パリ五輪に向けてアピールに成功した選手は? W杯選外から「トライアウト」に挑んだ日本代表4選手の心構え

須田侑太郎「挑み方に変化があった2回目のトライアウト」

昨夏はあと一歩のところでワールドカップメンバー入りを逃した須田 【(C)野口岳彦】

 昨年、ワールドカップの最終選考まで残ったのがシューターの須田侑太郎だ。残念ながら12名の座をつかむことはできなかったが、「30歳で日本代表に選んでもらい、僕が自信を持って勝負すべきは3ポイントとディフェンスなのだとトムさんは教えてくれました。チャレンジはいくつになってもできるものだと気付かせてもらったので、挑戦したことに後悔はありません」と清々しく語っていた。

 ただ、トライアウト中は「強迫観念ではないけど、シュートを打たなきゃいけない、入れなきゃいけないという気持ちに陥ってしまったのでシュートが入らなかったんです」と気持ちに余裕がないなかで挑んでいたことを明かしている。その心理状態はグアム戦でも引きずってしまい、9分25秒のプレータイムを得たが、3ポイントは6本中1本のみの成功と空回りしてまった。

 そんな須田の姿を見て声をかけたのが、ホーバスHCだった。「少し力み過ぎているから、もう少し余裕を持って、自分のリズムで打つように心がけたらいい」という指揮官の言葉に、中国戦での須田は「いつも以上にゲームを冷静に見つめることができました」と、限られた4分8秒という時間でフリースローを2本しっかりと決め、「チームに貢献できた」という手応えを得た。

 須田にとってパリ五輪の選考は、ワールドカップに次ぐ2回目のチャレンジだ。

「今までは失うものはなくずっとやってきたのですが…いえ、今も失うものがないといえばないですが、ワールドカップ後はさらに注目されるなかでやっていたので、そういうプレッシャーを乗り越えていくことが次へのステップにつながっていきます。次に呼ばれたときは、いい意味で力が抜けた状態で、シュートを決める、決めないではなく、自分の仕事であるシュートを打ち切ることにチャレンジします」

 日本代表とは、限られた時間のなかで与えられた役割を遂行し、自分の強みを出す舞台である。そうした自チームとは違うシステムに慣れるには時間が必要で、これまでチャレンジを積み重ねてきた「経験」を生かすことが大事なのだと、4人は実感しているところだ。ホーバスHCは「次の合宿はここにいる全員を呼ぶ」と公言している。パリ行きをかけたトライアウトはまだまだ続く。次の強化合宿はBリーグのシーズン終了後に行われる。

文=小永吉陽子
構成=バスケットボールキング編集部

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