グループステージでPK戦も? パリ五輪へ、大岩ジャパンが迎える「日韓戦」という分水嶺

川端暁彦

ただし、あくまで日韓戦は通過点

ここで誰を使うか。大岩監督にとっては先々も見据えてのマネジメントとなりそうだ 【AFC】

 注目を集める日韓戦だが、大岩監督にとっては一つの悩みどころかもしれない。

 グループステージ突破自体は既に決まっており、本当に力を入れるべき舞台はこの先に待つ、負けたら終わりのノックアウトステージである。この日韓戦で燃えつきているようでは話にならないのだ。

 もちろん、勝つに越したことはない。チームの雰囲気を良い状態に保つためにも、また開催国カタールとの対戦を避けるという意味でも、できれば勝っておきたいのも確かだ。ただ、指揮官はあくまで準々決勝以降も見据えたマネジメントとワンセットで考えるはず。ここで無理はしないだろう。

 実際、大岩監督はUAEとの第2戦翌日(20日)をオフに充当。チームトレーニングを行わず、選手たちはそれぞれ散歩に出かけたり、Netflixの動画を堪能したり、みんなでゲームをしたりとリフレッシュに努めた。遠く中東の地に来てから2週間が経過しており、張り詰めた空気を少し緩め、心と体を休息させた形だ。

 日韓戦を決戦と位置付けているならこの判断をするはずもなく、あくまで最終日まで見据えてのマネジメントである。大岩監督は「全試合を含めてマネジメントをして、この試合に臨みたい」とも語っており、ここまで出番の少ない、体力的に余裕のある選手たちに出場機会を与えることも予想される。

 逆に2試合連続フル出場で疲労の溜まっていたDF関根大輝(柏)は、21日の練習自体に不参加。休養に努めており、韓国戦は欠場濃厚だ。この関根に代わって、体調が整わずに別メニュー調整が続き、ここまで出番のなかったDF半田の先発はあるだろう。また最前線には、唯一の大学プレーヤーである長身FW内野航太郎(筑波大)の出番もありそうだ。

「みんなギラギラしてやっていますね。『俺が試合に出たい』って気持ちはみんなにあると思うし、だからこそ良い雰囲気で練習からやれています」と語ったのは、控えGKの山田大樹(鹿島)。また半田も「ウズウズしています」と笑顔で語っており、あらためて「23人全員で戦う」という大岩監督のコンセプトが反映されたメンバー構成となりそうだ。

 日韓戦。特別な試合。そう位置付けたくなるところではあるのだが、良い意味での通過点と捉えておくべきだろう。

 ライバル国を倒して勢いを得て、1位通過でノックアウトステージへ。そこを理想のシナリオとして持ちつつ、6試合を戦い抜くための現実的なマネジメントも並行して行う。大岩ジャパンはいつもどおりの準備を重ね、「23人全員で」伝統の一戦に臨むこととなる。

2/2ページ

著者プロフィール

1979年8月7日生まれ。大分県中津市出身。フリーライターとして取材活動を始め、2004年10月に創刊したサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊事業に参画。創刊後は同紙の記者、編集者として活動し、2010年からは3年にわたって編集長を務めた。2013年8月からフリーランスとしての活動を再開。古巣の『エル・ゴラッソ』をはじめ、『スポーツナビ』『サッカーキング』『フットボリスタ』『サッカークリニック』『GOAL』など各種媒体にライターとして寄稿するほか、フリーの編集者としての活動も行っている。近著に『2050年W杯 日本代表優勝プラン』(ソル・メディア)がある

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント