【コラム】第7回:日本の現状(その1)

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【コラム】第7回:日本の現状(その1)

スポーツエコシステム推進協議会(C-SEP)が、アスリートとアスリートを取り巻く全てのステークホルダーに知ってほしい情報を発信していく本連載、これまでの6回で、スポーツベッティングが既に合法化されている米国の事情を、概略的にお伝えしてきました。

※リンク先は外部サイトの場合があります

第7回となる今回からは、日本で起きていることを、日本の法律に照らして見た場合について、具体的にお伝えしていきたいと思います。

米国では2018年5月14日に連邦最高裁判所が下した判決によってスポーツベッティングの解禁が各州の判断に委ねられることになりましたが、日本ではいまも、スポーツを対象に賭けを行うことは刑法185条の賭博罪に該当し、違法です。競馬、競輪、競艇、オートレースの4大公営競技は、法律上認められている例外となります。
日本では、伝統的に、スポーツと学校教育の結び付きが強く、また、プロ野球などのプロスポーツは社会的公共財として国民全体に多様な価値を提供してきました。それ故、スポーツは、高潔で健全なものであることが求められてきました。そのため、スポーツが賭け事の対象とされ、八百長によってスポーツの高潔さが損なわれることのないよう、違法なスポーツ賭博に対しては、毅然とした対応がとられてきました。
古くは1969年から1971年にかけて発覚し、3人のプロ野球選手、それも当時のスター選手が球界を永久追放された「黒い霧事件」が有名です。永久追放処分を解除され、復権するまでに実に35年の歳月を要しました。
2010年には現役力士や親方が野球賭博に関与した、大相撲野球賭博問題が発覚。そこから芋づる式に八百長相撲問題も発覚し、40人近くが書類送検される事態に発展しました。
類まれな才能と幸運の持ち主が、大変な努力の末に手にするトップアスリートの地位。それを一瞬にして失ってしまうことは、日本社会の損失でもあります。それでも関与したアスリートを厳格に処分するのは、二度と同じ事件を繰り返さないとの決意を広く社会に示すためです。また、アスリートを違法なスポーツ賭博に関するあらゆるリスクから守るために、徹底した事前予防策がとられています。
このように、日本では違法な賭博にアスリート・スポーツ団体が巻き込まれないように事前予防策が徹底され、スポーツ賭博自体も違法なものと扱われてきました。ところが近年、インターネットの発達により、海外では合法的にライセンスを受けたオンラインカジノ事業者が日本にサービス提供する事例が急増していることが社会問題化し、直近ではオンラインカジノ事業者の摘発事例も出てきています。海外のスポーツベッティング事業者も同様に、日本に対してサービス提供を開始しているほか、世界中のスポーツベッティング事業者が日本のスポーツを賭けの対象にしてフリーライドしていることが明らかになっています。このようなフリーライドによる賭け金総額は実に5兆円と言われています。

次回は世界から日本のスポーツが賭けの対象とされている現状について取り上げます。
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