パリ五輪に向けてアピールに成功した選手は? W杯選外から「トライアウト」に挑んだ日本代表4選手の心構え
須田侑太郎「挑み方に変化があった2回目のトライアウト」
昨夏はあと一歩のところでワールドカップメンバー入りを逃した須田 【(C)野口岳彦】
ただ、トライアウト中は「強迫観念ではないけど、シュートを打たなきゃいけない、入れなきゃいけないという気持ちに陥ってしまったのでシュートが入らなかったんです」と気持ちに余裕がないなかで挑んでいたことを明かしている。その心理状態はグアム戦でも引きずってしまい、9分25秒のプレータイムを得たが、3ポイントは6本中1本のみの成功と空回りしてまった。
そんな須田の姿を見て声をかけたのが、ホーバスHCだった。「少し力み過ぎているから、もう少し余裕を持って、自分のリズムで打つように心がけたらいい」という指揮官の言葉に、中国戦での須田は「いつも以上にゲームを冷静に見つめることができました」と、限られた4分8秒という時間でフリースローを2本しっかりと決め、「チームに貢献できた」という手応えを得た。
須田にとってパリ五輪の選考は、ワールドカップに次ぐ2回目のチャレンジだ。
「今までは失うものはなくずっとやってきたのですが…いえ、今も失うものがないといえばないですが、ワールドカップ後はさらに注目されるなかでやっていたので、そういうプレッシャーを乗り越えていくことが次へのステップにつながっていきます。次に呼ばれたときは、いい意味で力が抜けた状態で、シュートを決める、決めないではなく、自分の仕事であるシュートを打ち切ることにチャレンジします」
日本代表とは、限られた時間のなかで与えられた役割を遂行し、自分の強みを出す舞台である。そうした自チームとは違うシステムに慣れるには時間が必要で、これまでチャレンジを積み重ねてきた「経験」を生かすことが大事なのだと、4人は実感しているところだ。ホーバスHCは「次の合宿はここにいる全員を呼ぶ」と公言している。パリ行きをかけたトライアウトはまだまだ続く。次の強化合宿はBリーグのシーズン終了後に行われる。
文=小永吉陽子
構成=バスケットボールキング編集部