3月18日に開幕する第96回選抜高校野球大会には全国から32校が出場します。多彩な個性を持つチームに大会前、主催者はアンケートを実施しました。回答内容には、チームの魅力や今どきの球児事情が詰まっています。

　大阪桐蔭は甲子園で史上初となる2度の春夏連覇を達成するなど、近年の高校野球界を引っ張ってきた。浅村栄斗選手（楽天）や中田翔選手（中日）、米大リーグの藤浪晋太郎投手（メッツ）ら数多くのプロ野球選手を輩出し、今でも中学時代に実績を残したタレントが集まる。他校からも練習の取り組みや意識の持ち方などに興味、関心が集まる「日常」とはどんなものなのか。

「野球に集中できる環境が整っていること」。主催者が実施した主将アンケートで宮本真司郎主将は、練習の環境面をチーム自慢に挙げた。生駒山の山中にある専用グラウンドにはナイター設備が整い、室内練習場も完備され、選手は寮で寝泊まりしながら野球生活を送る。練習時間も平日は学校終了後の午後3時から6時間、土日も7～9時間。休みは週1回という。

　宮本主将がユニークな練習メニューに挙げたのが、野球部伝統の「山ラン」だ。学校から野球部のグラウンドまでの約4キロを、入学したばかりの1年生はランニングで移動する。上級生はバスで移動するが、乗り切れない下級生は上級生よりも先着すべく傾斜や階段がある険しい山道を走り抜く。入部直後は筋肉痛に悩まされるほどしんどいというメニューだが、つらい経験を乗り越えることで、結束力にもつながるという。

　宮本主将は、主将としての苦労や悩みについて「チームを一つにしていくことや全員が高い意識で練習できるようにすること」と明かす。個々の能力が高い選手たちが結束し、高いモチベーションを保ったまま日々の練習に取り組めるように心を砕いている。「何事でもまずは自分が率先してやること」を考えており、背中で引っ張ることを心掛けている。チームの信条は「芯の太い集団にする」。簡単には折れない心技体の強さを目指している。

　名門校らしく「プロ志向」の強さが際立った。主催者が実施したアンケートで、「将来の夢」（複数回答あり）にプロ野球選手を挙げた選手20人のうち10人で半数に上った。

　注目打者の一人である徳丸快晴選手は「プロ野球でタイトルをとる」と回答し、最速146キロを誇る南陽人投手は「超一流のプロ野球選手」「メジャーリーガー」と複数回答。プロの世界を目指すだけでなく、そこでの活躍までをイメージする目標の高さがうかがえた。「野球を長く続ける」や「野球関係の仕事」などの回答もあり、長く野球に携わっていきたい考えも垣間見えた。

　また「趣味」について聞いたところ、音楽鑑賞が最多となったが、ストレッチなどの「体のケア」が続いたのも野球に取り組む意識の高さがうかがえる。野球以外の過去の習い事では、水泳と回答した選手が最も多く、その他では剣道や空手という回答もあった。「特技」を回答した選手は少なかったが、その中でも増田湧太選手はスポーツから離れて「裁縫」と回答。ダンスやけん玉など意外な技能を持つ選手もいた。