プロ野球12球団戦力分析(2024)

大幅な戦力強化に動いた日本ハム 上位進出へ「課題の二遊間」を埋められるか

データスタジアム株式会社

チームの得点力に大きな影響を与えるマルティネスの起用法

日本ハム野手:2023年ポジション別得点貢献度 【データスタジアム株式会社】

 昨季は移籍1年目の伏見がチーム最多の88試合でマスクをかぶったが、攻撃面でリーグワースト2位の得点貢献を記録するなど、深刻な打撃不振に苦しんだ。2番手のマルティネスが捕手としてリーグ最高レベルの打撃成績を残したことで大きな穴にはなっていないが、延べ8名の捕手が起用されるなど、課題の多いポジションとなっている。ここまでの実戦を見ると、捕手は複数の選手が満遍なく起用されているが、マルティネスが捕手としてあまり出場していないのが特徴だ。マルティネスが一塁を中心に出場するようであれば、捕手の得点貢献度は大幅に落ち込むことが予想されるため、起用法には冷静な判断力が求められるところである。

 代わって、積極的に起用されているのがドラフト2位ルーキーの進藤勇也だ。非凡な強肩と落ち着いたインサイドワークで首脳陣から評価を集めており、将来的なレギュラーとして大きな期待を受けている。

上位進出には二遊間の活躍が必要不可欠

 内野はほとんどのポジションで、攻守ともにリーグ平均に届かない成績だった。そうした中、三塁で高い得点貢献を記録していた清宮幸太郎が春季キャンプ直前に左足首を故障してしまった。近々、清宮は実戦復帰する見込みだが、状態を高めて早期に一軍合流できるかどうかは注目だろう。その清宮と同じく一塁と三塁を守る野村佑希は、オープン戦で非常に優れた成績を収めており、昨季の万波中正のような大ブレークを遂げるかもしれない。一塁にはチーム2位の15本塁打を放ったマルティネスもいるため、内野の両コーナーは攻撃面で期待を持たせる布陣となっている。

 一方、チーム最大の弱点となっているのが二遊間だ。2年目を迎えた上川畑大悟が前年から成績を低下させてしまったほか、石井一成が故障もあってわずか36試合の出場にとどまった。実績のある彼らの復調が待たれるほか、NPB2年目を迎えた加藤豪将、若手の奈良間大己や水野達稀、細川凌平らの成長がチーム浮上のカギを握る。ここまでの実戦では、水野がバットで猛アピールを見せており、レギュラーに定着することが期待される。また、先日には巨人からトレードで若林晃弘を獲得しており、チームの穴埋めに成功している。

鉄壁の守備力を誇る外野陣。万波がチームの顔に

攻守に非凡な能力を発揮し、チームの顔になりつつある万波。鉄壁の外野陣の軸となる選手だ 【写真は共同】

 外野では、ライトの万波がリーグ2位の25本塁打を放った攻撃面と、ゴールデングラブ賞に輝いた守備面ともに大きな得点貢献を記録した。侍ジャパンの代表として、昨秋のアジアプロ野球チャンピオンシップ、今春の欧州代表との試合にも選出されるなどし、チームの顔になりつつある。その万波に次ぐレギュラー候補が2022年に首位打者を獲得した松本剛である。昨季はコンディションに不安を抱えていたようだが、レフトとセンターともに高い守備得点を記録した。新庄監督からの信頼も厚く、名実ともにチームをけん引していきたいところだ。

 日本ハムにはこの2名のほか、江越大賀や五十幡亮汰など守備力に優れる外野手が多いのが特徴だ。昨季は攻撃面での得点が伸び悩んだが、新外国人のスティーブンソンと、昨季は13試合の出場にとどまった淺間大基がともにオープン戦で好成績を残し、外野のポジション争いはハイレベルとなりつつある。最後に、DHとして起用が予想されるのが新外国人のレイエスだ。メジャーで30本塁打以上を2シーズン記録した実績を持ち、ここまでの実戦でも持ち前のパワーを発揮している。近年のパ・リーグでは、活躍する新外国人野手が希少となっているため、レイエスやスティーブンソンが好成績を収めるようだと、他球団に対して大きなアドバンテージとなる可能性が高い。

新庄体制3年間の集大成を見せられるか

 オフには加藤貴の残留に加え、山崎福也やレイエスを争奪戦の末に獲得するなど、編成面で大幅な戦力補強を行った日本ハム。一方で、二遊間が大きな穴となっており、上位進出にはこのポジションの奮起が必要不可欠だ。就任3年目を迎えた新庄監督が、成績次第でユニホームを脱ぐ覚悟と意気込んで臨むシーズン。2年間で土台を築いた既存戦力と新戦力の歯車がかみ合い、上位進出を果たせるか。ファイターズ創設50周年を迎える今季、2年連続最下位からの下克上に挑む。

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日本で唯一のスポーツデータ専門会社。 野球、サッカー、ラグビー等の試合データ分析・配信、ソフト開発などを手掛ける。

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