全員「肥後っ子」熊本国府が挑む初の甲子園 天国の恩師に届けたい勝利
センバツ初出場が決まり、拳を突き上げる熊本国府の選手たち 【徳野仁子撮影】
勝利打点ならぬ「勝利守備」
その原動力について、山田祐揮監督はアンケートにこう記す。「勝利打点という言葉があるが、(熊本国府の場合は)『勝利守備』という言葉があってもいいぐらい、守備に助けられて戦ってきた」。遊撃手の山田颯太選手と二塁手の野田希(のぞむ)主将の二遊間を中心に、「ヒット性の当たりでも身をていして守り」(山田監督)、坂井理人選手ら投手陣をもり立ててきた。
ユニークな練習方法として野田主将がアンケートで挙げたのは「マシン1カ所バッティング」。フリー打撃のようだが、守備練習の意味合いが強いという。マウンドにマシンを置き、様々なシーンを想定して走者を塁に置く。守備陣は、実戦をシミュレーションしながら打球に対応する。その工夫は、九州大会4試合で3失策という数字で結実した。
チームへのアンケートによると、平日の練習は「2時間」と他校に比べてかなり短い。限られた時間の中、磨き上げた守備力で初勝利を目指す。
「森先生」に見せたかった甲子園切符
大会前に主催者が熊本国府の選手20人に実施した「将来の夢」のアンケート調査結果 【毎日新聞】
他には「熊本地震」と答えた選手も8人いた。部員61人全員が熊本県出身。2016年4月、2度の震度7で県内に甚大な被害を与えた震災の記憶は、当時小学生だった選手たちの記憶にも鮮明に残っている。
将来の夢でプロ野球選手と回答したのは、エース右腕・坂井投手ら2人と控えめ。ただ、野球関係の仕事(3人)、スポーツ関係の仕事(3人)、トレーナー(2人)など、スポーツで生計を立てる将来を目指す選手は多い。
趣味では3人が「温泉」と答えた。熊本は黒川温泉をはじめ、大分・鹿児島に次ぐ九州の温泉どころ。サウナの回答も3人おり、日々の練習の疲れを汗と一緒にしっかりと流し、英気を養っている。