センバツLIVE! 全32校アンケート分析

エースの特技は「アーク溶接」 農工商一体の阿南光、多様で多彩な選手たち

毎日新聞

32年ぶりのセンバツ出場が決まり、ガッツポーズを見せる阿南光の選手たち 【山本芳博撮影】

 3月18日に開幕する第96回選抜高校野球大会には全国から32校が出場します。多彩な個性を持つチームに大会前、主催者はアンケートを実施しました。回答内容には、チームの魅力や今どきの球児事情が詰まっています。

高校から野球を始めた選手も

 統合前の新野が出場して以来、32年ぶりにセンバツの舞台に戻ってくる。選手が回答したアンケートで25人の経歴を見ると、中学時代に全国大会で優勝を経験した選手もいれば、高校に入って野球を始めた選手もいる。中学で軟式野球の出身者もおり、多様だ。

 経歴で珍しかったのは、高校から野球を始めた藤崎健選手だ。ポジションはセカンドとレフトで、昨秋の大会は外野手としてベンチ入りした。アンケートの中では、高橋徳(あつし)監督も藤崎選手を「努力家」と評しており、25人の部員の中で背番号を手にしたストーリーが浮かぶ。藤崎選手も好きな言葉に番狂わせを意味する「GIANT KILLING(ジャイアントキリング)」と回答。対戦したい相手にも「とても強い相手だから大阪桐蔭」と答えた。わずかな野球歴にして夢の甲子園の舞台は目前に迫る。

 エース右腕の吉岡暖(はる)投手や、多様なメンバーをまとめてきた井坂琉星主将らは中学時代の硬式のヤングリーグで全国大会の頂点に立った経験を持つ。甲子園に出場する他校のチームではシニアやボーイズなどで硬式野球を経験して入学してくる選手も多いが、阿南光のメンバーは、地元の中学校の野球部で軟式を経験してきた選手もチームを支えている。中軸を担う福田修盛選手も阿南第二中で軟式出身だ。

 阿南光としての甲子園出場は2021年夏で、当時は1回戦で沖縄尚学に0-8で零封負けしている。現校名としてはセンバツだけでなく「甲子園」での初勝利もかかり、初得点のホームを踏めるかも注目される。

野菜栽培の知識や電卓の使い方 個性に富んだ資格取得者も

大会前に主催者が阿南光の選手25人に実施した「将来の夢」のアンケート調査結果 【毎日新聞】

 阿南光は2018年に阿南工と新野を再編統合して開校したばかりの県立高。その特徴は徳島県内で初めて、農工商を一体化させた点にある。さまざまな分野で実技を学ぶことができるため、選手たちの夢や特技、所有する資格なども個性に富んでいる。

 センバツ出場の原動力となったエース右腕・吉岡投手は特技を「アーク溶接」と回答。放電現象を生かして金属同士をつなぎ合わせる技術だ。主軸の住江慶次郎選手ら2人が日本農業技術検定3級を保持。試験では、野菜の栽培方法や栄養学に関する基礎的な知識が求められる。ほかに電卓の正しい使い方などが問われる計算技術検定を取得している選手も3人いた。

 多様な人材がそろっていることもあり、「将来の夢」も分散。複数人が回答したのは▽特になし▽サラリーマン▽幸せになる▽プロ野球選手▽理学療法士で、ほかにも農家▽歯科技工士▽水族館の飼育員▽トリマー▽バスプロなど多様な職業が挙げられた。

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