18歳・川島悠翔が衝撃の日本代表デビュー グアム戦で本人が語った手応えと課題

大島和人

川島悠翔がグアムとのアジアカップ予選で日本代表デビューを果たした 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 日本がパリ五輪出場を決めた2023年9月2日のFIBAバスケットボールワールドカップ(W杯)カーボベルデ戦から、間もなく半年になる。日本代表、Bリーグへの注目度は大幅に上がった。今回の代表活動も、合宿期間中に設定された「メディアデー」から今までにない数のメディアが集まっていた。

 2月22日のFIBAアジアカップ2025予選グアム戦は平日開催にも関わらずチケットが完売し、有明コロシアムを8672名の観客が埋めていた。ホーバスジャパンにとっては173日ぶりの「代表戦」だった。

 直近のFIBA世界ランキングを見ると、W杯で大きく順位を上げた日本は26位。対するグアムは76位で、25日に対戦する中国(世界ランキング29位)に比べると与し易い(くみしやすい)相手だった。1試合にベンチ入りさせられる選手数は12名だが、試合間隔が短くても別々の人選が可能。合宿期間中の取材でトム・ホーバスヘッドコーチ(HC)は「15人以上は行かないけど、見たい選手もいる」とグアム戦と中国戦の選手入れ替えを示唆していた。

18歳、川島悠翔が代表デビュー

 それもあって、グアム戦では2人が「代表デビュー」を果たした。ひとりは23年9月に日本国籍を取得した35歳のジョシュ・ハレルソン(佐賀)で、もうひとりは18歳の川島悠翔だ。

 ハレルソンはジョシュ・ホーキンソン(SR渋谷)に「もしも」があったときのサブだろう。一方の川島は間違いなく日本バスケの未来を背負うオールラウンダーで、年代別代表では既に世界大会を経験し、いわゆるフル代表にも昨年から招集されていた。

 群馬県出身で2005年5月生まれの彼は、福岡大附属大濠高1年次にウインターカップ優勝へ貢献。2年を終えたタイミングでオーストラリアに渡り、今ではNBAの若手養成機関「グローバルアカデミー」でプレーしている。

 そんな大器がグアム戦で期待以上のプレーを見せた。第2クォーター開始とともに登場すると、最終的には合計13分56秒の出場時間を獲得。6得点2アシスト3リバウンドのスタッツを残している。

 元々2メートルの身長に似合わぬ身軽さ、スキルを持つ彼だが、会うたびに上半身が逞しくなっていく。グアム戦は主に4番(パワーフォワード)としてプレーし、相手のビッグマンに対するインサイドの攻守で「強さ」も見せた。

 本人はグアム戦をこう振り返る。

「自分の武器であるドライブ、あとはアグレッシブなディフェンスと、リバウンドを求めているとトムさんが言っていました。だからそこを全力で遂行しようという気持ちで臨みました。試合後は『良かったよ』と言ってくださいました。前半は緊張していて、足もすごく来ていたんですけど、2回目の交代から雰囲気にアジャストできました。チームメイトの皆さんが声をかけてくれたので、そこで自分の緊張が解けました」

ドライブ、ダイブで流れを変える

 日本代表は前半を35-36のビハインドで終えた。攻撃時のボールムーブメントが重く、多投していた3ポイントシュートもなかなか入らない展開だった。川島は第3クォーター残り5分41秒にコートへ戻ると、試合にカツを入れてみせる。

 ホーバスHCは言う。

「前半も彼のプレーは全然悪くなかった。少しのミスとか、色々あったけど、彼のエネルギーが大事かなと思っていた。例えばトランジションブレイク(切り替えからの速攻)とか、リバウンドもよくてディフレクション(ボールに触って軌道を変えるプレー)とかティップ(弾くプレー)ができる。だから彼はプレーイングタイムが長くなったんです」

 前半の日本は人とボールが「外」を中心に動いていた。ハレルソンもビッグマンながら3ポイントシュートが得意で、外へ膨らむ「ポップ」の動きを好むタイプだ。一方でペイントエリア内(ゴール下の制限エリア)に仕掛ける動きが乏しくなれば、ディフェンス(DF)を収縮させて揺さぶる効果を出せない。そんなコート上のバランスを変える必要があった。

 後半の川島に期待されていたのはインサイドへのドライブ、ダイブ(飛び込む動き)だった。

「流れが悪いときに自分のドライブで流れを持ってこれたことは、本当に良かったと思います。前半は3ポイントが全然入っていなくて、トムさんもチームに『切れ込んで行け』と言っていました。自分の役割が来たなということで、思い切ってやりました」

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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