3月18日に開幕する第96回選抜高校野球大会には全国から32校が出場します。多彩な個性を持つチームに大会前、主催者はアンケートを実施しました。回答内容には、チームの魅力や今どきの球児事情が詰まっています。

　米大リーグ・レッドソックスの吉田正尚選手を始めプロの世界に数多くのOBを送り出してきた敦賀気比。4年連続11回目の春に臨む福井の名門は、「センバツ出場」だけで満足はしていない。東哲平監督が掲げる「甲子園で勝ち上がれるチーム」という指導方針の下、〝最も高い場所〟へ常に歩みを進める。西口友翔主将が今大会の優勝候補の筆頭として記した校名も、もちろん敦賀気比。「優勝するために練習している」とストレートな表現で闘志をたぎらせる。

　主将として日ごろから心がけているのは「周りへの気配り、目配り、選手への声かけ」。後輩たちには「勝つことは簡単ではない」と伝えたいと考えている。2年生の春に甲子園の土を踏んでいる主将自身、初戦を突破できず涙をのんでいる。憧れるスポーツ人は大谷翔平投手（米ドジャース）。「向上心や野球に費やす時間がとても尊敬できる」と理由を挙げ、目標へ向かうチームをまとめる主将としての意識の高さを感じさせた。

　休日には寮の掃除をして過ごしているという西口主将。「学校生活や寮生活などをおろそかにしない」というチームの方針もしっかりと実践している。

　センバツを制した経験もある敦賀気比。全国有数の強豪校だけに野球に専念してきた選手ばかりなのかと思いきや、主催者アンケートからは文化や語学、ビジネス系検定など多彩な経験が垣間見える。

　昨春も甲子園を経験した野道諒彌選手は、過去のスポーツ歴や習い事、資格、特技などの問いに「情報処理検定2級」と書いた。表計算やコンピューターの知識に関する検定だ。内野手の小久保稀世斗選手は「中国語検定4級」と記載。検定を実施する日本中国語検定協会のサイトによると、平易な中国語を聞き、話すことができるレベルだという。文化・芸術では、「書道」の経験者が目立つ。チーム屈指の俊足・嘉村幸太郎選手を含め、書道を習ったことがある選手は複数おり、「趣味」として挙げる選手もいた。

　野球以外のスポーツ経験では、人気の水泳を筆頭に、陸上やバスケ、体操に空手などが挙がった。競技にこだわらず幼いころから体を動かしてきたことがうかがえた。

「将来の夢」にプロ野球選手を挙げたのは、回答者の過半数。エース左腕の竹下海斗投手、打率チームトップの西口主将ら14人だった。海外でのプレーを夢見る声もあり、「メジャー志向」も浸透しているようだ。