パリ五輪に向けてアピールに成功した選手は? W杯選外から「トライアウト」に挑んだ日本代表4選手の心構え

パリ五輪に向けた「トライアウト」に臨んだ選手たち 【(C)野口岳彦、伊藤大允】

 2月22日と25日の両日にわたり、有明コロシアムで開催された「FIBAアジアカップ2025予選Window1」。グアムと中国との2戦は、アジアカップの出場権獲得のために勝利を目指すと同時に、パリオリンピックに向けてチーム力を高める、新戦力の選考を進める狙いを持った試合でもあった。

 グアムとの一戦を後半に突き放し、注目となった中国戦を3点差で制した日本。中国との勝敗を分けた差はディフェンスの強度と連携に現れており、「各自が役割を遂行してやるべきことをやれば勝てる」(比江島慎)と、選手たちがワールドカップを経て自信をつけていたことが大きな進歩だった。

 こうして、チームの戦術理解度が深まっていくなかで、パリ五輪のメンバー入りを目指して争っていた選手たちはどのような心構えで戦っているのだろうか。トム・ホーバスヘッドコーチ(以下HC)が「トライアウト」と称する選考レースに挑み、パリに向けてアピールできた選手は誰か。台頭した4選手を追う。

テーブス海「サイズを生かした2ガード仕様で新境地を切り開く」

2ガードの一角として活躍したテーブス 【(C)野口岳彦】

 アピールに成功した一番手はテーブス海だろう。グアム戦では20分57秒の出場で7得点5リバウンド3アシスト、中国戦では11分52秒の出場で5得点4アシストをマークしている。自身のポジションはポイントガードだが、今回は富樫勇樹や河村勇輝と2ガードを組んでコートに出されたことで、ボールハンドリングができるシューティングガードとしての役割が機能。また、ペイントアタックすることでディフェンスが収縮してスペースが広がり、キックアウトパスから富樫、河村、馬場雄大らが3ポイントを打つチャンスもクリエイトしていた。河村、富樫に次ぐ3番手ポイントガードという立ち位置ではなく、188センチのサイズでポイントガードもシューティングガードもこなせるハンドラーというポジションを切り拓き、自身が生きる道を見つけたのだ。

 実は合宿期間が短かった今回は、2ガード仕様の練習は特にしていなかったという。それでも力を発揮できたのは「合宿に何度も呼ばれて、トムさん(ホーバスHC)のシステムが分かっていたから」だとテーブスは言う。そしてもう一つの大きな理由は、昨夏のワールドカップメンバーから落選した悔しさがあったからだ。

「ワールドカップの選考のときは自分の仕事を果たせてなかったことは自覚していて、それがメンバーから落ちた理由だと理解しています。自分の仕事とは、サイズがあるガードとしてペイントアタックすることや、そこからクリエイトすること、ディフェンスで流れを引き寄せることです。昨年はそれができていなかったので、今度は自分の役割を遂行することを心掛けてやっています。まだ安定感がないので、もっと経験を積んでいきたいです」

 ホーバスHCも「海はワールドカップのメンバーから落ちたことで悔しかったと思う。そこで落ち込むような考えならダメだけど、彼は逆だった。今回はとてもいい仕事をした」と評価。こうした、ハングリーな選手こそがホーバスジャパンでは求められる。

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