「諦めない」野球でセンバツへ ミラクルな勝負強さの東海大福岡
センバツ出場が決まり、喜ぶ東海大福岡の選手たち 【平川義之撮影】
8部門制で培った状況判断
一方で、練習では、投手と野手には分かれるものの、全部員が同じ練習に取り組むことを重視。同じ目標や目的を持って競い合うことで、チーム力の底上げを図る。アンケートで井上和翔主将がユニークな練習として挙げたのは、「アメリカンノック」。一般的には外野の左右を大きく使って行うことが多いが、東海大福岡は内野も使うことが特徴で、体力と守備力の向上に励んできた。
チームの自慢は「粘り強い野球で逆転し、勝てるところ」と井上主将。野球を通じて「諦めないことの大切さ」を学んだといい、中村謙三監督も「接戦に強いチーム」と評価する。工夫を重ねて培った一体感で聖地に臨む。
ミラクルな秋 選手の記憶に鮮明に
大会前に主催者が東海大福岡の選手20人に実施した「将来の夢」のアンケート調査結果 【毎日新聞】
選手20人が答えた主催者アンケートで、今までもっとも印象的だった出来事を聞いたところ、8人がこの試合だと回答した。昨秋は、福岡大会でも準決勝で、福岡大大濠を相手に九回裏に1点差を追いつき、延長サヨナラ勝ち。勢いに乗って優勝した。福岡大会の出来事を挙げた選手も4人。思い出深い、ミラクルな秋となった。
将来の夢は、プロ野球選手が4人で最多。野球関係の仕事やトレーナーも3人ずつおり、スポーツ関連の仕事を挙げた選手が半数を占めた。
身長187センチの大型右腕エース・佐藤翔斗投手は「キャップ野球」を趣味に挙げた。ペットボトルのキャップを弾くように投げることで、多彩な変化球を投げられる手軽さが魅力の競技で、近年は大会も整備されている。佐藤投手は最速142キロの直球を持つが、変化球のコンビネーションで打者を追い込むクレバーな投球が真髄。趣味とその投球術はどこか重なる。