エースの特技は「アーク溶接」 農工商一体の阿南光、多様で多彩な選手たち
速球派とスラッガー擁する 公立の雄は地元出身ぞろい
中学時代に硬式野球のヤングリーグで全国優勝を経験している吉岡暖投手 【三村政司撮影】
昨秋の四国大会の4試合を一人で投げ抜いた吉岡投手は最速146キロ右腕。スライダー、カットボール、ツーシーム、カーブを持つ。習得中のフォークを、自在に操れるようになれば、さらに投球の幅が広がる。この冬は「全体的な球速を上げたい」と、400グラムの重いボールを投げるトレーニングに取り組んだ。また、投球時の負担を減らすため、従来よりもやや腕を下げたスリークオーター気味のフォームに挑戦している。中学時代は硬式のヤングリーグの全国大会を制した実績もあり、経験豊富だ。当時チームメートだった捕手で主将の井坂選手や遊撃の矢藤颯太選手らも阿南光に進学し、中心選手となっている。
打線の中心はスラッガーの福田選手だ。身長180センチ超でパワーが魅力だが、オフ期間にはあえて減量に取り組んだ。トレーニング量を増やして、約90キロの体重を86キロにまで絞り込んだ。その結果、俊敏性が増し、60メートルのタイムも6秒4から6秒00に上昇。スイングのキレも増しており、本人も手応えを感じている。
自己肯定感高める指導
昨秋の四国大会で本塁打を放つ福田選手。中学時代は軟式野球出身だ 【三村政司撮影】
守りの要は、遊撃の矢藤選手。秋の徳島県大会初戦ではミスを連発したが、そこから1週間、毎日約500本ノックを受けることで、精神的にも技術的にもたくましくなった。捕手の井坂選手も体力強化が実り、二塁送球のスピードと確実性が増した。
高橋監督は「してはいけない」といった否定的な言葉をできるだけ使わず、選手の自己肯定感を高める指導を心がける。戦術的にもバッテリーの精神的負担を取り除くため、自ら配球のサインを出すなど、個々が積極的にプレーできる環境作りに心を砕いている。
阿南市は、杉本裕太郎選手(オリックス)らを輩出した野球どころ。チームも選手のほとんどが地元出身者とあって、結束力は高い。阿南旋風を巻き起こす覚悟だ。