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全員「肥後っ子」熊本国府が挑む初の甲子園 天国の恩師に届けたい勝利

毎日新聞

部員全員が熊本県内出身者 守り勝つ野球で九州初制覇

二枚看板の右腕・坂井理人投手 【徳野仁子撮影】

 過去の九州大会は計1勝止まりだったが、昨秋は神村学園や明豊と昨夏の甲子園出場校を破る快進撃で初優勝。春夏通じ初の甲子園出場をつかんだ。

 守り勝つ野球が身上で、右腕・坂井投手と左横手・植田凰暉(ごうき)投手の二枚看板がともに打たせて取る投球でリズムを作っていく。坂井投手は憧れる山本由伸(米ドジャース)のフォームをまね、左足を高く上げずに打者のタイミングをずらすことを意識する。スライダーを中心に変化球の種類も多く、制球力もいい。明豊戦は無四球で完投した。

 救援が多い植田投手は、体を思い切りひねるトルネード投法からインステップしてスライダーと直球を投げ込むため、左打者は打ちづらい。8人の左打者が並び強打を誇る神村学園相手に、先発を任され1失点完投し自信を深めた。今冬はチェンジアップの習得も目指しており、課題としている右打者対策にも余念はない。

平日練習はわずか2時間 工夫凝らし実戦感覚養う

二枚看板の左横手・植田凰暉投手 【徳野仁子撮影】

 九州大会全4試合で2桁安打を放った打線は、1イニングに複数得点できる集中打が売りだ。チーム一の長打力を誇る3番・内田海選手は「野球をしてきた中で一番だった」と語るほど不調だった九州大会の反省から、逆方向への打撃を意識するようになった。4番の中嶋真人選手は小柄ながらミート力があり、つなぎの4番としての信頼感は高い。

 ともにチームトップとなる9打点を挙げた5番・岡本悠生選手と6番・山下勝耀選手も勝負強い。山下選手は出場選手中3位の打率5割5分6厘をマークしており、「クリーンアップは3番から6番までと考えている」と山田監督。熊本西高で2019年センバツに出場した野田侑を兄に持つ主将の2番・野田選手は俊足で、出塁して4人に回せるかが鍵となる。

 私立校ながら熊本県内の選手のみで、中学軟式野球経験者が多数を占める。学校からグラウンドが離れているため移動に時間がかかり、平日の練習は2時間程度ながら、練習の約7割をシート打撃に費やし、打撃、守備、走塁を一気に鍛える方法で実戦感覚を養ってきた。新チーム発足時に定めた目標は甲子園ベスト4。山田監督は「夢舞台が楽しみ。スター選手はいないが、集中力を高くしていきたい」と待ちわびる。肥後っ子たちが平常心で初舞台に挑んでいく。

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