投手陣充実の中日がセ・リーグをかき回す!? 侍Jコーチ・吉見一起がセ・パ両リーグの順位を予想 

大利実
<吉見一起氏パ・リーグの順位予想>
1位:埼玉西武ライオンズ
2位:福岡ソフトバンクホークス
3位:オリックス・バファローズ
4位:千葉ロッテマリーンズ
5位:北海道日本ハムファイターズ
6位:東北楽天ゴールデンイーグルス

紙一重の戦いを制するカギは投手力

吉見氏は西武の強力投手陣を高く評価。松井稼頭央監督(左)が初めて宙を舞うか 【写真は共同】

――オリックスの4連覇がかかるパ・リーグの予想順位をお願いします。

 西武、ソフトバンク、オリックス、ロッテ、日本ハム、楽天の順です。

――「思い切った予想!」と言ってもいいでしょうか。

 はい。正直、1位から3位はかなりの僅差と思っています。西武を1位に予想したのは、先発を中心にした投手陣の安定が一番の要因です。高橋光成投手、今井達也投手、平良海馬投手、隅田知一郎投手がいて、ここにルーキーの武内夏暉投手が加わることになれば、より盤石になります。クローザーの増田達至投手の状態が不安でしたが、FAの補償で甲斐野央投手を補強することができました。チーム事情を考えると、まさに“どハマリ”。後ろが安定することによって、リードしている勝ち試合を着実に勝てると見ています。

――得点力の低さが課題と見られています。

 山川穂高選手が抜けたところに、勝負強さが光るアギラー選手が入ってきました。得点力はたしかに高くはないですが、強力な投手陣が能力どおりのピッチングを見せれば、ある程度計算を立てながら戦えると思います。

――2位がソフトバンク。

 紙一重の争いになると思います。山川選手が加入したことで、一番から九番まで厚みを増した打線になりました。西武に比べると不安なのが、投手陣です。千賀滉大投手がMLBに行ったことで先発の“大黒柱”がいなくなりました。昨年は千賀投手の穴を埋めることができず、最後まで先発のやりくりに苦労した印象があります。いくら打線が良いと言っても、いつも打てるわけではなく、計算を立てにくいのがバッティング。計算しやすい投手力の差で、2位と予想します。

――3位が4連覇を狙うオリックス。

 こちらも僅差で3位。千賀投手が抜けたソフトバンク同様に、山本由伸投手がMLBへ。毎年10個以上の貯金をしていた先発の穴を誰がカバーしていくか。山本投手は連戦の頭に投げることが多く、相手のエースとの投げ合いを制してきました。これは先発をやってきた人間にしかわからないことですが、大事な試合に投げたときは、それ以外の試合と比べて消耗度に大きな違いがあります。宮城大弥投手や山下舜平大投手が、大黒柱になれるかどうか。2年目の曽谷龍平投手、トミー・ジョン手術から復活した椋木蓮投手と、成長著しい若手がいるので、大黒柱が決まれば3連覇も見えてくると思います。

ロッテ浮上のカギを握る安田尚憲

吉見氏は、ロッテ打線の核として安田尚憲の成長に期待する 【写真は共同】

――昨季2位のロッテが4位。

 佐々木朗希投手、小島和哉投手、種市篤暉投手と、若手を中心にした先発陣は高い安定感を持っています。リリーフ陣では、高卒5年目の横山陸人投手が頭角を表してきました。自分の特徴をよく把握していて、高めをうまく使えるタイプ。いずれは、クローザーを奪う力を持っています。

――投手陣のレベルは高いとなると……。

 カギを握るのは得点力です。DeNAから加入したソト選手が、好調時のような数字を残せるか。あとは安田尚憲選手ですね。まだ先輩方にくっついている感じで、次男や三男のように見えます。そろそろ、長男として打線を引っ張れるようになれば、Aクラスの可能性が出てくるでしょう。

――新庄剛志監督3年目を迎える日本ハムが5位。

 上沢直之投手がMLBに移籍しましたが、山﨑福也投手の獲得に成功し、野手でもレイエス選手を獲得するなど積極的な補強が目立ちます。過去2年の新庄監督は選手起用を含めてさまざまなことを試しながら、戦いの形を作ってきていました。勝負の3年目はある程度、選手を固定しながらの戦いになると思います。

――最下位が楽天。

 松井裕樹投手が抜けた穴が非常に大きい。昨季、先発で155イニングを投げた則本昂大投手が抑えに回ることで、先発の枠が1枚空き、155イニング分をほかのピッチャーでカバーする必要が出てきます。2年目の荘司康誠投手が伸びてきていますが、1年通して考えると、先発の枚数が足りないと感じます。野手も浅村栄斗選手頼みであることに変わらず、投打ともに若手がなかなか育ってきていないのが現状です。

企画構成:株式会社スリーライト

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著者プロフィール

1977年生まれ、横浜市出身。大学卒業後、スポーツライター事務所を経て独立。中学軟式野球、高校野球を中心に取材・執筆。著書に『高校野球界の監督がここまで明かす! 走塁技術の極意』『中学野球部の教科書』(カンゼン)、構成本に『仙台育英 日本一からの招待』(須江航著/カンゼン)などがある。現在ベースボール専門メディアFull-Count(https://full-count.jp/)で、神奈川の高校野球にまつわるコラムを随時執筆中。

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