パリ五輪に向けてアピールに成功した選手は? W杯選外から「トライアウト」に挑んだ日本代表4選手の心構え

今村佳太&川島悠翔「アジア競技大会からの昇格組が得た継続した経験」

昨秋のアジア競技大会で存在感を放った今村と川島 【(C)伊藤大允】

 昨年10月に開催されたアジア競技大会は「パリ五輪の選考も兼ねている」(ホーバスHC)ことで、代表に選ばれた選手たちはアピールしようと燃えていた。そのアジア競技大会組から、今回抜擢されたのが今村佳太と川島悠翔だ。

 今村はアジア競技大会の6試合で、平均15得点を叩き出してスコアリーダーとなってチームをけん引。川島はインサイドの選手に負傷が重なったこともあり、最年少の18歳ながら、チーム内で一番長い平均24分23秒ものプレータイムを得た。

 ともに、ワールドカップの選考メンバーに入っていたわけではない。それでも、今回2試合ともにベンチ入りできたのは、アジア競技大会の経験を生かしていたからである。

「ここに来るまでにいろんな経験をさせてもらったので、自分でもびっくりするくらい気負いがなく臨めている」(今村)「アジア競技大会もトムさんのシステムでやっていたので、戸惑うことはなかったです。自分の得意なドライブとディフェンスとリバウンドを求められていて、それを積極的にやろうと思いました」(川島)と、互いにアジア競技大会からの経験がつながっていることを実感していた。

 18歳の川島は代表での経験値を急速につけているところだが、アジア競技大会でこんなことがあった。5-8位決定戦のサウジアラビア戦では、4点差を追う接戦で迎えた終盤、ダンクにいけるところを躊躇してしまったことで、シュートを落としてしまった。結果的に日本は接戦を落としてしまうのだが、川島は「あそこで自分が力強くダンクにいっていたら勝てたかもしれない…」と試合後に悔し涙を流した。そんな最年少選手に指揮官であるコーリー・ゲインズHCは「この悔しい経験があったからこそ、強くなったといえる選手になってほしい」と言葉をかけていた。

 出場機会をもらったグアム戦では、こうした悔しい経験のもと、得意のドライブを仕掛けて、13分56秒のプレータイムで、6得点3リバウンドをマークしたのだった。

「この若い時期に、失敗してもいいからチャレンジすることをアジア競技大会で学んだので、アジアカップ予選では積極的に行こうと思いました」と自分のやるべきことにフォーカスしていた川島。18歳で早くもこのような経験を積めていることが、パリ五輪および、その先にもつながっていくのだろう。

 ただ、2人ともグアム戦ではアピールできたが、中国戦では存在感を示せなかった。今村はグアム戦では16分2秒の出場で8得点2リバウンドを記録してアピールしたが、中国戦では1分46秒の出場に留まり、川島は出番がなかった。今村は現状をこう語る。

「自分としては前進できた2試合だとポジティブに捉えていますが、トムさんの期待という点ではまだまだ足りません。試合に出るためには、短い時間でも精度が高く自分のプレーが出せるかだと思います。自分はまだ何も成し遂げていないので、こうした結果に一喜一憂せず、信頼を勝ち取れるように、これからもチャンスをもらえるように取り組んでいくだけです」

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