15深川からプレーしているバングーナガンデ佳史扶が足立区生まれの東京っ子であり、ジュニアユース年代ではFC琉球U-15でプレーして高校に進むと同時にU-18へと加入した野澤大志ブランドンが沖縄県生まれの越境組。また大学経由でトップに加入するパターンもあり、プロ志望者が集まってきやすい状態であることは確かだ。
彼らをそこまで惹きつける魅力のひとつは、中学3年生でU-18に参加したり、高校在学中にトップチームに参加したりという“飛び級”が生じ、早い段階から高い水準のフットボールを体感できること。さらに言えば、欧州のトップレベルと日本代表を経験してきた長友佑都など代表クラスの選手が揃い、日本にいながらにして己を磨ける環境は、アカデミー卒の選手のみならず、高体連出身の松木玖生のような才能をも引き寄せている。首都・東京に在ることから多くの人々の眼に触れやすく、また、過去に多くの選手を日本代表や海外クラブに送り出してきた実績も、若い選手のチャレンジを促す結果になっている。鹿島アントラーズから出場機会を求めて期限付き移籍で加入してきた荒木遼太郎がFC東京で出場機会を得てU-23日本代表に選ばれたことも、成功例のひとつと言っていい。
ユース出身でA代表にまで上り詰めた2人
FC東京U-18からトップチームへと昇格した野澤大志ブランドン 【©FC TOKYO】
2020シーズンにFC東京U-18からトップチームへと昇格した野澤は12月25日生まれの21歳。2021シーズンの夏から1年半、いわてグルージャ盛岡に育成型期限付き移籍で加入し、出場経験を重ねたことが飛躍のきっかけになった。ヤクブ・スウォビィクとのポジション争いを制して正ゴールキーパーの座を掴んだ2023シーズンを終えると、待っていたのはサプライズの日本代表選出。以後はA代表とU-23代表で留守が多くなっている。武器となるのは、一つひとつのシュアなプレー。派手なセーブを見せないかわりに1対1のストップは多い。さらには攻撃の起点として機能し、1本のパスでゴールを演出することもできる。攻守にわたって最後方からチームのリズムをつくっていく努力の人だ。
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中学時代からFC東京の下部組織でプレーをしてきたバングーナガンデ佳史扶 【©FC TOKYO】
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