アンカーとして本来のスタイルに徹した遠藤航 プレミア優勝へ、職人芸の守備で貢献する予感
マック・アリスターを絶賛するとともに遠藤も称賛
クロップ監督はマック・アリスターを手放しで称えた。このアルゼンチン代表MFを陰で支えた選手のひとりとして遠藤の働きも評価 【写真:ロイター/アフロ】
「イエス、マカッ(マック・アリスター)は全くもって信じられないほど素晴らしかった」
突然話は飛ぶが、クロップ以前にマック・アリスターを“マカッ”と呼んだ人は誰もいなかったという。そういえばクロップは南野拓実のことも“タキ”と呼んでいた。略称ならばタクミから“タク”と呼ぶのが正解だと思うが、誰もそんな指摘はせず、いつの間にかイングランドで“TAKI”が南野の通称となった。
クロップは本当に嬉しくてたまらないという表情で遠藤、ソボスライとともに今季加入組で、あっという間にレッズのミッドフィールドの顔となったマック・アリスターを絶賛した。
そして「あれだけの才能と個性があるのだから、それはピッチ上で見せなければならない。これが自分だ! というように」と語ると、「それはコナー(ブラッドリー)、クアンサー、ワタル、ドム(ソボスライ。これもたぶんクロップ特有の略称)、ジョー・ゴメスも同じだ。みんながそれぞれの素晴らしさを見せてくれた。そう、私は彼らの大ファンなんだ」と続けて、マック・アリスターを陰で支えた選手たちの名前を出した。もちろん、そこには日本代表主将の名前も出てきた。
クロップは自身の後任にデ・ゼルビを望む?
リバプールの次期監督候補として名前が取り沙汰されるブライトンのデ・ゼルビ。守田英正が所属するスポルティングの指揮官アモリムが、現時点では最有力と見られるが…… 【写真:ロイター/アフロ】
これはまさか、前週の金曜日に来季のレバークーゼン残留を公言し、リバプール監督就任を拒否したシャビ・アロンソの決断を受けて、デ・ゼルビ推薦を示唆する発言だったのだろうか?
一方のデ・ゼルビは先週の定例会見で、来季もブライトンの監督を続けるか「分からない」と発言。英雄的オーナーのトニー・ブルームに対し、野心が足りないと取れる言葉を口にして英メディア上で物議を醸していた。
そこに今季の優勝を狙う敵将から敬意ある褒め言葉が届いた。一部では感情的であることが問題視される44歳イタリア人監督だが、このクロップの発言はきっと意気に感じたことだろう。
と思ってからブライトンの日程を見返すと、アーセナルとマンチェスター・Cとのホームゲームが残っていた。
この日、リバプールが辛くもブライトンを1点差で退けてから約30分後にマンチェスター・Cとアーセナルの戦いの火蓋が切られた。
エティハド・スタジアムで7シーズン負け続けているアーセナルがこの敵地で勝てば、3連覇中のマンチェスター・C時代の終焉を告げる勝利になると思っていた。そうなれば、アーセナルが“我々は優勝に値する真の強豪チームだ”と宣言することになり、優勝争いの本命になるとも見ていた。実際にここで勝てば、得失点差によりリバプールから首位の座を奪還することになる。
しかし代表ウイーク直後の試合で、ペップ・グアルディオラ、ミケル・アルテタというスペイン出身の両監督は負けを許さないラテン人らしい戦略的な戦いを選び、マンチェスター・Cとしては58試合ぶりとなるホーム戦無得点を記録して、この一戦はスコアレスドローに終わった。
この結果、三つ巴の戦いからリバプールが一歩抜け出し、自力優勝できる唯一のチームとなった。
そんな状況となると、クロップのデ・ゼルビ称賛も、ブライトンがこの2チームとのホームゲームを残すことを考慮しての深謀遠慮だったのではないかと思えてきた。
それにもしもブライトンが両チームから勝ち点を奪うようなことがあれば、まさに“瓢箪から駒”的な話ではあるが、現時点でスポルティング(ポルトガル)の39歳指揮官ルベン・アモリムが優勢と見られるリバプールの次期監督争いも、デ・ゼルビが急浮上して優位に立つ可能性もあるかもしれない。
(企画・編集/YOJI-GEN)