茨城の新戦力、ルーク・メイは「華麗なる一家」出身 NCAA制覇を支えた勝負強さでB1残留圏浮上に貢献
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3月2日と3日には、全体勝率最下位の富山グラウジーズにアウェイで連勝し、「7勝34敗」まで戻してきた。信州ブレイブウォリアーズ(6勝35敗)も上回り、ついに残留圏内の「全体22位」まで浮上している。
富山との第2戦は延長の激闘
茨城は前半を49-37とリードして終えたものの、第3クォーターに追い上げられて一時は逆転されている。対する富山も第3クォーター残り5分36秒にイヴァン・ブバがこの試合2回目のテクニカルファウルを宣告され、失格(退場)処分となった。その後は一進一退の攻防が試合終了まで続いた。
リチャード・グレスマンヘッドコーチ(HC)は試合後にこう述べている。
「我々は2連勝する必要が、本当に、強くありました。(残留を争う)富山が相手だからとか、今の順位は関係なく、今シーズンまだ連勝を一度もしていなかったからです。だからこそ2連勝が達成できたことを、本当に嬉しく思います。ルーク(・メイ)、シェイ(チェハーレス・タプスコット)、ハヤト(山口颯斗)の3人が、オフェンスで本当に素晴らしかったです」
彼は激闘の「バイタルモーメント」(試合を決めたプレー)をこう振り返っていた。
「一つは鶴巻(啓太)選手が4点差で負けているとき、大事なところ(第4クォーター残り3分17秒)で、3Pシュートを決めた場面です。もう一つはオーバータイムで、ルーク(・メイ)がベースライン際のミドルレンジを決めた。その二つはすごく大きかったと思います」
全米制覇を呼んだ「劇的シュート」
17年3月26日のNCAAトーナメント準々決勝で決めたシュートは今も語り継がれている 【Photo by Kevin C. Cox/Getty Images】
まず「外国籍選手が3人揃った」ことが、茨城にとっては大きかった。しかもメイは合流して初の2試合で、いきなりの大活躍を見せている。先発からは外れたもののまず2日に18分25秒の出場で16得点、10リバウンドを記録。3日は32分17秒の出場で29得点、13リバウンドと圧倒的だった。
26歳の(3月7日が誕生日で、本稿掲載直後に27歳となる)メイは競技をまたいだ華麗なる「有名スポーツ一家」の出身だ。1学年下の弟・コールは201センチの長身左投手で、フロリダ大で2017年のカレッジワールドシリーズ(全米大学選手権)を制している。6つ下の弟・ドレイクはアメリカンフットボールの有望なクォーターバックだ。24年4月下旬に開催されるNFLドラフトでは1巡目指名が濃厚視されている。
父・マークはアメフト、5つ下の弟・ボウはバスケの選手で、どちらもルークやドレイクと同じノースカロライナ大だ。
長男のルークも、大学バスケのスター選手だった。NCAAトーナメントといえば、アメリカでは「マーチマッドネス」の異称でおなじみの春の風物詩。彼は2017年にノースカロライナ大の全米制覇に貢献している。決勝の対戦相手は、1年生の八村塁が所属していたゴンザガ大だった。
彼は同大会の準々決勝で、ケンタッキー大を相手に「残り0.3秒」から劇的な勝ち越しシュートを決めている。1982年の決勝でマイケル・ジョーダンが放った「伝説のシュート」とともに、全米制覇6度の名門校の歴史の中でも語り継がれる劇的な瞬間だ。
来日直前、母校とデューク大の大一番で勢揃いした4兄弟(左がルーク) 【Photo by Peyton Williams/UNC/Getty Images】
富山戦も延長終盤にビッグプレー
88-86と追い上げられたその次のオフェンスでも、トップの位置でボールを受けると1オン1からゴール左に切れ込み、残り19秒からフェイドアウェイを沈めた。相手がコンテストをしてきた状態から放ったタフショットだった。結果的にはこれが決勝シュートになっている。
富山の桜木ジェイアールスーパーバイジングコーチは言う。
「(相手の)ロング2(3Pライン近くから放つ2ポイントショット)は、自分たちにとって良いシュートです。確率の低いシュートですし、(得点の期待値が高い)レイアップやオープンのスリーポイントではない。あれは決まってしまったら仕方ないシュートだったと思います」