ぶっつけ本番サウジGPで7位入賞の鮮烈F1デビュー イギリスはなぜベアマンのような才能を生み出せるのか
「F1大国」イギリス
「史上最も成功したイギリス人ドライバー」ルイス・ハミルトン 【MercedesF1】
しかも彼らはいずれも、並のドライバーではない。ハミルトンは言うまでもなく、ラッセル、ノリスは次世代のチャンピオン候補と目される。サウジではベアマンを含め全員が6位から9位に入り、きっちり入賞を果たした。
1950年に始まるF1の歴史を振り返っても、歴代イギリス人ドライバー161人、チャンピオン経験者10人という数字は他国を圧倒する。イタリアでさえ99人、チャンピオンは1950年代に活躍したアスカリ、ファリーナ以来出ていない。「グランプリ」発祥の地フランスも、F1ドライバーは71人、チャンピオンはアラン・プロストのみだ。
(注)アメリカ人ドライバーの大部分は1950年代のインディ500出場者 【スポーツナビ】
そんな「F1大国」イギリスから、優秀なドライバーが輩出されるのは当然ということなのだろう。
なぜイギリスから、こんなにも多くの才能が生まれるのだろう
再びルクレール(写真)と組んで、フェラーリ黄金時代を築くかもしれない 【Scuderia Ferrari】
「F1不毛の地」であったはずのオランダから、フェルスタッペンというとんでもない才能がどうして生まれてきたのか。オランダ人F1ドライバーとして唯一表彰台経験のある父ヨスの英才教育があったとはいえ、彼の出現は突然変異的としか言いようがない。
他にもたとえばフィンランドのような人口550万人の小国から、ケケ・ロズベルグ、ミカ・ハッキネン、キミ・ライコネンと、名だたる世界チャンピオンが続々と出たのも、実に不思議な話だ(かつてライコネンの故郷に取材に行った時には、「フィンランドは水が違うからだよ」と、煙に巻くような話をされたものだが)。
ただしベアマンに限っていえば、「今こうして一緒に走っているハミルトンや、ラッセル、ノリスに憧れてレースに励んできたことが、今回のF1デビューに繋がった」と、本人は言っている。今後ベアマンがF1昇格を果たして彼らのように活躍すれば、さらに若いイギリスの才能も彼に続くことだろう。
(了)