18歳・川島悠翔が衝撃の日本代表デビュー グアム戦で本人が語った手応えと課題

大島和人

グアム戦の課題と「幻のダンク」

ゴール下への鋭いドライブは彼の強みだ 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 川島はどのタイプに分類すれば良いのか悩むような万能選手だが、今の彼は「スラッシャー」を自認している。バスケにおいてこの用語は「守備を切り裂く」「ゴール下へ鋭くドライブする」選手という意味だ。

「(河村)勇輝さんは絶対に自分のオープンを見てくれると思ったので、そこは信じてダイブしたりできました。切り込んだらDFは絶対に自分を見るので、外のオープンも作れる。そう思ったので、しっかりスラッシャーとしてやりました」(川島)

 グアム戦の川島が完璧だったわけではない。例えばインサイドに切れ込んだ「後」のシュートを、211センチのジョナサン・ギャロウェイに2度ブロックされている。そこは問われるまでもなく、本人もコメントしていた。

「跳んでくる選手と分かっていたのに、そのまま打ってしまったのが反省点です。ポンプフェイクなどを上手く使って、力強くフィニッシュできたら、もっと得点は伸びたと思う。あとはそのときにパスをさばけたら、オープンのスリーもあったと思う。そういったところは映像を見返して、しっかり直していきたい」

 第4クォーターには、別の意味でもったいないプレーがあった。残り3秒、テーブス海がリバウンドから自陣でロングパスを送ろうとした場面で、川島はちょうどフロントコートに向かってフリーで走り出していた。そのままパスを受けてダンクを決めれば、その日のニュースやSNSで繰り返し流される「映える」プレーになっていた。

 ただ川島のボースハンドダンクはブザーの直後で、認められなかった。その理由は「遠慮」だ。

「国際試合だから、約束事みたいなもの(※試合が決まり、残り時間が少ない状況では得点を狙わない暗黙の了解)があるのかなって思って、ちょっと抜いてしまったんです。でも『行く雰囲気かな』と思って、行ったら時間が残っていなくて。惜しい……という感じでしたけど、次はしっかり時間内に決めたいと思います」(川島)

中国戦の再登場に期待

 伸びしろは若者の特権だ。ホーバスHCは合宿期間中の取材で川島の課題にシュート力を挙げていたが、そこは鍛錬で伸ばせる部分でもある。河村勇輝(横浜BC)と同じような若者らしからぬ冷静さ、言語化能力も彼に可能性を感じるポイントだ。

 記者会見ではホーバスHCに中国戦の起用についても聞いてみたが、「まだ決まってないです」とのこと。もちろん試合後の回復、2日間の練習内容なども含めた評価になるだろうが、18歳の再登場に期待したい。

 言うなら川島はまだ「試用期間」の身。金近廉(千葉J)、井上宗一郎(越谷)といったフォワードのライバルと12名枠入りを争う立場だ。ただしグアム戦は間違いなく戦力として試合の流れを変え、間違いなくインパクトを残した。日本がベストメンバーで戦う中国戦のメンバーに入ったならば戦力として、パリ五輪のメンバー入りを争う有力候補として、認められたという意味になる。

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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