全員「肥後っ子」熊本国府が挑む初の甲子園 天国の恩師に届けたい勝利
部員全員が熊本県内出身者 守り勝つ野球で九州初制覇
守り勝つ野球が身上で、右腕・坂井投手と左横手・植田凰暉(ごうき)投手の二枚看板がともに打たせて取る投球でリズムを作っていく。坂井投手は憧れる山本由伸(米ドジャース)のフォームをまね、左足を高く上げずに打者のタイミングをずらすことを意識する。スライダーを中心に変化球の種類も多く、制球力もいい。明豊戦は無四球で完投した。
救援が多い植田投手は、体を思い切りひねるトルネード投法からインステップしてスライダーと直球を投げ込むため、左打者は打ちづらい。8人の左打者が並び強打を誇る神村学園相手に、先発を任され1失点完投し自信を深めた。今冬はチェンジアップの習得も目指しており、課題としている右打者対策にも余念はない。
平日練習はわずか2時間 工夫凝らし実戦感覚養う
ともにチームトップとなる9打点を挙げた5番・岡本悠生選手と6番・山下勝耀選手も勝負強い。山下選手は出場選手中3位の打率5割5分6厘をマークしており、「クリーンアップは3番から6番までと考えている」と山田監督。熊本西高で2019年センバツに出場した野田侑を兄に持つ主将の2番・野田選手は俊足で、出塁して4人に回せるかが鍵となる。
私立校ながら熊本県内の選手のみで、中学軟式野球経験者が多数を占める。学校からグラウンドが離れているため移動に時間がかかり、平日の練習は2時間程度ながら、練習の約7割をシート打撃に費やし、打撃、守備、走塁を一気に鍛える方法で実戦感覚を養ってきた。新チーム発足時に定めた目標は甲子園ベスト4。山田監督は「夢舞台が楽しみ。スター選手はいないが、集中力を高くしていきたい」と待ちわびる。肥後っ子たちが平常心で初舞台に挑んでいく。